半導体企業は大変な困難に見舞われています。製品の複雑化、多品種生産、さらには仕様の増大(品質、イノベーション、サイズ)を背景に、高額な資本設備や施設を効果的に活用して「無欠陥」を達成することが難しくなってきました。そうしたなかで顧客の期待に応えるための解決策としてシングル・デバイス・トラッキング手法があります。
シングル・デバイス・トラッキングは、製造を管理し、あらゆるデバイスのデータとそのプロセス履歴を提供する手法(シングル・デバイスのそれぞれに異なるプロセスが施されるケースも含む)です。ところが大半の半導体企業は、オペレーション速度を大幅に下げないとシングル・デバイス・トラッキングを行うことができません。この新しいトラッキング手法がMESに統合されていたら、半導体メーカーは個々のデバイスのプロセスを管理して記録することができます。
市場が拡大して需要が高まり、供給不足が続くなか、半導体の製造能力に関心が集まっていますが、製造能力の増強には数年かかると見られています。一方、顧客は製品が迅速に納品されることを期待するため、半導体メーカーには、市場投入期間を短縮しなければならないというプレッシャーがかかります。しかし、製造能力は既に限界に達しており、企業はあらゆる製造フェーズを刷新しなくてはなりません。このホワイトペーパーを読んで、シングル・デバイス・トラッキングの活用方法を学びましょう。
数十個のチップを実装したモジュールの場合、ロットごとに処理する子データポイントは数千個にのぼります。 量産施設では、これに工程の数、装置の数、ロットの数を乗じた数を処理しなければならないため、データ・トランザクション数が急増します。現時点では、シーケンシャル・データのアプリケーションへの読み込みは非常に時間がかかるため、オペレーション速度が低下することも少なくありません。 市場投入期間の短縮と製造能力のニーズを考えると、この状況は容認できません。半導体企業にとっては、データ処理を合理化して、シングル・デバイス・プロセスに対応することが喫緊の課題です。
トレーサビリティにより、あらゆるデバイスのデータがサプライチェーン全体のすべての工程で利用可能になります。トレーサビリティは品質管理を改善するだけでなく、問題が発生した場合に是正措置の対象を限定する手段でもあります。トレーサビリティには、すべてのデバイスの材料、プロセス工程、設備、条件など、遡って確認するあらゆる詳細が含まれています。トレーサビリティはICメーカーのニーズにのみ応えるわけではありません。個々のデバイスをトラッキング、トレーシングしたいというチップメーカーやデバイスメーカーのニーズにも対応します。