Skip to Main Content
ユーザー事例

Simcenter SCADAS Recorderを使って製品の耐久性を向上させる農業機械メーカー

Using Simcenter SCADAS Recorder enables farming equipment firm to enhance durability of its products

Kverneland Group

Kverneland Groupは、農業機械およびサービスを開発、製造、販売しています。ノルウェー、デンマーク、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、ロシア、中国に工場を展開、19ヵ国に販売会社を持ち、60ヵ国に輸出をしています。

http://www.kvernelandgroup.com
本社:
Kerteminde, Denmark
製品:
Simcenter Products, SCADAS Recorder, Tecware, Testxpress
業種:
重機

共有する

このデータから得られる知見にエンジニアたちは非常に満足しています。今後もこの強化された知見が、実験室での現実的な試験再現のための標準的なプロファイルの定義に役立つでしょう。
Jan Vestergaard Madsen, 設計部門長
Kverneland Group

誤解を招く結果

Kverneland Group Kerteminde AS (以下Kverneland Group) は、農業機械およびサービスを開発、製造、販売する世界的に有名な農業機械メーカーです。イノベーションへの取り組みにより、播種機、飼料・ベール用機械、散布・噴霧機、また農業用トラクターおよび機械向け電子機器ソリューションなど、ユニークで幅広い高品質製品を提供しています。

1879年に設立したKverneland Groupは、本社をノルウェーに置き、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、ロシア、中国に工場があります。19ヵ国に販売会社を持ち、さらに60ヵ国に輸出をしています。

農業機械の重要な指標の1つは耐久性ですが、Kverneland Groupは同社製品の耐久性を向上させてブランド力を強化したいと考えていました。同社エンジニアにとっての課題は、耐久性のある機械を設計すること、つまり顧客の期待通りの機械寿命を達成することです。機械が使用される環境は市場によって大きく異なります。また、機械の扱い方も人によって異なるため、既存の耐久性試験プロセスでは、デザインの過剰試験を招くことになり、製品の耐久性を正確に示した結果を出せていないのではないかとエンジニアは感じていました。

この問題に対処するために、Kverneland GroupはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのSimcenter SCADAS™ RecorderハードウェアとSimcenter™ Testxpressソフトウェア、Simcenter™ Tecwareソフトウェアで構成した試験システムを導入しました。この新しいシステムを使うことで、エンジニアはさまざまな荷重シナリオを検証し、現実的な寿命試験を設計することができます。Simcenter SCADAS RecorderとSimcenter Testxpressを組み合わせて実地および実験室での試験中の動的荷重データを収集し、Simcenter Tecwareを使用して荷重データを集約して耐久性を解析するプロセスを合理化します。

Misleading results

地域ごとに異なる要件

機械は通常、高い荷重に耐えなければならないため、荷重を正確に測定する必要があります。例えば草刈機の場合、1回の刈り込みで50~60kgの草が機械の中を通ります。毎分2~3トンが機械の中を流れることもあります。地域によって異なる多くの規制も、試験を過剰に増大させています。そのため、Kverneland Groupはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの試験製品を使って、より多くのデータを収集し、考えられるさまざまな荷重シナリオを特定しています。

地域ごとに異なる特性があることを説明するために、次の例を挙げてみましょう。例えば農作物の重量はベネルクス3国よりアイルランドのほうが重いです。また、クローバーは芝生よりも密集して生えます。一部のアジアの国では、竹のような高い繁殖力を持つソルガムとスーダングラスの交配品種を収穫します。ベネルクス3国の農家は年に何回も刈り取りと収穫を行いますが、米国では年1回しか刈り取りを行わない農家もあります。Kverneland Groupは、米国、フランス、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、日本、韓国に輸出しているため、機械はさまざまな条件下で効率良く稼働できなければなりません。

機械に与える最大のダメージは、路上の運転であることが経験上分かっています。最近のトラクターは快適性が向上し、ノイズや振動にも強くなっているため、農家の人はでこぼこの農道をスピードを出して運転しがちで、機械を過酷な状況にさらしてしまいます。

新しいデザインは、経済の動向にも左右されます。燃料価格の高騰にともなって、機械をできるだけ軽量化、効率化して燃費を抑える必要があります。機械の重さだけでなく大きさも最適化する必要があります。

Kverneland Groupが耐久性エンジニアリングで成功するには、同社の農業機械が製品寿命までに受ける荷重を正確に理解することが重要です。そのため、試験チームは農地、路上、実験室での物理試験を通じて動的荷重を見きわめます。

より多くの実証を収集

Simcenter SCADAS Recorderを使うことで、Kverneland Groupは荷重プロファイルのより詳しい情報を取得しました。これらの製品を使うことで、同社の荷重履歴の情報が増え、より現実的な荷重条件を再現して、大多数の荷重条件に応じた試験を行うことができます。

これまでKverneland Groupは、試験台に5つか6つの基準点 (通常はひずみセンサー) を設けて手動で試験を行っていました。今ではひずみゲージセンサーを、最大30カ所の測定点に取り付けて、より高精度の結果を出しています。その結果、Kverneland Groupでは次のことが可能になりました。

  • 農地での作業に機械がどのように反応するかを現実的に測定

  • 路上の運搬で機械がどのように反応するかを現実的に測定

  • 標準的な路面の突起やへこみに機械がどのように反応するかを測定

  • 測定結果を評価し、機械にどの程度高い負担がかかっているかを判断

  • 重要性の最も高いセンサー信号を解析

  • 加速寿命試験に使用する値を確認

Collecting more proof points

知見の強化

Kverneland Groupはデータ取得に使用しているSimcenter Testxpressに非常に満足しています。同社は、Simcenter SCADAS Recorderに組み込まれたGPSセンサーを使って農地での時間データを記録しています。エンジニアは、ひずみ、圧力、流量、位置、加速度センサーといったさまざまなセンサーから幅広い荷重データを取得することができます。また、Simcenter Tecwareを使ってGoogle Earthにエクスポートしたイベントをマップ上で可視化できます。

Kverneland Groupの設計部門長、Jan Vestergaard Madsen氏は次のように話します。 「このデータから得られる知見にエンジニアたちは非常に満足しています。今後もこの強化された知見が、実験室での現実的な試験再現のための標準的なプロファイルの定義に役立つでしょう。」

Kverneland Groupのプロジェクトエンジニア、Henrik Christensen Aarenstrup氏は次のように付け加えます。「特に、値の確認や測定データの検索が容易です。測定データの全体像の把握が、以前に比べて飛躍的に楽になりました。」

Kverneland Groupのエンジニアは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの試験ソリューションによって、より詳細なデータを迅速に取得できるようになり、荷重に関する知識を高められたと感じています。

片側を折りたたんでの刈り取りや不均衡に吊るされた状態での刈り取りなど、さまざまな条件下の荷重を正確に測定できます。また、計算に使用する荷重を直接測定したり、ひずみゲージや加速度、位置、圧力、温度センサーを使用して、複数の要因にまたがる影響を測定したりすることができます。

Kverneland Groupのエンジニアは、すでに油圧アプリケーションの圧力、流量、温度の測定を行い、その使いやすさと成果に非常に満足しています。今後、機械の油圧折り畳み・展開を測定して、機械の油圧力に関する知見を深めるなど、その他のセンサー情報にも非常に期待しています。最終的に、有限要素解析 (FEA) を用いた疲労寿命解析の入力データとして荷重データを使用する予定です。

継続的な向上の追求

一方、エンジニアはKverneland Groupの耐久性エンジニアリングプロセスの向上に継続的に取り組み、トルク要件と動力要件を追加し、荷重履歴に関する完全な情報を提供できるように努力しています。収集したデータは、有限要素モデリング (FEM) やパルムグレン-マイナー則 (ダメージの蓄積を測定) を用いた疲労寿命予測の入力データとしても使用できます。世界中を飛び回ってすべての機械から情報を収集するのはコストや時間的に非現実的であるため、Kverneland GroupのエンジニアはSimcenter Tecwareを使って、顧客の使用状況に合った実証済みの試験トラックまたは試験方法を築いています。

特に、値の確認や測定データの検索が容易です。測定データの全体像の把握が、以前に比べて飛躍的に楽になりました。
Henrik Christensen Aarenstrup, プロジェクトエンジニア
Kverneland Group