シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソリューションを使って50%強度が高く、20%軽量化した部品を製造したRurok
Rurok Industriesは、優れたエンジニアリングとモダンな自転車デザインを融合させた先進的な自転車メーカーです。競技用であれ、冒険用であれ、単に楽しむためのものであれ、Rurokはより良い自転車作りと優れたエンジニアリング体験の提供に励んでいます。#engineeredexperience.
http://www.rurokindustries.com/
Rurok Industriesは、パフォーマンス・マウンテン・バイクを作るために設立した会社です。創設者たちが当時乗っていた自転車は満足のいくものではなかったことが設立のきっかけでした。Rurokは、創設者たちのフィリピンでの自転車乗車体験をもとに、マウンテン・バイクの改良を始めました。会社設立の原動力となったのが、この重要な信念です。「自転車は、それに乗る人と同様、絶えず前進し、進歩し、より良くならなければならない。」Rurok Industriesの創設者兼ヘッド・エンジニアであるP. J. Tolentino氏の言葉です。
パフォーマンス・バイク産業は、非常に競争の激しい市場です。Rurokは、自転車ライダーたちの経験やフィードバックをもとに、最先端の技術とツールを駆使してイノベーションを起こし、競合他社との差別化を図りたいと考えました。「フィリピンのローカル企業でも、イノベーションを通じて世界で競えるようになると信じています」とTolentino氏は語ります。
精密に設計された高性能な製品、特に、画期的な新しい製品であればなおさら開発するのは容易ではありません。画期的な自転車デザインは、包括的なテストおよび試作プロセスを必要とします。Tolentino氏は、設立当初に直面したさまざまな課題についてこう説明しています。「製造に入る前に設計を徹底的にテストする必要がありましたが、常に未知の領域に挑んでいたため、初期の試作品は99%がうまくいきませんでした。試作品の製作は多大なコストと時間がかかります。」
従来のパラメトリック・モデリング・ソフトウェアに満足できず、限界を感じたため、RurokはシーメンスのCAD (コンピューター支援設計) ソフトウェアであるSolid Edge® を採用することにしました。
「純粋なパラメトリック・モデリング・ソフトウェアを使っていたときは、部品を成形するために多くの数字を入力しなければなりませんでした。頭で思い描いていた形状と最終的なデザインが似つかないものになることはよくあることですが、それは、決まった形状や数字を使って設計しなければならないからです。一方、Solid Edgeのシンクロナス・テクノロジーは、部品の形状をより豊かに表現し、設計することができます。形状を描画したり数字を入力したりする代わりに、デジタルペンで形状をスケッチすると、シンクロナス・テクノロジーが形状を生成してくれます。数字を入力する代わりに、デザインを押したり引いたり (プッシュ/プル)、曲げたりできます。」とTolentino 氏は話します。
設計ワークフローが大幅に効率化されたため、Rurokはデザイン案を製造可能な部品に簡単に生まれ変わらせることができます。Solid Edgeを使うことで試作プロセスを効率化し、エンジニアリング・コストを大幅に削減して、部品の試作の成功率を著しく向上させました。部品の開発時間も20%短縮しました。
小さなスタートアップ企業のRurokにとって、コスト削減につながることはどんなことでも重要です。この新たな技術を使うことでRurokは成長し、製品の範囲を拡張し、リソースを他の分野に再配分することができました。
もう1つ、Rurokにとって欠かせないSolid Edgeの重要な機能は、ジェネレーティブ・デザインです。この機能は、重量と強度のバランスのとれた複雑な形状を最適化し、製造で出る材料廃棄を最小限に抑えることができます。この機能のおかげでRurokは、最適化した部品をより効率的に製造できるようになりました。
Tolentino氏は次のように話します。「Solid Edgeを使う前は、有限要素解析を実施して、負荷が比較的かかっていない部品の部位を評価したうえで、その部位を削った形状を考え出していました。この方法は評価に多大な労力がかかるうえ、最終デザインは決して完璧と言えるものではありませんでした。
これまでの設計プロセスで生まれた部品デザインは、最適とは言えませんでした。Solid Edgeのジェネレーティブ・デザイン機能を使うようになってからは、ソフトウェアがスケッチと設計パラメーター (材料、部品がおさめられる領域、負荷、拘束条件) に基づいて設計を最適化するため、より効率的で迅速な設計プロセスになりました。「Solid Edgeを使えば、このプロセスがずっと簡単で早くなります。しかも、より最適化したデザインになります。すべてを手作業で進めていた以前の設計ツールでは達成できなかったことです。」と話すTolentino氏。
競技用自転車にとって最も重要な2つの特性は、自転車全体の強度と重量です。Solid Edgeを使用することでRurokは、これまでより50%も強度が高く、20%軽量化 (長さで正規化) した部品を製造することに成功しました。
Rurokの基盤は競技とパフォーマンスであり、競技チームからのフィードバックは製品の限界を押し広げるうえで欠かせません。自転車の機能部品の大半は試作して競技チームにテストしてもらいます。競技チームはその結果を素早く設計/エンジニアリング・チームに伝えます。「例えば、競技チームの1人が、ある試作自転車で柔軟性が高すぎると報告したことがありました。柔軟性を減らし、剛性を高めるには、自転車をどのように変更すればいいか。そこで、治具やテスト装置、シミュレーションを使って低剛性の原因がどこにあるかを見きわめ、それに応じて設計を変更しました。このようにRurokの自転車の1ミリ1ミリを私たちが設計し、決定しています。」とTolentinoと氏。
部品や製品の継続的なテストがイノベーションを促進し、Rurokのパフォーマンス・マウンテン・バイクの限界を押し広げてきました。このようにしてRurokは成長し、2019年にマウンテン・バイク3モデル (CordilleraとKanalaon、そして直近のHalcon) を世界に向けて発表しました。将来に向けた同社の目標はシンプルです。より良い自転車を作り続け、乗り続けることです。