ホワイトペーパー

航空機の防除氷システムの設計

雪が降るなか翼前縁部が霜や氷柱に覆われ除氷が必要な旅客機の最前部

防除氷システムは、航空機の認証プロセスに不可欠な重要な要素です。安全性の面から、航空機メーカーはエネルギー効率のバランスを取ると同時に、氷結条件下の飛行での着氷を回避しなければなりません。

コンポーネント・レベルからシステム統合へと進む防除氷システム設計においては早期段階から検討を開始しなければ、予算内でスケジュールどおりの開発を進めることができません。開発・認証プロセスにおいてシミュレーションとテストは重要な役割を果たし、着氷条件下での安全な飛行を保証します。

このホワイトペーパーを読んで、次世代航空機の防除氷システムの設計方法を再検討してみてはいかがでしょうか。

航空機の防除氷システムのシミュレーションとテスト

防除氷システムとそのコンポーネントは、着氷条件下での航空機の安全な飛行において重要な役割を果たします。着氷によって空力形状が損なわれると、航空機の抗力が増大し、制御性が低下します。結果として、飛行性能や安全性にも影響に及びかねません。防除氷システムは通常、翼やナセルの吸気口、ピトー管、スタビライザー、プロペラー、ヘリコプターの回転翼などに取り付けられます。

これらのセーフティクリティカルなシステムは、認証プロセスの一環として、航空機プログラムの開発およびテスト段階で考慮する必要があります。シミュレーションとテストの統合アプローチによって、防除氷コンポーネントおよびシステムの性能を理想シナリオと最悪シナリオの両面で評価できます。

航空機の防除氷システムのシステム・シミュレーション

システム・シミュレーションによって、設計サイクルの早期に最適なシステム寸法を定義することができます。シミュレーションした航空機用防除氷システムを、その他の空気圧機器やエンジン抽気系統とスムーズに統合させます。さらに、抽気管からの空気漏れや、それによるシステム全体への影響などについて、what-if解析を実施することができます。

CFDシミュレーションで防除氷コンポーネント解析

システム・シミュレーションに基づいてシステムの種類を選択し、コンポーネントの寸法を決定したら、各コンポーネントの詳細な3D CFDシミュレーションを実施し、個別の性能評価と最適化を行います。コンポーネントの性能は、システム・シミュレーション・モデルにフィードバックしたり、組み合わせたりして、より正確なパラメーターを使ってシステム・シミュレーションの精度を高めることができます。

翼用防除氷システムのテスト

翼用防除氷システムは航空機の安全な飛行に不可欠な重要な要素として、認証テストに合格しなければなりません。規格では、防除氷システムを構成する部品への影響を調べるために、ランダム試験や衝撃試験、正弦波加振試験など、さまざまな動的テストを実施するよう定めています。マルチ入力マルチ出力 (MIMO) 技術により、各加振点を適切な荷重で同時に加振することができます。この最新技術を使うことで、テスト・エンジニアは振動認証プロセス全体を通じて効率化を図れます。

航空機の防除氷システムのエンジニアリング

Siemens Xceleratorの「製品設計とエンジニアリング」、「モデルベース・システム・エンジニアリング (MBSE)」、「検証管理」のデジタル・スレッドは、ミッションクリティカルな防除氷システムの設計、開発、検証、認証に最適です。Simcenterの性能エンジニアリング・ツールが航空機プログラムおよびプロセスをサポートするために必要なエンジニアリング・データを提供します。Simcenterソリューションを使うことで、詳細設計の寸法設定や最適化が可能なだけでなく、仮想および実際のテストデータに基づいて法令遵守を証明することもできます。これにより、スケジュールや予算を守りながら、優れた航空機プログラムを効果的に遂行できます。

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