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産業グレードの3Dプリンターを数週間で設計し、部品供給のあり方を変えたアディティブ・マニュファクチャリングのシステム・プロバイダー

NXを活用してデジタライゼーションを実現し、部品のリードタイムを90%短縮したSchubert Additive Solutions

産業グレードの3Dプリンターを数週間で設計し、部品供給のあり方を変えたアディティブ・マニュファクチャリングのシステム・プロバイダー

Schubert Additive Solutions

Schubert Additive Solutionsは、Partboxと呼ばれる分散型オンデマンド部品生産ソリューションを提供しています。Partboxは、部品製造用のデータ・ストリーミング・プラットフォーム、3Dプリンター、プラスチック・フィラメント材料で構成されています。 Partboxのユーザーは、カスタム部品のデザインを購入することで、高い品質とセキュリティを完備したプロセスで、その部品を自社でプリントできます。

https://www.partbox.io/

本社:
クライルスハイム, Germany
製品:
Additive Manufacturing Network, NX
業種:
産業機械

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NX全体を通じたエンドツーエンドのデータ一貫性によって、この画期的なプロセスのすべての側面をデジタル・スレッドでつなげることができました。
Conrad Zanzinger氏, 最高技術責任者, Schubert Additive Solutions

複雑な部品のリードタイムを短縮

Schubert Additive Solutions (Schubert Additive) は、ドイツのクライルスハイムに拠点を置くSchubert Group (Schubert) のグループ企業であり、包装機械およびソリューションの大手メーカーです。Schubertは、シンプルな機構の相互連携、インテリジェントな制御技術、拡張モジュールの強みを生かし、デジタル技術を駆使したロボットベースの包装機械を設計および製造しています。医薬品、化粧品、食品・飲料品、製菓、技術製品など、幅広い業界向けに一次包装および二次包装のターンキー・ソリューションを提供しています。

包装機械では、複雑な部品やアセンブリが少量ずつ必要になることが多いため、Schubertは早くからアディティブ・マニュファクチャリング (AM) 技術の導入に乗り出していました。2012年から選択的レーザー焼結 (SLS) 方式を採用したことで、最大190個の加工部品で構成していたアセンブリに変わる複雑な部品を製造できるようになりました。

ロボット・グリッパーのカスタマイズ設計は、AMの活用に最適な分野です。包装する製品に合わせてグリッパーを容易にカスタマイズできます。「Schubert Additiveのロボット包装ソリューションの主要コンポーネントであるグリッパーは、スペアパーツとしても、また包装する製品の変更に素早く対応するためにも、迅速に入手できることが重要です。
これまでは、AM装置で素早くグリッパーを製造したとしても、必要な場所に届けるまでに数日かかっていました。」と、Schubert Additiveの最高技術責任者 (CTO)、Conrad Zanzinger氏は言います。

そこで、デジタライゼーションを活用して、サプライチェーン・プロセスを見直すことでAM部品のリードタイムを大幅に短縮したいと考えました。これを実現するソリューションがシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのNX™でした。Schubert Additiveは、設計から製造まで一貫して対応するこの包括的なソリューションを採用することにしました。産業グレードの3Dプリンターをわずか数週間で設計できるため、部品のリードタイムは90%短縮し、部品供給のあり方が一変しました。

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Schubert AdditiveはNXを使用して、±0.1mmの寸法精度を実現する産業グレードの3Dプリンター「Partbox」を開発しました。また、プラスチック・メーカーと協力して、最適な成果を得るためのフィラメント材料も開発しました。

産業グレードの3Dプリンターの設計

「必要な部品のほとんどは、長年の実績を持つ熱溶解フィラメント方式 (FFF: Fused Filament Fabrication) を用いて、3Dプリントでプラスチック材料から作ることができます。Schubert Additiveは、顧客が自社でプリントできる仕組みを作るために設立された会社です。その仕組みは、顧客が部品を注文すると、その部品のデジタル製造データが顧客の現場に届き、産業グレードのアディティブ・マニュファクチャリング技術を用いて、従量課金制で顧客が自社で部品を製造するというものです。」とZanzinger氏は説明します。

この仕組みを完成させるまでには、克服すべき課題がいくつかありました。1つは、3Dプリンターの品質と信頼性です。Zanzinger氏は次のように言います。「当初は、大手メーカーの既製の3Dプリンターを使用していましたが、期待に応える性能ではありませんでした。」既製プリンターは、機械的安定性とプリント品質が不十分でした。寸法精度と表面品質要件を満たした部品を確実に製造することができず、また、生産環境で時折しか使用しないにもかかわらず、注意を払わなければならない点が多すぎました。

Schubert Additiveはこうした課題に対処するために、NXを使用してPartboxソリューションというまったく新しい3Dプリンターを開発しました。なお、NXは、ソフトウェア、ハードウェア、サービスを包括したSiemens Xceleratorビジネス・プラットフォームの一部です。NXには、金型や治具の設計、部品品質管理、ロボット・プログラミング、生産ライン計画、アディティブ・マニュファクチャリングのためのコンピューター支援設計 (CAD)、コンピューター支援製造 (CAM)、数値制御 (NC) プログラミング用ソフトウェアを備えています。

時間に絶えず追われているSchubert Additiveのエンジニアにとって、さまざまな専用ソフトウェア・ツールが統合され、情報の一貫性が保たれているNXは非常に有益でした。Zanzinger氏は次のように述べています。「NXを使用してPartboxのデジタルツインを作成し、検証することで、当社の設計エンジニアは、新型コロナ禍で大変な環境にあったにもかかわらず、わずか数週間で開発を終わらせることができました。
機械設計と検証、プログラム生成、AM関連タスクのすべてのユーザー・インターフェースが共通だったため、非常に効率的でした。」

必要な安定性と信頼性を実現するために、Schubert Additiveのエンジニアは、NXに備わっているAM向けの設計、トポロジ、ビルド準備最適化ツールを活用しました。市販の3Dプリンターでこれまで使用していたスライサー・ソフトウェアもNXに含まれていました。市販の3DプリンターからNXに切り替えても、プログラミングの変更は一切必要ありませんでした。

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シーメンスのアディディブ・マニュファクチャリング・ネットワークは、AM用に再設計するCADデータを受信するために使用します。このネットワークはPartbox OSにシームレスに統合されています。(画像提供: Thorsten Hiller)

グローバルなAM環境

「NXの最先端の設計ツールと専用のAM機能を使用することで、部品メーカーは従来の設計データをアディティブ・マニュファクチャリング用に容易に作り変えることができます。そのため、もともと従来の製造手法向けに設計された部品でも、3Dプリント可能な部品に変えることができます。」とZanzinger氏は言います。NXのシームレスな連携機能や正確な再現性により、ファイルのインポートとエクスポート、さらには既存の設計をゼロから再作成する必要性が減り、作業時間と変換エラーを大幅に削減できます。

Schubert Additiveが克服しなければならなかったもう1つの課題は、セキュリティでした。特に部品設計者の知的財産権を保護する必要がありました。Zanzinger氏は説明します。「ファイルを顧客へ転送することは論外でした。不正取得される可能性のある場所にデータを保存することなく、認証済みのプリントジョブを、Partboxに直接ストリーミングする安全な方法を見つける必要がありました。」

この課題を克服するために、Schubert Additiveのエンジニアは、Partboxオペレーティング・システムを開発しました。また、シーメンスアディディブ・マニュファクチャリング・ネットワークを通じて受け取る再設計用のCADファイルも開発しました。オンラインのデジタル倉庫としての役割を果たすこのオペレーティング・システムによって、顧客は、部品メーカーから実際の部品ではなく、プリント・ライセンスを受け取ります。CPJ (Certified Printing Jobs®) の形式で受け取るこのライセンスは、いわばシステムの技術的な「DNA」とも言えます。このライセンスは、LTE (Long-Term Evolution) 通信規格を介して指定のプリンターにストリーミングされるため、Partboxプリンターはネットワーク・インフラも、企業ネットワークとの統合も必要ありません。

Partboxオペレーティング・システムはオープンであるため、顧客が選択するベンダーに制限はありません。また、顧客独自の部品や治具のプリントジョブを部品ストリーミング・プラットフォームにアップロードして保管することで、必要なときに必要な場所でプリントできます。これにより、部品そのものの在庫を減らしつつも、部品の可用性を高めることができます。部品ではなくCPJを購入し、Partbox 3Dプリンターを使って現地生産するほうが、輸送に伴う環境汚染も回避できて、より持続可能です。また、さまざまなプロセスや輸送コスト、通関手続きが不要になるため、時間も短縮されます。

Partboxのオンデマンド部品生産に要する時間は、AM向けに設計を変更する時間も含めて通常1日です。これに対して従来の手法では輸送も含めて1.5週間かかっていたため、90%以上もの時間短縮になります。スペアパーツの場合、従来は数日間ダウンタイムが発生していたのに対し、Partboxのオンデマンド部品生産ではオペレーションの中断がなくなります。「当社は、デジタル・トランスフォーメーションを活用して、部品の流通と生産に革命を起こしました。NX全体を通じたエンドツーエンドのデータ一貫性によって、この画期的なプロセスのすべての側面をデジタル・スレッドでつなげることができました。」とZanzinger氏は言います。

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アディティブ・マニュファクチャリングを使用することで、コーヒー用クリームの個装パックに必要な真空グリッパーの部品の複雑さを軽減できました。具体的には、192個の旋削部品、18個の複雑なミル加工部品、1,024個のねじが必要だったのが、わずか3個の部品と8個のネジに減り、組み立て時間も1日から10分に短縮しました。

NXの最先端の設計ツールと専用のAM機能を使用することで、部品メーカーは従来の設計をアディティブ・マニュファクチャリング用に容易に作り変えることができます。
Conrad Zanzinger氏, 最高技術責任者, Schubert Additive Solutions