オープンソースのRISC-Vプロセッサー・アーキテクチャの登場は、知的財産 (IP) とシステム・オン・チップ (SoC) の世界を揺るがしています。業界の関心も高く、多くの取り組みが進行中です。市場で成功するRISC-Vコアを提供するには、機能性、安全性、セキュリティ、信頼性など、設計の完全性をあらゆる面から検証する必要があります。RISC-Vを評価するSoC開発者は、設計の完全性が基準を満たすものかどうかを確認しなければなりません。コアが正しく統合されていることを確認するためには、コアレベルの検証手順を再度実行し、追加の作業を行えば良いと設計者は考えているかもしれません。しかし、オプション機能や実装の柔軟性、拡張機能への対応の必要性があるため、RISC-Vコアの検証は非常に困難です。
このホワイトペーパーは、シーメンスEDAのRISC-V Integrity Verificationソリューションを使用して、プロセッサーのコア・レベルとチップ全体レベルの両方で、設計の完全性の4つの側面すべてを検証する方法を説明します。最後に、オープンソースとして提供されているRISC-VコアとSoC設計に潜んでいた問題を、シーメンスEDAのソリューションを使用して特定した事例を紹介します。
RISC-Vは、旧世代の縮小命令セットコンピューター(RISC)と同じく、学術界に起源を持ちます。第5世代のRISCベースの命令セットアーキテクチャ(ISA)を開発するプロジェクトは、カリフォルニア大学バークレー校の電気・コンピュータサイエンス学部で2010年に始まりました。それ以前の学術的あるいは営利目的のRISCプロジェクトと同様、ローパワー、小型、高速処理のISAを定義することが目標でした。他のプロジェクトと違う点として、RISC-Vは多様な実装をサポートすることを目指しており、このため、RISC-VのISAには、対象のエンド・アプリケーションに合わせ、さまざまな電力、性能、面積(PPA)のトレードオフを通じて多様なマイクロ・アーキテクチャに使用できる柔軟性が必要です。
2015年には、ISAと関連文書を所有、維持、公開するRISC-V Foundationが設立され、本来のRISC-V著作者および開発者からその権利がRISC-V Foundationに譲渡されました。RISC-V Foundationには現在、大学、半導体サプライヤー、システムハウス、ソフトウェア・ベンダー、IPプロバイダーなど、約250団体が加盟しています。RISC-V Foundationは、開発者の当初のビジョンに従ってRISC-Vのオープン性を保証しています。オープンであるということは、これまで数十年にわたってプロ
セッサーを支配してきたプロプライエタリISAとは対照をなすものであり、これには3つの側面があります。第一にRISC-V ISAは、産業界と学術界の幅広い協力のもとで開発され、進化してきました。誰でも参加可能なRISC-V Foundationのメンバーが投票による決定権を持ちますが、誰もがアイデアを提供し、議論に参加できます。