BöglがPLMを使用して大規模な建設プロジェクトをより効率的にモデル化し、管理
1929年にMax Böglがレンガ積み事業として設立したMax Bögl Group (本社: ドイツ ノイマルクト) は、建築分野ではドイツで4番目に大きな企業であり、ドイツ最大の民間建築企業です。Böglは全世界で6,000人の従業員を雇用しており、2012年には16億ユーロの収益を達成しました。
1929年にレンガ積み事業として設立されて以来、Max Bögl Group (Bögl) は国際的な建設および専門サービス・プロバイダーへと進化してきました。主力となる事業には、インフラ建設、橋梁建設、構造工学、鉄鋼およびプラント建設、コンクリート系プレハブの建設および輸送が含まれます。
高度な構造工学の専門企業であるBöglは、大規模な橋梁構造物の建設など、技術的および物流的なソリューションを世界中に提供しています。また、プレキャスト・コンクリート部品の製造も専門としており、複数の製造工場でモバイルユニットを使用して現場製造しています。
Böglの設計と製造における豊富な経験は、高速鉄道線路用のスラブ軌道システムなどのイノベーションをもたらしました。この支持プレート・システムは、長寿命、高い安全性、耐振動性、低い保守費用といったメリットがあります。将来的には、Böglはその知識を活用して再生可能エネルギーの有効活用を期待しています。風力発電所用のハイブリッド・タワーシステムの建造成功は、この取り組みへの第一歩となりました。
既存の建物の地下に地下鉄トンネルを安全に建設するための人工地盤凍結の3Dシミュレーション。著作権: Max Bögl Group
Böglで建築情報管理 (BIM) 開発を指揮するAlexander Kropp氏は、製造業とは異なり、今日の建築業界ではタスクに特化した2Dコンピューター支援設計 (CAD) ソリューションを使用する傾向にあるが、3D設計環境はより多くのメリットを約束すると指摘します。今日Böglは、CAD、コンピューター支援製造 (CAM)、数値制御 (NC) 技術、製品ライフサイクル管理 (PLM) ツールを主に使用して開発作業にあたっています。Kropp氏はこう述べます。「複雑な自由曲面を持つプレハブ・コンクリート部品のボード材を5軸ミル加工機で製造しています。橋梁や構造工学に必要な部品を効率的かつ正確に機械加工するために必要なNCプログラムを作成できるのは、3D CAD/CAMシステムだけだったため、7年前にNX CAMを導入しました。また、設計や計画にも3Dツールを活用したいと考えており、構造工学部門でもNX CADを採用することにしました」
BöglがSiemens Xceleratorのソフトウェア、ハードウェア、サービスのビジネス・プラットフォームの一部であるNX™ソフトウェアを選んだのは、これまで使ってきたNX CAMソフトウェアの満足度の高さが理由です。同社はまた、造船業界におけるNXの成功例についても言及しています。曲面を持つ溶接橋梁構造は、船舶設計で使用されるものと似ているからです。
Kropp氏は、NXを使えば、ユーザーはどんな形状でも設計でき、曲折した道路や鉄道線路に沿って形状を変形させることもできると指摘します。NXを使用すると、周囲の地形や移動する材料も考慮に入れることができます。こうしたことは他の多くの3D CADシステムでは不可能です。ほかのCADシステムは、表面が複雑でない建造物の設計に主に使用されており、製造などの他のタスクとは統合されていません。
Kropp氏は言います。「NXは、特に複雑な表面の設計に強みがあり、非常に高性能で柔軟なツールです。また、設計から製造に至るまでのモデルの連携性に優れています。こうした点からもNXは当社のニーズにぴったりと合致しています。別のシステムではまったく処理できなかった業務や、効率の低かった業務を処理できるようになりました」
地質環境内の3D風力発電所モデル。著作権: Max Bögl Group
プロセスの効率性と透明性を高めるため、Böglはすべての製品およびプロジェクト関連の情報とドキュメントを一元化されたソースに保存および管理し、権限のあるすべての担当者がいつでもデータを利用できるようにするプロジェクトを開始しました。これを実現するために、同社は同じくシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのTeamcenter ®ソフトウェアを選択しました。BIMソフトウェアも同様のタスクを処理できますが、BöglはTeamcenterの完全なPLM機能、特にNXなどのツールとの統合を選びました。
Teamcenterは、2013年5月から風力エネルギー部門のパイロット・プロジェクトで使用されており、高さ120~160メートルのハイブリッド・タワーの建設計画をサポートしています。これらのタワーはロットで製造され、Böglは年間最大200個のタワーを生産しています。各タワーには、下部に17から22のコンクリート・リングがあり、上部に2つまたは3つのスチール・セグメント (合計の高さ約20フィート) があります。
コンピューター数値制御 (CNC) 機械を使用して精密に研磨されたコンクリート・リングは、モルタルを使わないドライ・ジョイントで互いに重ね合わされ、内部テンドンでプレストレストがかけられます。上部コンクリート・リングにはフラッシュキャスト・スチール・フランジがあり、下部のスチール・セグメントと一緒にネジ止めされています。Max Böglが設計した組立プロセス専用クレーンは、森林などの困難な建設現場で動作する自動昇降ユニットを備えたものです。
Kropp氏はこう述べています。「部品表 (BOM) やフォームボードの作成など、タワーの完全な設計にはNXを使用しました。鋼材の設計データは、CNCフレーム切断機の制御に使用されます。さらに、エレベーター、ケーブル、油圧機器の配線など、内部要素の設計はNXを使用します。すべてをまとめると、関連するすべてのデータがTeamcenterを使用して管理されます」
風力発電プラントでは大量のドキュメントが必要なため、Teamcenterは各部品の品質データの管理にも使用されます。Teamcenterは、プロジェクト開発、プロジェクト計画、リソース計画全体でこのデータを管理し、クローズドループ・ドキュメンテーションを実現します。さらにBöglは、製造機械やコンクリート・ミキサーからの品質データをデジタルで記録し、エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムと統合されたTeamcenterを通じて、このデータを利用できるようにすることを計画しています。
市中の橋の3Dモデル。著作権: Max Bögl Group
「NXにより、Max Böglの計画と製造プロセスが明らかに簡素化されました。また、土木作業を2Dツールで計画するとコストと時間がかかるため、透明性と安全性に優れた3Dツールが適していますが、NXはこうしたニーズにも応えてくれます」とKropp氏は述べています。
Kropp氏は続けます。「3Dモデリングにより、計画の初期段階で、建築プロジェクトに必要な材料の種類と質量に関する詳細な情報を得ることができます。さらに、社内のさまざまな部門間や第三者との連携やコミュニケーションも容易になりました。3Dモデルデータを他のプロセス関連データとリンクさせることで、建設プロセスのリアルなシミュレーションが可能になり、建築前に最終的な構造を視覚化できます」
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソフトウェア・ソリューションは、BöglのBIMニーズに非常に効果的であるだけでなく、技術プロバイダーとの協力関係も満足のいくものです。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは、建造物の設計に適した図面の調整機能をすでに実装しています。また、建築業界で使用される多数のソフトウェア・ソリューションやデータ形式とのインターフェースがシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの開発パートナーから提供されています。その一例が、Neoappsが開発したNXとLandXML間のインターフェースです。Böglは、LandXMLを使用して、デジタル地形モデルデータと、鉄道や道路などのインフラ建築物の経路情報データを交換することを計画しています。
Kropp氏はこう語ります。「当社のBIMアプローチの目的は、さまざまなデータセットをまとめ、社内や第三者と共有することです。PLMは、当社の主要なプロジェクトのニーズだけでなく、研究プロジェクトや専門機関との仕事にも活用されています。さらに、より多くの計画作業に3Dツールを活用する予定です。つまり、今後はNXをより広範囲に活用していくということです」
地下鉄駅の3Dモデル (地上および地下)。
著作権: Max Bögl Group
著作権: Max Bögl Group