シミュレーション主導型アプローチは、船舶設計にかかるコストと時間を削減します。自信を持って目標を達成するには、どのような方法があるでしょうか。
造船業界は絶えず船舶効率を改善し、排出量を削減するよう迫られています。造船会社や船主にとって目標を確実に達成するための唯一の戦略は、可能な限り高効率な船舶を設計し、建造することです。効率化とコスト削減の両方に最も大きく貢献するのが、船舶設計の段階です。
このホワイトペーパーは、シミュレーション主導型船舶設計プロセスについて紹介します。これは、最新のデジタル技術をフル活用して、非効率の悪循環から脱却する新しいアプローチです。これにより、船舶設計者は、より多くの船舶設計案を評価し、改善策や画期的なソリューションに取り組み、最も効率のよい設計を見極めることができます。
従来の船舶設計プロセスは通常、新しい船舶のミッションステートメントから始まり、プロポーション、船体形状、一般的な配置、構造、船の重量など、設計のさまざまな側面を順番に検討します。多くの場合、これらの評価段階は別々のチームによって実行され、それぞれの設計ツールと生成データの間にリンクはありません。要求事項や船舶設計の変更が発生するたびに、あらゆる側面を検討し直す必要がありますが、データの受け渡しに時間がかかり、詳細な解析が最新の設計に追いつかないことも珍しくありません。結果として、利益率が圧迫され、最適な設計案を生み出すための時間が削られてしまいます。
このホワイトペーパーで紹介しているシミュレーション主導型船舶設計プロセスは、船舶設計の新しい考え方です。これは、接続性のある解析ツールと保存データの一括管理によって、サイロを解消し、すべての解析作業を1つのマスターモデルにリンクさせる手法です。それぞれのチームには必要なデータへのアクセス権限が付与され、常に最新の設計データで作業できます。そのため、設計をより速くアップデートでき、解析作業も統合されます。
シーメンスのソリューションは、統合された設計環境と、自動ワークフロー、インテリジェントな設計探索ツールを提供します。この手法によって、従来の分断された手順をなくし、プロセスを合理化することで、船舶設計のスパイラルを回避します。さらに、多数の設計案を素早く解析し、設計の初期段階から船舶性能をよりよく把握できます。手作業を削減することで、船舶設計者が結果の分析と設計の改良に注力できます。
指定された要求事項を満たし、確信を持って入札に参加できるようになる、インテリジェントな設計最適化とは、どういうものでしょうか。このホワイトペーパーでは小型船舶をCADで設計するケーススタディを紹介します。さまざまな要件を指定し、基準内に収まる設計案を検討することで、船舶を最適化する方法を示しています。自動設計プロセスの中で何百もの設計案が解析され、それぞれのコスト見積もりと性能データが示されます。結果から傾向やパターンを分析することで、さまざまなパラメーターが船舶性能に与える影響を把握できます。
Dejan Radosavljevicは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのシミュレーション/試験部門に所属する造船業界のエキスパートです。これまで20年以上にわたり、Lloyd’s Registerの船舶部門で、技術調査部や流体力学グループなど、さまざまな職務を担ってきました。そのなかで一貫して船舶分野でのCFD活用を推進し、船舶性能の最適化に力を注いできました。シーメンスでは、顧客である世界各地の船舶メーカーと協力して、船舶設計と性能解析にシミュレーションを活用する方法を支援しています。