Simcenter 3Dによってドライブトレインのギア鳴りを抑えた現代自動車
ソウルに本拠を構える現代自動車は、韓国の多国籍自動車メーカーです。
エンジン、タイヤ、トランスミッションは主な騒音源であり、特に留意すべきがトランスミッションの騒音振動です。電気自動車は、従来のエンジンの代わりに電気モーターが搭載されているため、トランスミッションの騒音振動がより顕著であり、エンジニアリングにおいては、トランスミッションの騒音振動の最小化が課題です。自動車の運転は、スムーズで静かで楽しい体験であるべきです。快適な運転中は、大都会の騒音から逃れることができます。
現代自動車は1975年に韓国で初めて自動車を発表して以来、これまで40年以上も自動車を製造しています。世界各地の市場を相手に自動車を販売することを目指し、品質の現代自動車と評価されるために設計とエンジニアリングを常に重視してきました。
トランスミッションの挙動シミュレーションは通常、複数のツールを使い分けなくてはならず、手間も時間もかかるうえ、エラーの起こりやすいプロセスです。騒音や耐久性を評価するトランスミッションモデルの作成には、全体的なギア形状とレイアウトを正確に表現するだけでなく、非線形動力学を捉えるためにギア歯の形状を正しく表現しなければならないという課題があります。モデリング、パラメーター化、反復作業を経て複雑なモデルを作り上げるまでには、経験豊富なエンジニアであっても何日もかかります。
現代自動車にとってはまた、試験に必要なプロセスとツールの絞り込みもまた重要な作業でした。現代自動車で上級研究員を務めるHorim Yang氏はこう述べています。「似たようなツールをいくつか使ってきたこれまでの経験から、いずれも複雑なトランスミッションのマルチボディをモデル化するのに時間がかかることが課題でした。本当に長い時間がかかります。トランスミッションのフルスケール解析をシームレスに完了する機能がないツールもあり、複数のソフトウェアツールを同時に使用することもありました。ワークフローが非常に煩雑になっていました。ソフトウェアツールを検討していたとき、理想を言えば、マルチボディのソフトウェアを使って有限要素解析を実施し、車両全体とその他の振動騒音の問題を調査したいと考えていました。
現代自動車は、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアに解決策を求め、Simcenter™ 3D Motion DrivetrainとSimcenter™ 3D Acousticsソフトウェアを使うことを決めました。Yang氏は続けます。「1Dシミュレーションと3Dシミュレーションに別のマルチボディシミュレーションツールを使っていましたが、ギアの動的シミュレーションに必要な精度を扱えるソフトウェアがありませんでした。Simcenter 3D Motion Drivetrainトランスミッションビルダーは、求めている解析作業を的確に実行できます。」
シーメンスのソリューションのおかげで最新のシミュレーション手法を手にした現代自動車のエンジニアは、開発中の自動車にとって最良のコンポーネントがどれかを判断できるようになりました。デジタルシミュレーション機能は、製品開発工程の早い段階の物理試作の必要性を大幅に減らします。これは最終的に、プロジェクト全体のコスト削減につながります。
Yang氏はこう説明します。「このツールを設計初期に使用することで、ギアトレインの設計パラメーターがドライブトレインのシステムレベルの動的な振る舞いにどう影響するかを調べることができます。最終設計段階には、動的パフォーマンスがギアトレインの詳細な騒音振動解析結果と一致していることを確認できます。」
Simcenter 3D Motion DrivetrainとSimcenter 3D Acousticsは、単一の統合型シミュレーション環境を使って、トランスミッション動作モデルの作成およびシミュレーションを自動化します。現代自動車は、Simcenterのツールを活用することで大型車やSUVの振動騒音を大幅に抑えることを目指しています。
Simcenter 3D Motion Drivetrainは、トランスミッションのシミュレーション工数を80%も削減し、業界標準に準拠した複雑なトランスミッションシステムを簡単に定義およびシミュレーションできる垂直型アプリケーションです。エンジニアが基本的なパラメーターを入力するだけで、トランスミッションシステムの構成を定義できます。Simcenter 3Dは、入力されたパラメーター基づいて完全3Dトランスミッション (形状情報を含む) を自動的に作成します。その後、ギア接触パラメーターとトランスミッションの動作条件を設定すると、全体のモデルが準備され、ものの数分で解を得られます。解が出るまでに何時間も何日も待つ必要はありません。
トランスミッションモデルをそのままSimcenter 3D Acousticsにインポートして、ギア鳴り解析を実施できます。Yang氏はこう述べます。「Simcenter 3D Motion Drivetrainは、解析要件に応じた異なる忠実度でギアトレインをモデル化する便利なツールです。
Simcenterのエンジニアリング・コンサルティング・サービスの助けを借りながらマルチボディのシミュレーション結果を騒音振動および耐久性解析に適用する効果的なワークフローを確立したいと思っています。われわれの要件を満たす適切なソフトウェアツールが見つかるでしょう。」
現代自動車にとって、使いやすく、期待どおりの結果を得られるソリューションを見つけることが重要でした。「その点においても、このトランスミッションビルダーは当社のエンジニアリングの目的にかなっています。ユーザー・インターフェースも使いやすいです。」