Valorを使用してステンシルのカスタマイズ工程を自動化および簡素化し、リードタイムの短縮を達成したSRXGlobal
1991年に設立されたSRXは、医療、工業、防衛、銀行、通信、セキュリティなどの分野の国際的な顧客に対して、幅広い電子機器製造サービスを提供しています。オーストラリアのシドニーに本社を構え、日々のオペレーションをメルボルン、シンガポール、およびマレーシアのジョホールバルとペナンで管理しています。
SRXGlobal (SRX) は多国籍電子機器受託製造企業 (CEM) であり、医療、工業、銀行、防衛、通信などの分野の国際的な顧客に対して、設計、エンジニアリング、開発、および製造のソリューションを提供しています。SRXの設立は1991年、オーストラリアのシドニーに本社を構え、日々のオペレーションをメルボルン、シンガポール、およびマレーシアのジョホールバルとペナンで管理しています。
多品種少量生産に向かう業界の流れのなかで、電子機器製造企業はエンジニアリング手法を見直しており、SRXも例外ではありません。SRXのエンジニアリング・マネージャーを務めるNick Niculita氏は、次のように説明します。「競争の激しい環境にあって、エンジニアリング・コストの削減は重大な関心事です。生産までのエンジニアリング手法を標準化することが、多品種生産をうまく実行するための鍵であり、どの製造企業もそうであるように、デジタル・トランスフォーメーションの導入は必須だと言わざるを得ません。当社はオペレーションをデジタル化した結果、すべてをオンラインでつなぎ、オペレーターが工場のどこにいてもアクセスできるようになりました。」
デジタライゼーションで重視したもののひとつが、表面実装技術 (SMT) のはんだ付けミスをいかに減らすかということです。はんだ付けミスは、生産の不具合や、遅延につながり、収支に直結します。Niculita氏はこう述べています。「世界的な電子機器製造の事業者団体であるIPCによると、SMT不具合の最大65%はプリント工程で発生しています。ステンシルは、プリント・パラメーターの適用とはんだペーストの塗布に続いてはんだペーストの堆積物の品質に影響を及ぼす3番目に重要な要素です。不良ステンシルは、すべてのプリント基板に影響する可能性があります。
当社は、はんだ付けミスの根本原因がステンシル設計の間違いにあることを突き止めました。ステンシルの切断には、時間を短縮するためにCADデータを使用していました。パッドの開口部の大きさと形状がまったく同じだったため、さまざまなはんだ付け不良を引き起こしていました。代替策としてステンシルをカスタマイズしていましたが、生産エンジニアがCAMツールを使用して、開口部を手作業で編集する必要があるため、時間がかかり、ミスが発生しやすくなります。編集には特別の知識を要し、エンジニアの解釈に左右されます。
したがって、カスタマイズのプロセスを標準化することで、ミスと遅延が減少します。さらに、初回からすべて正しく設計すれば、ステンシル切断のやり直しも発生しません。」
SRXは、デジタル化と標準化の目標を達成するために、シーメンスのオーストラリアのパートナー企業であるONBoard Solutionsの助けを借りて、Valor™ Process Preparationソフトウェア・ステンシル・モジュールを実装しました。
Valorのステンシル・モジュールは、ステンシルのカスタマイズ工程を簡素化し、迅速にするためのツールです。Valor Process Preparationは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提供する包括的なソフトウェアとサービスの統合ポートフォリオ、Siemens Xceleratorの一部であり、このなかにはテスト容易化設計 (DFT) モジュールも含まれています。
ONBoard Solutionsの営業オペレーション担当を務めるJoshua Lawson氏は次のように述べています。「SRXのビジネスニーズは、DFTプローブのエンジニアリング・プロセスにありました。以前はタカヤのシステムで実行するフライング・プローブ・テスト・プログラムの作成に何日もかかっていましたが、われわれはValorのソリューションであれば、まったく同じ問題をほんの数時間で解決できるはずだとわかっていました。」
シーメンスの包括的な部品データベースであるValor Parts Libraryを利用することによって、生産エンジニアはステンシルを部品ごとに自動カスタマイズできます。これはプロセス・エンジニアの専門知識や正しい解釈に頼らなくても、容易にステンシル作成を標準化できるソリューションです。
Valor Parts Libraryはステンシル設計が最適であり、ステンシル製作業者が実行可能な状態であるかを検証します。「Valor Parts Libraryに内蔵されたナレッジベースを同製品のテンプレートに反映し、初回から成功するステンシル設計を生成しています。」とNiculita氏は語りました。
Valor Process Preparationステンシル・モジュールのレポート機能は、ツーリングのさまざまな詳細情報やステンシル設計のトレーサビリティ・データを出力し、このレポートは国際標準化機構 (ISO9001/ISO13485) などの新製品投入品質保証 (NPI-QA) 規格の社内コンプライアンス監査に使用できます。
このレポートはまた、はんだの必要量とコストを計算するためにも使用でき、各基板に使用するはんだペーストの量がわかります。
Lawson氏はさらに、「この素晴らしいステンシル・エンジニアリング・ツールをソリューションに加えることで、NPIプロセスとSMTプロセスの不良削減、ならびにはんだペースト使用量の見積もりに関するコスト計算の情報という、大きな価値をもたらしました。」と述べています。
Niculita氏によると、「当社が評価したすべてのエンジニアリング・ソリューションのなかで、Valor Process Preparationは最も包括的であり、生産の全段階を1つのツールだけでカバーしています。そのため、いくつものツールを習得したり、ツール間を統合したりする必要がありません。
当社の生産は、もうプロセス・エンジニアの経験だけが頼りではありません。Valor Process Preparationは、当社に最高の価値をもたらしてくれました。
IPCが提示したベスト・プラクティスに基づいて、適正なはんだペーストを使用し、プリント・パラメーターを注意深く管理し、標準化した方法でステンシルを設計すれば、完璧なプリントが完成します。この当社の目標がValor Process Preparationによって実現しました。」
Valor Process Preparationのステンシル・モジュールを実装した結果として得られた成果は次のとおりです。
現在、SRXはValor BOM Connectorという、シーメンスのプリント回路基板 (PCB) 見積もり生成ツールを評価しています。このソフトウェアは、Valor Process Preparationや、Valor Parts Library、エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムとのインターフェースがあり、正確な価格情報を迅速に生成します。