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ユーザー事例

オラクル・レッドブル・レーシング、シーメンスのソフトウェア・ソリューションを使用して、効率性、一貫性、コスト効率を向上

FibersimとMendixを使用して、複合材部品やローコード・アプリケーションの開発を強化

オラクル・レッドブル・レーシング、シーメンスのソフトウェア・ソリューションを使用して、効率性、一貫性、コスト効率を向上

オラクル・レッドブル・レーシング

オラクル・レッドブル・レーシングは、2005年からFormula 1 (F1) に参戦してきました。専門チームは800名以上に成長し、レースで大きな成功を収めています。2020年までに8つの世界選手権と63の個別レースで優勝した実績を誇ります。

https://www.redbullracing.com/int-en
本社:
ミルトン・キーンズ, United Kingdom
製品:
NX, Fibersim, Teamcenter
業種:
自動車 / 輸送機器

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Fibersimは、非常に短い期間に輝かしい勝利を収めました。一例として、レースカーのリアウィングからフロントノーズ近くまで伸びる大きなフロア・モールディングの製造時間を25%を削減しました。これは55人時に相当します。
Chris Richardson氏, 製造エンジニア
オラクル・レッドブル・レーシング

均等な機会を保証する新しいルール

Formula 1®は、新しいチームを呼び込み、Formula 1をスポーツとして存続させるためにルール改訂を進めています。2021年に各チームは、一部中止になった2020年シーズン向けに元々開発していた車両を使ってレースに参戦しましたが、新たに規定されたコストキャップ (予算上限) に従う必要がありました。コストキャップが設けられたのは、大規模チームと小規模チームがより近い条件で競えるようにして、このスポーツ全体の経済的な持続可能性を向上させるためでした。

2022年シーズンは、テクニカル・レギュレーションの大幅改訂、特に空力性能に関するルールが改訂され、「オーバーテイク」などの派手なレーストラック・アクションを増やす工夫がなされました。オラクル・レッドブル・レーシングや他のチームにとって、これらのルール変更は新たな課題となりました。

「コストキャップが設定されていても、シーズンを通してマシンを調整しますが、変更の数と性質は精選しなければなりません。シミュレーションをさらに使用して、バーンレート (資金燃焼率) を厳密に管理する必要があります。」最高情報責任者 (CIO) のMatt Cadieux氏はこのように述べています。「幸いなことに、データ駆動型の効果的な意思決定を行えるインフラストラクチャが整っています。」

このインフラストラクチャは、ソフトウェア、ハードウェア、サービスのビジネス・プラットフォーム、Siemens Xceleratorに含まれるTeamcenter、NXソフトウェアに基づいています。これは、オラクル・レッドブル・レーシングがシーメンスとパートナーシップを結んだ2004年に構築されました。シーメンスは、この有名なレーシング・チームの最も古いパートナーの1つです。「当社のITチームは小規模であるため、当初は優れた技術サポートを備えた高品質のプラットフォームが必要でした。」とCadieux氏は続けます。「シーメンスのリーダーシップと専門知識を活用することで、柔軟かつ合理化なワークフローを開発し、ボトルネックを解決できました。その結果、開発プロセスを明確に把握できるようになり、デジタルモデルから直接製造して簡単に変更を加え、工場やレーストラックでパフォーマンスを向上させることが可能になりました。」

適応性のあるインフラストラクチャ

長年にわたり、シーメンスのツールセットの使いやすさを向上させる取り組みは継続的に行われてきました。コンピューター支援設計 (CAD)/製品ライフサイクル管理 (PLM) の責任者であるDan Watkins氏は次のように説明しています。「アナリストの数も少なく、アナリストには優先度の高い事項に集中して欲しかったのです。NXの使いやすさが向上し、より焦点を絞って合理化されたユーザー・インターフェースを通じて、シミュレーション・ツールの一部を設計エンジニアに直接提供し、設計エンジニアはNXで直行率解析を実行できるようになりました。これは、より詳細な構造および熱解析へと進む前に、部品の相対的な適合性を評価するのに役立っています。その結果、サイクル数と反復作業コストが低減して、最適化が向上し、新しい部品をレースカーに搭載するまでにかかる時間も短縮しました。」

ルールの変更は、チームの他の優先事項と並行して進める必要があります。目標は、速いレースカーを生産することに集中し続けることです。このため、オラクル・レッドブル・レーシングは常に新しいツールを評価して採用しており、2020年初頭にはFibersim™ポートフォリオをメイン・ワークストリームに実装し、Mendix™プラットフォームをアプリケーション開発プログラムに導入しました。Fibersim™とMendix™は両方ともSiemens Xceleratorの一部です。

An adaptable infrastructure

クリーンルームの一貫性

炭素部品の製造には、時間のかかる手作業プロセスでの炭素繊維の層形成が含まれます。パッチとインサートを使用してデータを解釈し、材料を測定して複雑な曲線を作成しますが、手作業なので、個々の複合材料ラミネート担当者間でばらつきが生じる可能性があります。製造エンジニアのChris Richardson氏は次のように述べています。「継続的な改善の一環として、設計事務所からクリーンルームに情報を正確に転送するために、レーザー・プロジェクションの利点をすべて特定しました。ソフトウェアを評価した後、最適なソリューションとしてFibersimを選択しました。NXと連携することが決め手でした。」

Watkins氏は言います。「Siemens NXのオープンなアーキテクチャにより、Fibersimに受け渡す前のジオメトリ作成ワークフローを自動化して最適化することができました。ばらつきをなくしてプロセス全体を合理化しました。標準化された繰り返し可能な出力を生成するのに従来は4時間以上かかっていましたが、今では約2分で生成できるようになりました。現在、複数のユーザーがFibersimを使用して、レーザー・プロジェクションの緑色の光に誘導される繰り返し可能なプロセスを行い、0.5mm以内の精度で炭素繊維部品を製造しています。

「最終部品と元の設計の相関関係には、非常に高い信頼性があります。」とRichardson氏は言います。「従来は、これほどの精度は不可能でした。」

Clean room consistency

製造時間の短縮、無駄の削減

試行では、プロセスは最大30%速くなり、初回から一発で正しい部品が得られることが示されました。「Fibersimのおかげで、短い期間に本当に大きな成功を収められました。」とRichardson氏は続けます。「一例として、レースカーのリアウィングからフロントノーズ近くまで伸びる大きなフロア・モールディングでは、製造時間を25%を削減しました。これは55人時に相当します。プレ硬化サスペンションの半分で製造時間を30%短縮しました。つまり、1部品あたり6時間以上の作業、車両の部品全体では約24時間の作業を短縮しました。これにより、設計に費やせる時間が増えて、チームはレースカーの性能アップグレードをさらに進められます。また、ラミネート担当者は確実に、余分な材料が金型に入らないようにすることができます。つまり、重量も削減できます。F1レースでは1gが勝負を分けます。」

Richardson氏は、将来的にはさらに軽量化できる可能性があると言います。「たとえば、一部のインサートの周囲に使用する材料の量を減らせるかもしれません。以前は、ラミネート設計者は、プライを配置する際の人為ミスを考慮して、大きめの材料パッチを要求する必要がありました。」

クリーンルームの主な作業はトリム加工ですが、報告ではトリム加工のスループットも向上しています。硬化プロセス後の準備が減り、部品の複雑なボンディングが10時間も短縮した例があります。

Faster build time, less waste

支出を追跡

2021年にチームは、新たなコストキャップ内でオペレーションを進めるだけでなく、完全に準拠していることを示す必要がありました。「私たちはスポーツ統治機関による監査を受けます。F1関連の活動や免除されているカテゴリーへの支出について十分に説明できないと、失格になる可能性があります。」とCadieux氏は説明します。「予算を削減して、その予算をどのように最大活用するか、具体的にレースカーのどこに投資すべきかなど、意思決定をすばやく下せるように最新の財務状況を共有して、調整する必要があります。」

さまざまな支出を特定する手段を備えた透明性の高いシステムが喫緊に必要でした。そこでオラクル・レッドブル・レーシングが目を向けたのが、ローコード・プラットフォームのMendixを買収したシーメンスだったのです。

「Mendixは、当社のデジタライゼーション・プロセスの新たなステップです。」とWatkins氏は言います。「シーメンスの支援を受け、あらゆるデバイスで動作するローコード・アプリケーションを開発するプラットフォームとしてMendixを使用することで、情報へ俊敏にアクセスできる新たな機会が開いています。」

Keeping track of spending

デジタライゼーション・プロセスを継続

「シーメンスのポートフォリオは、モデリング、製図、製造のすべてを1か所で行えるため、以前から重宝していました。」とRichardson氏は言います。「最新のNXアップグレードで、より明確なインターフェースと複数の新機能が加わり、さらに改善されました。ラミネート担当者がFibersimを使うようになったので、用途はさらに広がるでしょう。」

Watkins氏は次のように付け加えています。「シーメンスのプラットフォームは複数のプログラミング言語をサポートしているため、どんなジョブにも、最適なプログラミング・コードを選択できます。これは私たちにとっては大きな利点です。独自のツールを開発して「管理業務を自動化」し、エンジニアが真の付加価値を生む仕事に集中できるようにすることが非常に重要です。シーメンスのポートフォリオがなければ、これほどのことは不可能でした。」

「私たちは適切な基盤を備えているので、立ち位置は強固です。」Cadieux氏はこのように結論付けています。「課題はかつてないほど高度になっていますが、シーメンスから高いレベルの支援を受けられるため、以前には気づきもしなかった新しい可能性が開いています。シーメンスは、私たちのチームの一員だと思っています。」

Mendixは、当社のデジタライゼーション・プロセスの新たなステップです。シーメンスの支援を受け、あらゆるデバイスで動作するローコード・アプリケーションを開発するプラットフォームとしてMendixを使用することで、情報へ俊敏にアクセスできる新たな機会が開いています。
Dan Watkins氏, CAD/PLM責任者
オラクル・レッドブル・レーシング
課題はかつてないほど高度になっていますが、シーメンスから高いレベルの支援を受けられるため、以前には気づきもしなかった新しい可能性が開いています。シーメンスは、私たちのチームの一員だと思っています。
Matt Cadieux氏, 最高情報責任者
オラクル・レッドブル・レーシング
シーメンスのプラットフォームは複数のプログラミング言語をサポートしているため、どんなジョブにも、最適なプログラミング・コードを選択できます。これは私たちにとっては大きな利点です。
Dan Watkins氏, CAD/PLM責任者
オラクル・レッドブル・レーシング
Siemens NXのオープンなアーキテクチャにより、Fibersimに受け渡す前のジオメトリ作成ワークフローを自動化して最適化することができました。
Dan Watkins氏, CAD/PLM責任者
オラクル・レッドブル・レーシング