電源ICの未来をリードするTOREXは、Tannerを活用して絶え間なく小型・軽量化する電子機器の開発ニーズにいち早く対応
TOREXは、超小型電源ICに特化したアナログ専門のプロフェッショナル集団です。
トレックス・セミコンダクター株式会社(以下TOREX)は、超小型電源ICに特化したアナログ専門集団です。スマートフォン、デジカメ、パソコンといった身近なモバイル機器から、カーナビ、ETC車載器、パワーウィンドウなどの車載アイテム、ロボットをはじめとした産業機器まで、あらゆる分野でTOREXの電源ICが高く評価されています。特に、パッケージの小型化と値段のバランスが秀逸で他社を寄せ付けない強さを持っており、高品質・高信頼性を担保しつつ、さらなる超低消費電力化、超小型化、超低ノイズ化 製品のラインアップの拡充を図っています。
TOREXが展開する降圧型DC/DCコンバータIC「XC9281/XC9282シリーズ」は、降圧型DC/DCコンバータIC、入力コンデンサと出力コンデンサ、コイルから構成される回路全体を縮小化し、入力電圧範囲2.5〜5.5V、最大出力電流600mAクラスの降圧型DC/DCコンバータICにおいて、世界最小クラスの実装面積を実現しています。
「設計者は、低消費電力化、小型化を極めるべく日々チャレンジを繰り返しています」と、TOREX 開発本部 製品開発部 XCL製品グループの青木 宣博氏は語ります。
通常の思考で市場のニーズを実現しようとすると、回路規模が大きくなり、コストがかさんでしまうため、IC設計者は、いかにシンプルで無駄のない構成で性能を向上させ、製造や温度によるばらつきを少なくするかを考えます。そして、回路図エディタで基本構成を回路図に落とし込み、考えているスペックが実現できるかどうかをシミュレーションで確認し、製品化の目途をつけ仕様を決定します。この時、設計ツールに求められることは、いかに素早く簡単に、既存の回路図やレイアウトなどの設計資産にアクセスしたり、新しい回路を加え組み合わせたりできるかになります。
Tannerツール群では、回路図からレイアウトまで一貫したアナログ/ミックスシグナル(AMS)のフルフロー設計環境が提供されているので、設計者は必要なフェーズで必要なツールを使って容易に回路やレイアウトにアクセスし、任意のファウンドリのPDKを選択し、回路とチップサイズの見積を行うことができます。
前述の降圧型DC/DCコンバータICは、TOREX独自のフィードバックループの制御方式を工夫することで、スイッチング周波数の変動幅を小さく抑え、効果的なノイズ対策を行っています。この設計では、既存機能と同等以上の性能を確保しつつ、降圧型DC/DCコンバータIC、入力コンデンサと出力コンデンサ、コイルから構成される回路全体を従来製品の10分の1にするという大きなチャレンジに挑戦しました。この時にも、Tannerが大きな役割を果たしています。
Tannerツール群は、アナログ/ミックスシグナル(AMS)IC設計用フルフロー・ソリューションとして、アナログ設計フロー(回路図エディタ、SPICEシミュレータ、レイアウトエディタ、DRC/LVS/寄生素子抽出)、デジタル設計フロー(デジタルシミュレータ、論理合成、自動配置配線)、ミックスシグナル設計フローから構成されています。
設計者が日々多くの時間を費やすS-Edit回路図エディタやL-Editレイアウト・エディタは、操作性も良く、設計期間の短縮に寄与します。青木氏は、「特にシミュレーションでは、ハイインピーダンス検証など高機能検証が有効で使いやすい。見逃しやすい実動作時に悪影響をもたらす可能性のある構成をシミュレーションで検出できるので、事前に問題を回避できる」と話しています。
ファブからTannerツール群向けにQAされたPDKがリリースされている点も、大きなメリットの1つです。精度に大きく関係するシミュレーション・モデルやパラメトリック・セル、DRC/LVS/RC抽出のルールファイルなど、ファブが提供するPDKを使用できるので、ファブとやり取りが非常にスムーズです。
動作環境も、Windows®とLinux®の両方をサポートしています。ノートPCのWindows OSにインストールして、打合せなどの外出先でも利用ができることからビジネスにも効果的です。また、Linuxで動作するEldoシミュレータやCalibre検証ツールを、LinuxにインストールしたTannerツールからだけではなく、WindowsにインストールしたTannerツールからも実行できるなど、柔軟な設計環境が構築できます。
TOREX 開発本部 プロセス製品技術部 プロセス技術グループの中野 寛之氏は、「我々のミッションは、設計期間短縮ができる信頼性の高い設計環境を構築することだ。Tannerは、アナログオントップの設計で広く使われる実績があり、TOREXにとってROIの高い設計環境が構築できる。これまで、積極的にツールやPDKをカスタマイズし設計環境を整えてきたが、今後も機能強化や改善を継続する。まずは、テストベンチとシミュレーション結果を管理するTanner Designを活用し、最新のシミュレーション結果に基づく回路のpass/fail判定の可視化を行い、人的ミスを起こさない設計環境の強化に取り組む。また、コモンセントロイドなどのレイアウト制約を可視的に管理・編集する機能にも、設計期間短縮に加え、熟練設計者のノウハウを効果的に継承する手段として利用できることを期待する」と話しています。
さらに中野氏は、「我々の声が、現場のサポートを通じて開発に届いている事を感じる。フロントエンド環境をTannerに変更した際も、適切なサポートを受け設計資産の移行をスムーズに行うことができた。今後もシーメンスを良きパートナーとして、ROIの高いツールの開発、提供を期待する」と、続けました。
電源ICの未来をリードするTOREXは、Tannerツール群を活用し、絶え間なく小型・軽量化する電子機器の開発ニーズにいち早く対応しています。