見積もりおよび価格設定プロセスは、電子機器受託製造サービス (EMS) 企業にさまざまな課題をもたらします。EMS企業は、実際に製造する製品の数より多くの見積もりを作成しますが、データが標準化されていないことや、データソースを比較して不一致を見つけることが難しいこと、工程別総合原価計算が非効率なこと、ERPシステムと統合されていないことなど、多くの課題によって貴重な社内リソースが奪れています。また価格設定を複雑にしている要因として、バルクで (大量の部品をまとめて) 価格設定される汎用部品や、工程別総合原価を正確に算出するツールの欠如、電子部品の調達の問題への対処などが挙げられます。こうした課題に対処し、迅速かつ正確に見積もりを作成するには、製造を考慮したインテリジェントなアプリケーションが不可欠です。
特に、世界的に部品の供給不足が続く現状を考えると、電子部品の効率的な調達にはERPとの統合が欠かせません。BOMに含まれるすべての部品を1社または複数の電子部品ベンダーから購入して保管しておくのではなく、ERPシステムにすでにある部品を確認できれば、時間も資金も節約できます。ただし、メーカー品番 (MPN) や顧客品番 (CPN) は通常は統一されていないため、ERPシステムから部品を探すのは容易ではありません。
最近はWebからアクセスできる部品ポータルを提供している部品メーカーも増えており、価格やリードタイム、代替部品などの情報を公開しています。このようなポータルでは、多くの部品を一括で検索することができ、 ユーザーごとのアクセスによって、該当する顧客価格が表示されるようになっています。OEMの顧客品番 (CPN) とEMSの社内品番 (IPN) を関連付けるさまざまな方法があれば、顧客のBOMとERPシステムとを照合させて、手元にある既存部品を有効に活用できます。
Valor BOM Connectorは、顧客のBOMとERPシステムをつなげて関連付けるさまざまな機能を提供します。また、PCBの見積もり作成に伴うその他多くの課題を解決し、単なるPCBコスト計算ツール以上の役割を果たします。例えば、需要の予測をValor BOM Connectorにインポートすると、Valor BOM Connectorは部品ポータルを使って最適な価格を取得します。
BOM Connectorのような製造を考慮したアプリケーションを使うことで見積もりプロセスを加速し、精度を向上できることについて、ホワイトペーパー「PCBの調達と見積もり」をご一読ください。