ユーザー事例

複合材料の設計・製造会社の成長を支援するシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのツール

TecnomatixとTeamcenterを使用して高性能部品の生産を改善したデュケーヌ

複合材料の設計・製造会社の成長を支援するシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのツール

デュケーヌグループ (TeamcenterおよびTecnomatix)

デュケーヌグループ (Duqueine Group) は、航空宇宙、スポーツ、レジャー産業向けの複合材部品およびサブアセンブリの設計と製造を専門としています。複合材料分野を牽引する企業であり、小規模および連続生産に使用する高性能部品の設計と製造における幅広いエンジニアリング・スキルと工業スキルを備えています。

http://www.duqueine.fr

本社:
マシュー, France
製品:
Teamcenter, Tecnomatix
業種:
航空宇宙 / 防衛

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Tecnomatixソリューションを選択したことで、市場投入期間の短縮と製品品質の向上を果たすことができ、お客様との関係性を改善できました。
Xavier Danger氏, エンジニアリング責任者, デュケーヌ

複合材構造に特化

デュケーヌグループ (デュケーヌ) は、ジル・デュケーヌ氏によって1982年に設立されました。デュケーヌ氏は、レーシングカー用の最初のカーボンシェルを開発した複合材料のスペシャリストです。当初、同社はプロトタイプ・レーシングカーの製造と複合材の加工・成形に特化していました。1992年、自転車用カーボンホイールの最初の生産ラインを立ち上げると、デュケーヌはすぐにその分野の世界的なリーダーとなり、年間20,000個を生産するまでに成長しました。

2004年、同社はTechspace Aero (Safran Group) と契約を結んだことで、A380型機のターボ・リアクター用の冷却流トンネルの研究および実装に携わることになり、航空宇宙産業への参入を開始しました。同年、EADS SogermaとSicma Zodiac Group向けに、航空機の客室内部およびファーストクラスのシート構造の開発も始めました。これがきっかけとなり、スポーツやレジャー産業など、関連する市場への道も開かれ、レーシングカー・ドライバー用の安全装置や製品も製造し始めました。

業界をリードする豊富な経験を誇るデュケーヌは、複合材構造の分野で世界的に知られる企業となるべく努めています。過去10年間で、従業員数も20人から800人に増えました。現在、同社が力を入れている市場は主に、航空宇宙 (85%)、一般産業 (10%)、スポーツとレジャー (5%) です。

Specializing in composite structures

新たな課題、新たな解決策

成長戦略の一環として、優れた手法を取り入れ、知識共有のコラボレーションを促進するには、部門間の業務を連携・体系化できるツールを導入する必要があると、デュケーヌの経営陣は認識しました。そこで、製品ライフサイクル管理 (PLM) システムの主要ベンダーのベンチマーク評価を実施し、同社のニーズに最も適した製品データ管理 (PDM) およびデジタル・マニュファクチャリング・ソリューションを見つけることから始めました。

その結果、最終的に選ばれたベンダーはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアでした。シーメンスのTeamcenter®ソフトウェアとTecnomatix®ポートフォリオは、デュケーヌのニーズを満たす最適なコラボレーション・プラットフォームを提供しているためです。また、Teamcenterが、デュケーヌの使用しているCAD (コンピューター支援設計) ソフトウェアであるCATIA®で作成したデータを簡単に管理できる点も決め手の1つでした。何より、デュケーヌの経営陣は、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提供する優れたサポートを評価しました。サポートは、ソリューションの導入を成功させるうえでデュケーヌが重視している点でもあります。

デュケーヌは2010年にTeamcenterを初めて導入し、その後まもなくしてTecnomatixポートフォリオのManufacturing Process Planner (MPP) ソリューションを導入しました。MPPは、Teamcenterに統合されています。

「エンジニアリング部門と製造部門間を緊密に連携すれば、市場投入期間の短縮や知識の獲得に役立つことが、すぐに分かりました。そして、製造現場のデータと、エンジニアリング・チームが作成したデータの間の一貫性が高まります。」と、デュケーヌのエンジニアリングの責任者であるXavier Danger氏は述べています。

データや知識を共有するためにリポジトリを一元化することが重要だった同社にとって、Tecnomatixを製造段階に導入することは、当然の成り行きでした。Danger氏は次のように述べています。「Tecnomatixソリューションを選択したことで、市場投入期間の短縮と製品品質の向上を果たすことができ、お客様との関係性を改善できました。」

セールスおよびコミュニケーション・ディレクターのStéphanie Burgun氏は、さらに付け加えます。「設計ミスの防止、製品データとプロセスデータの品質向上を実現させたPLMソリューションがいかに不可欠なツールであるかをお客様に示すことができました。」

MPPのもう1つの利点は、デュケーヌがタスクやワークフローを標準化できたことです。Danger氏は説明します。「Tecnomatix MPPソリューションを使って、タスクを標準化することができました。各タスクの実行を追跡できるほか、作業の定義も可能です。すべての作業は、デジタル・マニュファクチャリング・ソリューションによって管理されます。」

「現在、当社は設計・技術データを管理するマスター・システムとしてPLMを使用しており、ここにERP (エンタープライズ・リソース・プランニング) システムを接続しています。Teamcenterは、常に一貫したデータを維持します。リポジトリを一元化したことで、より効率的にさまざまな製造シナリオを比較・検討できるようになりました。以前は、製造シナリオを1つずつ試し、うまくいかなければ、ERPシステムに戻って製品を修正し、再び試さなければなりませんでした。当社のワークフローにはリポジトリの一元化が必須だったのです」とDanger氏は言います。

Tecnomatixソリューションの重要なメリットは、データの妥当性を実証できる点です。Danger氏は説明します。「デジタル・マニュファクチャリング・ソリューションを使って、製品データを収集し、それをそのままERPシステムにつなげることができます。部品表 (BOM) と工程表 (BOP) を作成したら、その妥当性を検証してERPシステムに転送することができます。データに不備がないこと、そして、PLMシステムのデータがERPシステムにも反映されることに自信を持てるようになります。また、常に最新バージョンのデータを使って作業できるという安心感もあります。」

New challenges, new solutions

市場投入期間の短縮

データの一貫性が実証されるようになった結果、デュケーヌの市場投入期間は30か月から14か月に短縮しました。「MPPを使用する前は、オペレーターが複数の人からデータを収集しなければなりませんでした。データが一部欠けていたり、最新ではなかったりすることに気づくのに時間がかかることもありました。しかし現在は、すべてのデータが1つのリポジトリに一元化されているため、エンジニアとオペレーターは最新情報に1か所でアクセスできます。MPPアプリケーションを使用する前は、データは手動で追加されていましたが、今では、MPPアプリケーションのおかげで、多くの手順が自動化され、人的ミスがなくなりました」とDanger氏。

デュケーヌのエンジニアにとって、既存のモデルを再利用して新しいBOMやBOPを生成できる、MPPのテンプレート機能は非常に重宝しています。「テンプレートを再利用することで、作業が大幅に捗ります。お客様が違っても、似たような形状の製品を作成することはよくあるため、テンプレートの活用によって作業が非常に楽になります。テンプレートの使用は、当社にとって大きなメリットです。実際、BOMとBOPのデータの60~70%はテンプレートを使って作成しているため、かなりの時間の節約になっています。」とDanger氏。テンプレートの効果的な活用の代表例として、Danger氏は、繰り返し生産されるテストナセル装置のプログラムを挙げています。

Reducing time-to-market

プロセス効率

現在、デュケーヌでは4つの拠点で150人がTeamcenterを使用しています。マシューでは、18人の製造エンジニアが日々MPPを使用して製造計画を作成し、ERPシステムに連携させています。製品エンジニアがBOMデータを作成した後、製造エンジニアはBOPデータを作成します。その際、BOP内でBOMを使用します。

MPPを使用すると、計画プロセスで部品を簡単に選択・使用できます。Danger氏は次のように説明します。「テストナセル装置は1,500種類の部品で構成されています。組み立てプロセスも複雑な製品です。BOMとBOPがERPにしか存在しなかったとしたら、変更を管理するのが非常に難しかったでしょう。デジタル・マニュファクチャリング・ソリューションを使えば、各オペレーションで利用したい部品を選択・使用するだけで済みます。膨大な数の部品が必要になる大規模アセンブリでは、メリットもそれだけ大きくなります。」工作機械についても、Teamcenterを使用して管理し、MPPアプリケーションを使ってBOPに関連付けることができます。

製造エンジニアは、作業指示書も作成します。作業指示書は、Microsoft Office®のWordとExcel®スプレッドシートを使って作成します。作成した作業指示書はMPPのオブジェクトに添付され、BOPの一部となります。BOPデータをフィルタリングして、正確なBOMを抽出することもできます。MPPを使用してデータを作成・更新できたら、データはExcelのエクスポートによってERPに転送できます。

ERPは生産データ管理にのみ使用するのに対し、PLMは、原材料関連のデータファイルや数値制御 (NC) プログラム、ミル加工に関する情報など、製造現場で必要なあらゆる技術情報を管理するために使用します。

製造現場の作業員は、必要な作業手順がすべて書かれた作業指示書を受け取ります。また、関連する3DデータにMPPツールを使ってアクセスすると、作業内容をさらに詳しく見ることができます。CATIAで作成された3Dデータは、JT™データ形式のファイルに変換して配布されます。

Process efficiency

トレーサビリティ管理と構成管理

そのほかにもデュケーヌが使用している重要なMPP機能として、トレーサビリティと構成管理があります。「当社のお客様の要件はさまざまであり、しかも絶えず変化します。デジタル・マニュファクチャリング・ツールを使用することで、さまざまなバージョンやバリエーションに対処することができます。つまり、同じコンポーネントに拠点ごとのバリエーションを加えながら提供しています。このソリューションにより、お客様ごとに異なる製品バリエーションを正確に把握することができます」と Danger 氏は言います。

MPPアプリケーションは、製造エンジニアと製造技術者がBOMの変更を管理するのにも役立ちます。BOMに変更が加えられると、両者にその情報が通知されます。製造エンジニアと製造技術者は、影響解析アプリケーションを実行してBOMの変更によって影響を受けるサブアセンブリを把握し、BOPもそれに合わせて変更する必要があるかどうかを確認します。変更が大規模であれば、BOM内の特定の部品について、新たなバージョンの作成が必要になります。

Traceability and configuration management

高性能な部品開発

デュケーヌでは現在、新たなプログラムにはすべてTeamcenterとTecnomatixを統合したソリューションを使用しており、なかでも航空機の客室プログラムで最も多く使用しています。

「Tecnomatixのおかげで、高性能な部品を短期間で製造することができるようになり、お客様の要件を正確に満たした機械を製造しています。」と、シニアバイスプレジデント兼マーケティングおよび事業開発マネージャーのJerome Aubry氏は言います。

市場で積極的に競い、トップの座を維持するために、デュケーヌは高性能な部品を生産し続けなければなりません。Danger氏は、「フランスで多くの顧客を獲得・維持したければ、高性能部品を開発し、努力を続けなければならないのです。このようにして当社は、新規顧客とのビジネスを開拓し、収益性を高めてきました。Tecnomatixのポートフォリオは、より高い品質基準を達成するのに役立ちます」と話しています。

High-performance part creation

大量生産への移行

デュケーヌが重視する課題の1つは、大量生産への移行です。「自動車業界大手のお客様と商談を始めました。しかし、そこで重要な課題となっているのが、部品を大量生産することです。実現するには、生産ラインに投資をしなければなりません」とDangerは言います。

潮流タービン業界についても同じことが言えます。「この市場に参入するには、生産戦略と生産ラインを改良・変更しなければなりません。市場投入期間を短縮する必要があるのですが、それこそ、Tecnomatixのデジタル・マニュファクチャリング・ソリューションで実現できる分野です。Tecnomatixを利用することで、成長への道筋が開かれます。」とDanger氏は述べています。さらに、「ほかにもデュケーヌの成功を支える市場として、宇宙、通信、自動車分野が挙げられます」と付け加えています。

Moving to mass production
Tecnomatixのおかげで、高性能な部品を短期間で製造することができるようになり、お客様の要件を正確に満たした機械を製造しています。
Jerome Aubry氏, シニアバイスプレジデント兼マーケティングおよび事業開発マネージャー, デュケーヌ