オークランド大学の学生がTecnomatixおよびTeamcenterソフトウェアを利用して複雑なシステムを設計、解析、管理...
オークランド大学は、非常に優秀な教授陣、柔軟なカリキュラム、7,500万ドルを投じた工学センターなどの新しい設備、インターンシップ、協同組合、企業パートナーとの共同調査研究機会を通じて、学生ひとりひとりのニーズに合った高品質な教育を提供しています。産業・システム工学部 (ISE) には、産業・システム工学、工学技術管理、システム工学の学士課程と修士課程を設置しています。
オークランド大学に産業・システム工学部 (ISE) が新設された2005年、学部のテーマを決める必要がありました。選んだテーマは製品ライフサイクル管理(PLM)でした。PLMは、シミュレーション、人間工学、品質、リーン製造、プロジェクト管理など同学部の掲げる教育研究課程のすべての側面を網羅していたからです。2009年、ISE学部はシーメンスのグローバルアカデミックパートナープログラムに参加しました。
このパートナープログラムを通じて、デジタル製造ソリューションのTecnomatix®ポートフォリオ (Plant Simulationソリューション、Jack™ソフトウェア、Process Simulateソリューションを含む) とTeamcenter™ソフトウェアツール、関連するトレーニングとサポートの提供を受けました。一連のPLMツールは、産業・システム工学入門、人間工学と作業設計、離散事象システムのコンピューターシミュレーションなど既存の課程に導入されました。
これらの課程では、PLMツールを使用した課題が学生に与えられます。たとえば、産業・システム工学入門課程では、ラボにあるPlant Simulationを使用して製品ラインをシミュレーションし、 選択したステーションからサイクル時間データを収集するという課題があります。その後、収集したデータを用いて、サイクルタイムの確率プロットを作成し、システム性能を解析します。Plant Simulationには詳しいユーザーマニュアルが用意されていたので、学生たちはそれぞれの課題を完了できました。
産業・システム工学部のMegan Conrad助教授は、Jackの使用についてこのように述べています。「教室内でJackを使用することで、学生たちは人間工学の問題を別の観点から考えることができました。カスタマイズした作業空間の適合性を見るだけでなく、時間情報と作業量情報を比較しながら、腰を痛めるリスク要因や危険な関節姿勢を最小化できます。シーメンスPLMソフトウェアのソリューションを使用した実践的な経験を通じて、オークランド大学ISEの学生たちを多くの企業に求められる人材へと育てることができました。ISE学部の複数の学生が、在籍中にデジタルヒューマンモデリング業界の職を手にすることができました。」
同大学がPLM課程として最初に創設した学部はまさに「製品ライフサイクル管理」課程そのものと言えます。PLMのビジネス価値の全体像をくまなく把握できます。講義概要にはこのように記載されています。「製品ライフサイクルを構成する4つの段階 (作成、製造、維持、廃棄) に対するシステムエンジニアリング管理を学びます。全製品データの一元管理手法と、そのデータにアクセスするための技術についても考えます。PLMへのCAD統合、要件/構成エンジニアリング管理、設計仕様要件の変更管理、プロセスプランニングなどの科目が含まれます。」
オークランド大学ISE学部長兼Pawley Professor of Lean StudiesのRobert Van Til博士はこう述べています。「既存の課程にPLMツールを取り入れることを学生と教職員は非常に好意的に受け止めています。しかし、問題が1つありました。学生たちはPLMツールの操作方法を習得し、一定の問題には応用できるようになりましたが、ツールについてより深く学び、工学設計と解析にも役立てたいという要望が学生たちと教授陣から寄せられたのです。つまり、ツールがどのように動作し、どのように使用されるかをより詳しく知ることは役に立つだろうという意見でした。」
これを受け、アプリケーションをより詳しく学ぶ複数のPLM課程を新設したのです。新課程では、PLMソフトウェアを具体的にどのように使うかを検討したのち、複数の課題で実際にツールを使いました。今日までに4つの新課程が編成されています。それらは、PLMアプリケーション - 製品データ管理 (Teamcenter)、PLMアプリケーション - ロボット工学 (Process Simulate Robotics)、PLMアプリケーション - 人間工学 (Jack)、PLMアプリケーション - 変更管理 (Teamcenter) です。
たとえば、PLMアプリケーション - 変更管理課程の講座概要は次の通りです。「複雑な製品の定義に加え、製品の設計、開発、管理をライフライクル全体を通して行うための機能的/物理的な要求仕様を取り込む製品ライフサイクル管理 (PLM) ソフトウェアツールのメソドロジと適用事例を学びます。最先端のPLMツールとアプリケーションを使用する実践学習を主眼においたコースです。」
ほとんどのISE課程が4単位であるのに対し、PLMアプリケーション課程は2単位です。教室での講義ではなく、PLMラボでの実践演習が主体であるためです。PLMアプリケーション課程は初回から学生からも教職員からも高く評価されました。こうした評価を受け、学部はPLMアプリケーション課程の増設を検討しています。
オークランド大学産業・システム工学部は、同大学のPawley Leanインスティテュートと協力して、高度なスキルをもつ即戦力エンジニアを採用したい産業界に対して、学生の工学専攻離れが続く現状を見据えた取り組みをしています。たとえば、STEM教育のアウトリーチプログラムのパイロット版を立ち上げ、ISEの学生および教授陣とK-12の学生および教職員が交流する機会を創出し、大学環境のなかで実践的で実験的な学びを得る双方向のプログラムを成功させています。
このプログラムは、産業・システム工学分野への就職を希望するK-12の学生を増やすという目的のもと、3年以上前にスタートしました。現在では、高校生とその教師がオークランド大学のキャンパスにあるISE学部の設備やラボをクラス単位で訪れる機会を提供しています。ミシガン南東部以外の地域にもプログラムを展開できるよう、将来的には遠隔ラーニングも視野に入れています。
高校生とISEの学生および教授陣、地元企業のボランティアが協力して、リーン製造とPLMの分野に特化した実地プロジェクトにも取り組んでいます。このプログラムでは、3-4週間かけて、1つの高校から20-25名の高校生グループが3回キャンパスを訪問します。各グループは、キャンパス内のプロジェクトに2-3時間参加します。その際、ほとんどの高校生はISE学生食堂で昼食をともにしています。
初回の訪問ではまず、ISEDについて学術的概要の説明を受けたのち、全地形対応車 (ATV) を組み立てる工場の物理シミュレーションを行いました。2回目の訪問では、離散事象シミュレーションの概要を聞いてから、初回の訪問で収集したデータをもとに、Plant Simulationを使用してATV工場のデジタルシミュレーションを定義し、実施しました。最後の訪問では、人間工学のいろはを学び、Jackで人間工学シミュレーションを行いました。
このK-12 STEMアウトリーチプログラムは、参加した学生、その教師、参観した父兄から高い評価を受けました。シーホルム高校の教師であり、アルバート・アインシュタイン教育者教育奨学金の認定も受けた (2015年から2016年) Doug Blatz氏はこう述べています。「シーホルム高校の生徒たちは、STEMx Research and Designというコースに参加しました。この過程は、周辺地域で働くプロフェッショナルとの学外研修を通じて、研究とエンジニアリングの方法論を確立するものです。初回の学外研修にオークランド大学ISE学部での学習体験が含まれていました。シーホルム高校の生徒たちは、産業・システム工学のアプリケーションを使ったシミュレーションに参加することで、非常に素晴らしい経験を得ることができました。たとえば、人間工学に関する設計プロトコルを扱うJackソフトウェアプログラムに触れる機会を得ました。また、製品ライフサイクル管理の分野を将来の職業選択の候補として考えるきっかけにもなりました。ISE学部は、シーホルム高校やPLM活動を進めるほかの高等学校と長期的なSTEMパートナーシップを結んでくれています。」
オークランド大学の学生たちは、シーメンスPLMソフトウェアソリューションの使用経験を得たことで、次世代に必要とされる工学スキルの習得とキャリアアップのチャンスを獲得しました。
産業・システム工学部の現役学生であるRussell Bauer氏はこのように述べています。「今もまだ現役の学部生ですが、最近になって自動車OEMへの就職が決まり、働き始めました。現在では、新型車両の立ち上げプロセスの加速するためのモーションキャプチャーやバーチャルリアリティーといった最先端の技術に触れています。」オークランド大学のISE学部では、人間工学課程でモーションピクチャーを学ぶ一方、PLM課程で業界が求める知識を習得できました。
ISE学部を最近卒業したJohn Katona氏は、PLM課程で学んだ経験を活かして、仕事でも成功を収めています。「学生時代、私はPlant Simulationを利用したコンピューターシミュレーションを行い、地元の医療機関の救急治療室における病床管理を学んでいました。LinkedInで私の経験を知ったある企業から連絡をもらい、面接をしたその日にシミュレーショングループへの採用が決まりました。」