工場の操業停止を回避し、納期遵守率を向上するためにシーメンスのソリューションを選んだTrek Bicycle...
Trek Bicycle Corporationは1976年、現在本社を構える米国ウィスコンシン州ウォータールーで創業しました。同社が設計と製造を手掛ける高機能自転車は世界各地の独立サイクルショップで販売されています。マウンテンバイク、ロードバイク、トレッキングバイク、子供用自転車、ファットバイクのほか、電動アシスト自転車や環境配慮型の自転車も製造します。またアクセサリーやアパレルも展開しています。
https://www.trekbikes.com/us/en_US/
Trek Bicycle Corporationは1976年にアメリカウィスコンシン州ウォータールーの小さな赤い納屋で産声を上げました。当時、5人の創業メンバーで900本あまりのスチール製のツーリング・フレームを製造しました。以来、同社はTrek販売店、テスト施設、世界各地のオフィスに数千名の従業員を抱えるまでに成長しています。それから長年の間にさまざまな変化があってもただひとつ変わらないのは、優れた製品を作り、より良い暮らしとツーリングのある世界を作り上げるという確固たる信念です。
赤い納屋からスタートしたTrekは、長い道のりを経て世界トップの研究・開発 (R&D) 施設を備えるまでになりました。Trekは今日、世界各地のライダーのために自転車とアクセサリーを設計・開発しており、その製品は初心者から、世界最大の自転車レースであるツールドフランスに参戦するTrekレーシングチーム所属のプロ選手まで、世界中で幅広く愛用されています。
TrekのProject Oneは、ロードバイク、マウンテンバイク、電動バイクを顧客が自由にカスタマイズできるプログラムです。Project Oneペイントショップで顧客の想像した自転車を現実のかたちにします。バイクの色や塗装からパーツまで、あらかじめ決められた多数の組み合わせから自由に選んで、自分だけのユニークなバイクに仕立てることができます。
Project Oneのバイクは、ウォータールーの本社とドイツのハートマンスドルフで製造、塗装、組み立てを行います。ウォータールーではまた、カスタムバイク用の高級カーボンホイールも製造しています。
カスタムバイクの製造工程は合理化され、迅速で顧客にとっても簡単です。各工程のリードタイムも最小化されています。部品不足は問題ですが、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提供するソフトウェアとサービスの包括的な統合ポートフォリオであるXceleratorポートフォリオの1つであるOpcenter™ソフトウェアを使用しているため、顧客が注文したバイクの全体図を把握して、コンポーネントの優先順位を付け、最も効率的な方法で組み立てられるように部品を割り振っていきます。
「Opcenter Advanced Planning & Schedulingのおかげで、すぐに使える部品がどれかを事前に把握することで、これまでの2倍の速さで組み立てが終わるようになりました。」Trekのマスタースケジュール管理者を務めるEric Schultz氏はこう語ります。
Trek Project Oneプログラムは、注文を受けてから組み立てを開始する多品種少量生産です。デジタルツールを最大限に活用し、顧客とパートナーに最良のエクスペリエンスを提供しています。注文を受けると、部品在庫と工場の生産能力から製造日を算出します。Trekは、顧客が好むと思われるコンポーネントを予測し、それに基づいて部品を調達します。決まった数量の部品を定期的に購入することはしません。
Trekのデジタル・トランスフォーメーションの流れはこうなっています。まず、顧客が希望のバイクをスクリーン上でデザインし、地元のサイクルショップ経由で注文します。すると、Trekから予定納期が通知されます。塗装と組み立ての過程は写真や電子メールで知ることができ、希望どおりのデザインが完成すると、納車です。
グローバル・マニュファクチュアリング担当ディレクターであるMike Lodl氏は次のように述べています。「かつてはSQLレポートと社内ERPシステムの標準機能を使っていました。数量が少ないうちは何とかなっていましたが、注文件数が多くなると対応できなくなってしまいました。事業がこのままのペースで成長すると、多くのスケジューラーを追加しなければどう考えてもやっていけません。」
これまでのやり方が限界に近づいて、新しいシナリオをテストする余裕もありませんでした。サプライチェーンに問題が生じても、長期的な生産能力分析もできず、作業日と出荷日の日付をただひたすら変更するという時間のかかる手作業に追われるばかりでした。
TrekはProject OneプログラムをOpcenterで管理しています。リアルタイムの情報を収集して、在庫あり部品と製造能力の情報を結び付け、高い透明性を維持しつつ、最先端の自転車を最短納期で顧客や販売店に出荷しています。
「Opcenter APSのダイナミックカレンダーは、それぞれの部門の稼働状況や作業の進め方を踏まえて納期を最適化するのに非常に役立ちます。」とSchultz氏は語ります。
コロナ危機以前のTrekは、サプライチェーンと在庫の良くある問題に直面していました。つまり、遅れ、材料の不適合、自然災害による出荷遅れ、そのほかのロジスティックスの問題です。主要部品に遅れが発生すると、何百あるいは何千もの作業指示と出荷指示の日付を手作業で変更しなければならず、操業を続けるためのスケジュールの見直しが困難でした。
Schultz氏はこう述べます。「信じられないほどの時間がかかる手作業を余儀なくされていました。必要であるとは言え、付加価値をもたらないプロセスは、ソフトウェアの力を借りて処理を自動化または高速化すべきであると気づいていました。
サプライチェーンとロジスティクスを担当するチームが予定よりも早く部品を調達できたとしても、当時は製造計画を前倒しする効率的な方法がありませんでした。
わたし自身、日付の付け替えに何時間も費やしていましたが、今ではOpcenterのおかげで分析の時間を取ることができ、業務を最適化する新しい方法を検討する時間的余裕も生まれました。Opcenterを導入した結果、わたし自身がより付加価値の高い作業に専念できるようになりました。」
大量データのアップロードも選択肢の1つでしたが、それだけではTrekが求める分析機能やインテリジェンスを得られません。いくつかのソフトウェア・ソリューションを評価した結果、TrekはOpcenterが最良の選択肢であるいう結論に至りました。
Schultz氏はこう述べます。「最終的にOpcenter Advanced Planning and Scheduleソフトウェアが解決策だと分かりました。
スコープの定義に着手し、どのようなソフトウェアが適しているかを検討していくなかで、3社のうち、シーメンスの認定パートナーであるSNicが唯一、Opcenterを別の顧客に導入した実績があると回答しました。Opcenterを実際に導入しているユーザーからも話を聞くことができ、われわれの求めている機能があることを確認できました。
このソフトウェアとSNicの高い専門性の組み合わせは貴重です。SNicのチームは、当社の課題を正しく理解したうえで、業務に特化したカスタム・ロジック・ソリューションの開発を協力して進めてくれました。Opcenter APSは、すぐに使える数々のオプションと機能性で抜きん出ています。評価したほかの製品と比べて、Opcenterが業界で非常に幅広く採用されている点も気に入りました。
Schultz氏はこう話します。「Opcenterで多くの作業を自動化しました。われわれのスケジューリングチームは、サプライチェーンに何か問題が発生するたびに、何十万もの作業指示と出荷指示の日付を手作業で変更しなければならず、これに多くの時間を費やしていました。Opcenterを導入したことで、スケジューリングチームが日付の付け替え作業に忙殺されることがなくなり、多くの分析作業を担えるようになりました。
Opcenterは、それぞれの部門がどの部品を組み立てるのか、長期的な見通しを示してくれます。これにより、どういった研修が必要か、どのような従業員を採用すべきか、見えてきます。
チームの規模は同じままで、これまでの2倍の業務を管理できます。また、度重なる操業停止を回避できるため、従業員の士気向上にもつながっています。
Lodl氏は次のように述べています。「Trekのお客様は、予想よりも大幅に短い納期で夢のカスタムバイクを手に入れています。われわれはかけがえのない購入体験を提供しています。」