Skip to Main Content
ユーザー事例

数々の賞に輝く自動車を記録的な速さで作り上げる

品質、コスト、時間に重点を置くために、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのデジタル・プラットフォームを使用

数々の賞に輝く自動車を記録的な速さで作り上げる

日産テクニカルセンター・ヨーロッパ

日産テクニカルセンター・ヨーロッパ (NTCE) は、日本、米国、欧州にセンターを構える日産の統合研究開発 (R&D) ネットワークの一部です。日産の欧州6か所の研究開発拠点の中で最大規模を誇り、500名以上のエンジニアが在籍するNTCEは、日産の欧州工場で製造される車両の設計・開発の中核的研究拠点 (Center of Excellence) です。

http://www.nissan-global.com/
本社:
ベッドフォードシャー州、クランフィールド, United Kingdom
製品:
NX, NX CAD, Simcenter 3D Software, Simcenter Nastran, Simcenter Products, Teamcenter
業種:
自動車 / 輸送機器

共有する

Teamcenterはバージョン管理機能が優れているので、コスト削減と製品改善が促進されます。
Ian Keen氏, シニア・エンジニア
日産テクニカルセンター・ヨーロッパ

これまでにないレベルで能力を発揮できるPLMシステム

「高い性能を持つ魅力的な車種に、卓越性と洗練が加わった。」これは、英国の自動車購入者向けガイド「What Car?」が日産キャシュカイを「カー・オブ・ザ・イヤー2014」に選出した際の評価です。経済的で上品と評された2代目キャシュカイは、その快適性、洗練さ、車内空間の広さ、安全性が評価されました。「パーセル・シェルフの収納方法に至るまで、細部にわたって考え抜かれている。」

数々の賞に輝く、この小型SUVは、英国クランフィールドにある日産テクニカルセンター・ヨーロッパ (NTCE) の功績によるものです。日産テクニカルセンター・ヨーロッパで車両設計・開発担当バイス・プレジデントを務めるDavid Moss氏は、次のように話しています。「新型キャシュカイの開発では、品質、コスト、時間を重視する必要がありました。最適なPLM (製品ライフサイクル管理) システムの導入が不可欠でした。世界で製造する年間500万台の自動車のうち、50万台以上を英国で生産する日産にとって、最適なソリューションはTeamcenter®ソフトウェア、NX™ソフトウェア、Simcenter™ 3Dソフトウェアです。これらは、同社のV-3P環境の基盤となるデジタル・プラットフォームです。この環境で新しいキャシュカイを開発することにより、サプライチェーン全体のコラボレーションが向上して作業期間が短縮されるとともに、品質管理業務も改善されました。エンジニアも、これまでにないレベルで能力を発揮できます。」

スムーズなアップグレードにより、記録的な速さでキャシュカイを開発

日産は、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの長年の販売代理店であるOnePLMのサポートを受けています。OnePLMは、すでに何年も日産テクニカルセンター・ヨーロッパ (NTCE) に技術サポートを提供し、日産のV-3P環境を深く理解しています。NTCEがキャシュカイの開発準備を進めるなか、OnePLMは、Teamcenter EnterpriseおよびI-deas™ソフトウェアのバージョン5からのアップグレードと、TeamcenterソフトウェアとNXソフトウェアのアーキテクチャ統合を支援しました。作業にはレガシーデータの移行も含まれていましたが、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのデジタルツールのおかげで簡単に移行できました。NTCEのシニア・エンジニアであるIan Keen氏は、次のようにコメントしています。「新型キャシュカイを開発していたとき、OnePLMのエンジニアが5~6名常駐していました。彼らはTeamcenterと日産のシステムの仕組みに精通しています。車両が生産段階に入り、われわれのスキルが上がった現在は、2名のエンジニアがトレーニングや、個別のサポート、問題解決を行ってくれています。何かがうまくいかない場合は、彼らに解決策や提言を求めます。」Moss氏は「OnePLMとの連携により、新型キャシュカイのプロジェクトを記録的な速さで開発できました。」と付け加えました。

スムーズなアップグレードにより、記録的な速さでキャシュカイを開発

コラボレーション = 生産性に大きな強み

日産の組織は、職能の異なるチームが英国をはじめ、世界各地に点在しています。Keen氏によると、コラボレーションはPLMの大きなメリットです。「Teamcenterのおかげで、設計と製造のさまざまな側面でNXのデータを効果的かつ効率的に共有できます。われわれは特にスペイン、日本、ベトナムのチームと仕事をしており、全員が最新データにアクセスできることが分かっています。これは部品を同時進行で開発するエンジニアにとって重要な要素です。」

Teamcenterによって確立されたコラボレーション環境では、社内の情報交換だけでなく、サプライヤーとのコミュニケーションも改善されます。Moss氏は、「パートナーとのリアルタイムのコラボレーションは、当社の大きな強みです。サプライヤーが日産と同じツールを使用できることが大きな強みです。実際、同じツールを使用することで、より簡単に情報を交換でき、そのリアルタイム環境から大きなメリットを得られます。全員が同じデータで作業するため、必要な答えに素早く到達し、開発をスピードアップできます。」と語りました。

コラボレーション = 生産性に大きな強み

ワークフローを高速化し、開発期間を半分に短縮

車両の部品表 (BOM) が日産グループのグローバルBOMであるG2Bにリリースされると、Teamcenterで複製され、NXにコピーされます。その時点から、日産テクニカルセンター・ヨーロッパのシニア・エンジニアであるDean Bailey氏と彼のスタッフが、部品データの作成を開始します。彼らはホワイトボディのコンピューター支援設計 (CAD) データ作成と、世界各地の日産事業所や、ルノーなどのパートナー、サプライヤー (設備、治具、金型を提供するサプライヤーを含む) とのCADデータ交換を担当しています。

ロンドンにある日産デザイン・スタジオが、スタイリング・データを提供します。エンジニアは、ルーフ、前面、背面、側面などの一般的なセクションと複数のピラーから始めて、すべてのサーフェスを作成します。Bailey氏の説明によると、「ボディ全体で80〜90のサーフェスがあり、これらからすべての補強材を含む全パネルの基本的な形状が得られます。NXを使用して、ボディのメタルデータ作成が本当に速くなりました。スタイリング・データを使った作業から、エンジニアリング・データや、生産リリースデータ、その後のメンテナンス段階のデータの作成に至るまで、NXですべてを網羅できます。」とのことです。

Keen氏と彼のチームは、デジタルロット (ビルド) の計画と、製品ライフサイクル全体にわたるPLMのデータ管理を担当しています。Keen氏は次のように述べています。「現在、プロジェクトを前倒しし、NXをデジタル段階で使用して、部品や車両の性能を検証しています。試作部品の割合をできる限り少なくして、生産ツールで最初の実車両を製造します。開発サイクルのうち、非常に高コストで時間のかかる部分がなくなりました。われわれは使用しているデジタルツールで作成されるCADデータの精度に自信をもっています。まさに、新型キャシュカイ開発資金の優良な投資先ともいえるものだからです。かつては多くの試作車を手作業で組み立てていたため、1回の開発サイクルに6〜7年を要していましたが、現在は、物理試作を省いているため、3年間に短縮できました。」

ワークフローを高速化し、開発期間を半分に短縮

優れた品質管理

Teamcenterは、すべての設計データと関連ドキュメントを1か所に格納するリポジトリです。Keen氏は「Teamcenterは、例えば、当社で形状リリースと呼んでいるもの、つまり事実上すべての3D CADデータ、2D情報、製品仕様、データメモを管理しています。」と述べています。

また、Teamcenterで照会して、必要なNXデータを取得するのは非常に簡単だとも指摘しています。「新型キャシュカイのエンジン・アセンブリの最新状況を調べたい場合や、6か月前の様子を見たい場合は、履歴を遡ってどのような設計変更が行われたかを確認できます。」エンジニアのデータが常に最新であることがきわめて重要です。あらゆる変更内容は、日産のグローバルCADセンター (日本) および世界各地のテクニカル・センターで即座に反映されます。「Teamcenterはバージョン管理機能が優れているので、コスト削減と製品改善が促進されます。」

優れた品質管理優れた品質管理

シミュレーションが導く新次元の成果

日産テクニカルセンター・ヨーロッパでは、CADモデルの作成に加えて、NX環境と完全に統合されたSimcenter 3Dを使用して、応力と熱性能を解析し、モーション・シミュレーションを実行しています。NTCEのエンジニアが特に注力しているのが、Simcenter Nastranソルバーを使用した強度と剛性の検証です。

Keen氏は次のように説明しています。「これまでの設計エンジニアは、予備知識や経験に基づいて部品を設計していました。例えば、ブラケットを過剰設計してしまうと、コストと質量に影響します。Simcenter 3Dを使うことで、穴径やエンボスのサイズ、材料厚などの変更の影響や、たわみ、応力集中を見て、設計案を精査できます。その後、さまざまな設計オプションを検討し、最適なものをすばやく選択できます。」CAEの結果、部品の強度や剛性の値が正しくないことがわかった場合、高価な生産ツーリングを開始する前に、Simcenter 3Dで簡単に変更できます。

Moss氏は、Simcenter 3Dがビジネスにもたらす価値を理解しています。「新型キャシュカイのCO2排出目標を99グラムに設定し、無事に達成しました。これまで、このサイズの車両では達成できなかったことです。当社のエンジニアは、高度なシミュレーションを使用し、車両の不要な重量をすべて取り除くなど、設計を最適化できました。」

シミュレーションが導く新次元の成果

これからも続く優位性

Keen氏の言葉によると、「日産は、お客様のニーズに合った製品をより早く市場に投入するために、開発ライフサイクルを常に短縮しています。そのため、サプライヤーだけでなく、研究、テスト、生産エンジニアリングといった、社内のほかの事業部門と効果的に連携するためのツールが必要です。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのテクノロジーは、それを可能にします。」とのことです。

Moss氏は最後に、「新型キャシュカイの開発にあたり、多くの設計ツールを比較検討したところ、NXと、Simcenter 3D、Teamcenterが、品質とタイミングの面で多くのメリットをもたらしてくれることがわかりました。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのデジタル・プラットフォームにより、データ作成時間を約20%短縮しながら品質を維持できていることが、ビジネス上の優位性をもたらしています。」と語りました。

NXを使用して、ボディのメタルデータ作成が本当に速くなりました。
Dean Bailey氏, シニア・エンジニア
日産テクニカルセンター・ヨーロッパ