設計者は通常、詳細設計段階で消費電力・性能・面積 (PPA) のバランスを考慮しながら、プリント回路基板 (PCB) の性能 (およびそれに関連する熱の問題) を判断します。PCB設計の熱問題はコンポーネント選択段階とレイアウト設計段階に概ね決まります。この段階を過ぎると、コンポーネントが熱くなりすぎても、対症措置しか施せなくなります。
機械エンジニアは通常、製品のサーマル・インテグリティ (熱の完全性) の確保を担当します。機械エンジニアが、設計プロセスのできるだけ早い段階で、電気エンジニアが選択するコンポーネントがどのような熱的影響をもたらすか、できる限り多くの情報を電気エンジニアにフィードバックして設計を導く必要があります。
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設計者は、早い段階からコラボレーションを開始することで、PCBの性能を熱設計段階から最適化できます。機械エンジニアは、システムの気流を利用して冷却できるように、パッケージの選択やコンポーネントの最適な配置についての助言を提供できます。パッケージ選択やコンポーネントの配置を左右する主な要因はコストですが、温度や冷却も性能や全体のコストに影響を及ぼします。
PCBの熱設計では、コンポーネントの温度を重要な基準として使用し、設計が熱的に許容できるかどうかを決めます。集積回路 (IC) によっては、複数のパッケージ・スタイルを選択できますが、すべてのパッケージ・スタイルが同じように熱的に優れた性能を発揮するわけではありません。機械エンジニアと電気設計チームが密に連携し、熱的性能に関する情報を提供することで、電気設計チームはパッケージの選択基準として熱的性能を考慮するようになるでしょう。機械エンジニアはまた、選択候補のコンポーネントの熱的性能の比較に必要な重要な熱パラメーターを共有することができます。
連携的な設計によって、PCBの熱設計の検討を設計フローの上流に前倒しできます。チーム全体で、機械的観点での熱設計と電気的観点での熱設計を同時並行で進められます。順次的なフローに比べてこの並列アプローチは、設計を加速し、信頼性を向上するとともに、より良い成果を上げられます。
プロセスの早期に熱シミュレーションの結果をPCB設計チームにフィードバックすることで、設計チームは熱設計についてより深く理解できます。早い段階でのシミュレーション結果は詳細度は高くありませんが、基板上の気流分布と、それに伴う基板の温度は強力な情報になります。この情報に基づいて、冷却気流を利用するために何をすべきか、そしてそれによるコンポーネント温度への影響が分かります。