シーメンスAGは、Teamcenterソリューションをコスト・バリュー・エンジニアリング・エコシステムのコア技術と位置付けて製品コスト計算に利用してます。
SシーメンスAGは、電化、自動化、デジタル化に重点を置いて活動するグローバル企業です。
シーメンスは、エレクトリフィケーション、オートメーション、デジタライゼーションに重点を置いて活動するグローバル企業です。エネルギー効率と資源保全を追求する技術を提供する世界最大規模の企業の1つであるシーメンスは、発電・送電システムと医療診断分野のリーダーでもあります。シーメンスはインフラと業界ソリューションにおいて先駆的な役割を担っています。これらの分野の市場が持つ可能性を引き出すため 、シ ー メンス に は 電 力・ガ ス 、風 力・再生エネルギー、発電サービス、エネルギー管理、建築技術、モビリティー、デジタルファクトリー、プロセス&ドライブ、ヘルスケアの9つの事業部門があります。技術集団であるシーメンスは、技術上の優位性を維持しながら、新たなイノベーションを求めて、サプライチェーンの最適化を重視しています。
シーメンスは全体的かつ機能横断的なコ スト・バリュー・エ ン ジ ニ アリング (CVE) アプローチを実践しており、すべての部門のサプライチェーン管理機能に専任のCVEエキスパートを配置しています。製品とコンポーネントのコストの透明性を確保するため、CVEの知識を開発プロセスの早い段階で導入しています。このアプローチを適用することによって、コストとバリューが最適化されたシステム・コンポーネント設計を実現し、サプライヤーと協議してサプライチェーンを確立するために定量的な判断基準が得られます。CVEエキスパートは、この情報を開発、製品管理、経理、調達部門との協議の場へ持ち込みます。近年実施された1,000以上のプロジェクトがCVEアプローチによって支援されており、事業に及ぼす効果が実践の場で見事に実証されています。
これらの困難な課題の解決をサポートしてコストの透明性を確立するために、シーメンスのTeamcenter®ソリューションである製品コスト管理を数年にわたって使用してきました。シーメンスにとっての重要な利点は、Teamcenterによって、すべての事業部のエキスパート達が分野を超えて協働し情報を交換することで、プロジェクトが円滑化されるということです。このソリューションでは、標準化されたプロセスと計算手法、計算の基準を提供するだけでなく、企業全体でコスト概念を統一化する評価ロジックにより結果の比較を可能にします。
シーメンスのCVEエキスパートは、Teamcenter Product Cost Managementと他のツールをサプライヤーの要求に合わせて目標原価計算に適用し、それぞれの必要な製品コンポーネントに妥当な初期価格を設定します。Teamcenterを使用することにより、CVEエキスパートはサプライヤーとの協議に入る前に妥当な製品価格がどうあるべきかを示す証拠を提示することができるため、正確な事実に基づく議論を通して透明性を確保することが可能となり、コスト改善に向けたサプライヤーとの共同作業における相互の信頼性が高まります。Teamcenter内のプロセスは構造化されており、論理的です。製品目標原価は「ボトムアップ」方式で分析的に計算されます。製品コストは項目化され、部品表(BOM)として示されます。したがって、すべての直接製品原価と製造コスト(材料費、加工費、間接費など)を明確に識別することができます。さらに、既存の間接コスト構造をマッピングまたはシミュレートするため、間接費それぞれのファクターを計算して部品コスト計算に算入したり、部品表の構成に含めたりすることができます。最後に、CVEエキスパートは初期製造部品表から価格設定部品表を受け取り、その内容を原価企画値と比較します。企画値と実際の値に乖離が見られる場合は、コスト解析と評価に基づいて、異なる製造方法のシミュレーションを行います。ここでもTeamcenterを使用します。このように、コストを初期のステージで評価することは、コストを適正な方向へ導くことに直結します。
Teamcenterを使用して一貫性のある方法でコストの内訳を作ることにより、コスト構造を明瞭に見通せるようになり、その後のコストの変化も容易に理解できるようになります。このように、シーメンスは最適化した目標原価を作成し、サプライヤーとのワークショップで価格交渉に利用しています。これは、部品調達を成功させる重要なファクターです。Teamcenter Product Cost Managementを使用することによって、シーメンスはプロセスを分析的に評価できるようになり、コストの最適化と効率的な変更管理が可能となりました。
Teamcenter Product Cost Managementがもたらすコスト構造の可視化は、あいまいな仮定や推測だけを根拠としない投資判断を可能にします。経験に基づくアプローチを採用しているため、これから開発する製品の初期の開発ステージであってもコストシミュレーションが可能であり、確固とした定量的な判断基準を必要とするコスト重視の技術判断(例えば鋳造にするか溶接にするか)にも適用することができます。CVEエキスパートは、Teamcenterを使用してさまざまな設計シナリオに適合する計算モデルを構築し、その計算結果を研究開発 (R&D) とエンジニアリングを担当するパートナー達に提供します。より成熟した開発ステージへ進むと、アナログCVE分析法を適用してサプライチェーンと製造システムの最適なセットアップを定義します。さまざまなプロジェクトの、いわゆる「原価企画段階における見積もり」へのTeamcenter Product Cost Managementの適用は優れた実績をあげており、Siemensではこれを体系的に拡張してコスト・バリュー・エ ン ジ ニ アリング として 実 践しています。
シーメンスのコスト・バリュー・エンジニアリング部門長であるDr. Klaus-Peter Schneiderは、このように述べています。「Teamcenter Product Cost Managementは、複雑な問題を分析的に解決するのに役立つばかりでなく、新しい可能性をも引き出してくれます。サプライチェーンの異なるステージを横断的に把握してコスト構造の詳細を理解することは、持続可能性、革新のための時間的な余地を創出することにもつながります。」
2016会計年度においてCVEプロジェクトが関わったシーメンスの調達量は約34億ユーロに達し、さらに2017年までに50億ユーロ、2020年までに120億ユーロ超まで増額する計画を立てています。シーメンスのCFOであるDr. Ralf P. Thomasは述べます。「私たちの目標は コ スト・バリュー・エ ン ジ ニ アリングの適用範囲を大幅に拡大することです。その成功の鍵となるのは、社内のより多くの部門で製品コスト管理に弊社のTeamcenterソフトウェアを使用することです。」