ユーザー事例

自動車メーカー、塗装工場のスループットを15%向上

Insights HubとPlant SimulationのIoTデータ解析を活用し、生産中に発生する問題の根本原因を特定したMGI

自動車メーカー、塗装工場のスループットを15%向上

MG Motor India

MG Motor Indiaは、次世代の自動車メーカー構築に向けた明確なビジョンを掲げています。同時に、モーリス・ガレージの伝統とスポーツカーで築いた専門技術を活かした最高の自動車体験をお客様に提供したいと考えています。

https://www.mgmotor.co.in/

本社:
グジャラート州, India
製品:
Insights Hub, Plant Simulation, Tecnomatix
業種:
自動車 / 輸送機器

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Insights Hubを使用することで、高度なIoTデータ解析を実施して重要な機器やシステムをリアルタイムで迅速に監視できるため、予期せぬダウンタイムを最小限に抑えて、生産性を高め、生産効率を上げられると期待しています。
Ravi Mittal氏, 製造ディレクター, MG Motor India

塗装工場のオペレーションで発生するボトルネックに対処

1924年、イギリス (UK) でモーリス・ガレージ (MG: Morris Garages) が設立されました。MG Motor India (MGI) は、上海汽車集団 (SAIC Motor Corporation Limited) 傘下の企業であり、自動車製造を専門にしています。大部分のオペレーションを主にインドのハロル工場で行っており、自動車部品と車両を製造しています。自動車の組み立てラインは、車体の表面処理を専門に行う塗装ステーションや、前処理および電解析出 (PTED) を行う塗装ステーションなど、多くの工程で構成されます。

ここ数年、MGIの工場ではPTED塗装ステーションの作業が大きなボトルネックとなっていました。プログラマブル・ロジック・コントローラー (PLC) やアンドン・システムなど、20年以上にわたって使用している旧式の自動化システムしかないため、生産性の改善につながる情報を特定、示唆することは困難です。せいぜい設備総合効率 (OEE) やダウンタイム・データといった標準的な主要性能指標 (KPI) データしかなく、塗装工場のシステムで、信頼できる正確な、リアルタイムのパフォーマンス・データを提供することはできません。

既存の手法や技術を使用して、簡単な情報を把握することはできますが、プロセスのボトルネックを解消するには、より詳細な解析が必要です。

「既存のシステムでは、待ち時間、移動時間、アイドル時間を含め、各ステーションの個々のステップの実行に必要な時間を取得できず、プロセス時間を後から利用するために保存しておくことができません。この課題を解決し、信頼できる正確な入力データを管理できるソリューションが必要でした」と、MG Motor Indiaの製造ディレクターであるRavi Mittal氏は述べています。

Insights Hubを使ってデータをつなげ、ボトルネックを特定する

こうした問題に対処するためMGIは、シーメンスの産業用IoTソリューションであるInsightsHubと、Tecnomatix®ポートフォリオのPlant Simulationを採用しました。Insights HubとPlant Simulationは、ソフトウェア、ハードウェア、サービスを包括したビジネス・プラットフォームであるSiemens Xceleratorに含まれています。MGIはこの2つのソフトウェア・ポートフォリオを採用し、PTEDラインにおける処理能力と生産性の向上を成功させました。

MGIのチームは、すぐに使えるInsights Hub接続ソリューションを使用することで、分離していた機器をつなぎ、モバイル通信 (GSM) ネットワークを介してInsights Hubにデータを転送できるようにしました。生産プロセスの各ステップのすべての時系列データがInsights Hubにアップロードされ、さらなるデータ解析のベースとなりました。

「当社は、産業用IoTアプリケーションであるInsights HubのVisual Flow Creatorを使用して、ルール作成、KPI定義、高度な解析のためのワークフローを作成しています。これにより、生の時系列データを実用的な情報に変換することができます」とMittal氏は言います。

Mittal氏はさらに次のように話します。「もう一つの産業用IoTアプリケーション、easyDASHを使用してダッシュボードも簡単に作成しています。製造現場の機器を監視および視覚化して、最適化とパフォーマンス管理に役立てています。ダッシュボードの色分け機能を使用して、JPH、サイクルタイム、待ち時間、移動時間といった重要なパラメーターが目標の運用効率の範囲値内であるかどうかを把握します。これにより、プロセスの現状をより包括的に可視化することができ、より効果的な意思決定を下せるようになりました。」

Insights Hubを活用した可視化とカスタマイズ解析により、詳細な作業ステップのデジタル・プロセス・データを取得し、クラウドに保存することもできます。MGIはプロセスの長所/短所/機会/脅威 (SWOT) 解析を実施し、可視化できるようにしました。これにより、生産損失が起きる根本原因を特定し、実質的な生産量を向上させるための解決策を講じることができます。

Insights HubとPlant Simulationを統合して、生産能力を最適化

「製造現場から実際の生産データを収集したら、時系列データをInsights HubからPlant Simulationに転送します。これにより、デジタルツイン・モデルを使用して、実際の生産データをもとに生産プロセスを再現し、問題の根本原因を把握することができます。
問題を特定できたら、必要な変更を加えます。同時に、その変更がもたらす影響を実際の生産データを使用したシミュレーションを実施して検証します。変更によって予期せぬ影響や新たな制約が生まれないかを、より正確に調べます。こうした問題を仮想デジタルツイン・モデルを使って解決すれば、自信を持って生産システムに変更を加えられるようになります」とMittal 氏。

産業用IoT (IIoT) とプラント・シミュレーションを組み合わせることで、クローズドループの包括的なデジタルツインを築くことができるため、MGIは実際の生産データを使用して生産能力を継続的に最適化できるようになります。

Integrating MindSphere and Plant Simulation to optimize production throughout

塗装工場のパフォーマンスを向上

Mittal氏は次のように述べています。「シーメンスは、運用技術、IIoT技術、システム・シミュレーションの3つの分野を組み合わせています。この3つはほぼリアルタイムでつながっており、PTEDラインの生産能力を15%向上させています。」

シーメンスとのコラボレーションにより、デジタル・トランスフォーメーションへの取り組みを継続

「MGIは、エコシステム・パートナーと協力することで絶えず進化し、急速に変化する要件に対応し、革新的なサービスを提供しています。シーメンスとのコラボレーションで重点を置いているのは、産業のデジタライゼーションとインテリジェントな製造です。Insights Hubを使用することで、高度なIoTデータ解析を実施して重要な機器やシステムをリアルタイムで迅速に監視できるため、予期せぬダウンタイムを最小限に抑えて、生産性を高め、生産効率を上げられると期待しています。シーメンスとの提携を嬉しく思うとともに、製造プロセス全体にソフトウェア技術を採用し、オペレーションのさらなる変革を目指しています」とMittal氏。

ダッシュボードの色分け機能を使用して、JPH、サイクルタイム、待ち時間、移動時間といった重要なパラメーターが目標の運用効率の範囲値内であるかどうかを把握します。
Ravi Mittal氏, 製造ディレクター, MG Motor India