ユーザー事例

シミュレーションを使用して、より迅速で的確なトランスミッション設計の選択肢を実現

Hyundai Mobis、SimcenterとHEEDSを使用して、設計段階で物理試作を排除

Hyundai Mobis、SimcenterとHEEDSを使用して、設計段階で物理試作を排除

Hyundai Mobis

Hyundai Mobisは、スマート・モビリティ時代のリーダーになることを目標に、自動運転、接続化、電動化に注力するグローバルな自動車部品ベンダーです。

https://www.mobis.com/en/index.do

本社:
ソウル, South Korea
製品:
HEEDS, Simcenter 3D Solutions, Simcenter Testing Solutions
業種:
自動車 / 輸送機器

共有

Simcenter 3Dを使用すると、構造音響解析とモーション・モデルを一度の手順で容易に同期できます。シンプルなモデルが完成したら、システムにコンプライアンスを追加して忠実度を上げました。
Ho-Gil Yoo氏, NVH調査エンジニア, Hyundai Mobis

より迅速な最適化を追求

Hyundai Mobisは、ステアリングや電気ドライブ・トランスミッションなど、自動車メーカー向けにさまざまなシステムを開発・供給しています。以前は、こうしたシステムを多数試作する必要がありましたが、顧客からリードタイムのさらなる短縮を求められ、より合理的なアプローチを採用する必要が生じていました。電気自動車 (ICE) には、内燃機関 (ICE) のマスキング・ノイズがなく、小さな音や振動も目立ちます。シミュレーションを使用すると、デジタルツインを使って反復作業と最適化を大幅に加速できるため、エンジニアは十分な情報に基づいて設計の選択を行うことができます。

Hyundai Mobisは、開発加速のニーズに応えるため、ソフトウェア、サービス、ハードウェアのビジネス・プラットフォーム、Siemens Xceleratorの一部であるSimcenter™ 3Dソフトウェアを採用しました。このソフトウェアのシミュレーション機能により、エンジニアは試作を作成することなく、システムの性能を正確に予測し、設計の最適化を加速することができます。

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Simcenter 3D Motion

Hyundai Mobisの騒音振動 (NVH) 調査エンジニアであるHo-Gil Yoo氏は次のように述べています。「Hyundai Mobiは、すでにSimcenter 3Dで素晴らしい成果を上げており、これをさらに拡大したいと考えています。」「Simcenter 3Dを選んだのは、強力な音響シミュレーション機能があったからです。」Yoo氏はこのように説明します。「他のシステムとも一緒にうまく使用できましたが、電気ドライブトレインをシミュレーションするには新しいツールが必要でした。トランスミッション・エラーはNVH性能低下の主要原因ですが、ほとんどのギア・システム・エンジニアリング・ツールは準静的であるため、エラーを特定するのは困難です。そこでSimcenter 3D Motionをツールセットに追加しました。時間ドメイン・シミュレーション機能により、システムの動的特性を正確に把握して、設計を最適化できるからです。」

「複雑なモデルの作成には時間がかかりますが、ソフトウェアのおかげでプロセスは効果的に合理化されました。」Yoo氏はこのように語ります。「Simcenter 3Dを使用すると、構造音響解析とモーション・モデルを1回の手順で容易に同期できます。」「シンプルなモデルが完成したら、システムにコンプライアンスを追加して忠実度を上げました。Simcenter Nastran構造ソルバーを使用して弾性体を計算し、Simcenter 3D Motionモデルに入力しました。」

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テストデータで検証

シミュレーション・データとその結果の設計変更で性能を正確に予測するために、Yoo氏のチームには、シミュレーション結果を物理NVH試験に対して検証することが極めて重要でした。初期データを比較すると、試験とシミュレーションではモード周波数に大きな違いがあることがわかりました。そこで、Simcenter Testlab™ソフトウェアとSimcenter 3D Correlationを組み合わせて使用して、構造有限要素 (FE) モデルを改善し、モーダル相関を達成しました。これでYoo氏は、シミュレーション結果に自信を持つことができました。

Yoo氏は次のように述べています。「試験結果をSimcenter 3D Correlationにインポートすると、忠実度を上げるために反復作業を増やす必要があるかどうかがわかりました。」「そうした場合には、モデルをSimcenter HEEDSに接続してシミュレーションを自動実行し、統計的に効率的な方法で最適化された結果を見つけました。それにより、相関のスピードと精度が高まりました。」

「Simcenter 3D Motionは、より深いレベルでのシステムの調査に非常に有効であることがわかりました。物理試験の結果を正確に反映するため、自信を持ってシミュレーションを行って設計を改善できます。」

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より速く、より効果的に

Yoo氏は、Simcenter 3Dの使用を拡大したことでシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアから受けたサポートに満足しています。「シーメンスのエンジニアは皆、ソフトウェアを熟知しています。」Yoo氏はこのように述べています。「シーメンスのエンジニアは、私たちが直面する問題を時間をかけて理解して、前進するためはどうすれば良いか、常に最高の知見を提供してくれます。」

シミュレーションはマイクロジオメトリの設計変更につながり、それによってトランスミッション・エラーが低減し、NVH性能は改善しました。「Simcenter HEEDSは、自分たちでは思いつかないような設計アイデアを生み出します。つまりHEEDSを使えば、最適化の加速だけでなく、さらに適切で効率的な設計選択にもつながることがわかりました。」

「人間として「この選択肢は現実的ではない気がする」という理由で検討すらしないのは簡単です。一方で、自動アルゴリズムは、こうした思考による制限を受けません。自動アルゴリズムは純粋にベストな最適化案を探すだけなので、手作業で調査するには時間がかかりすぎるものも含め、あらゆる構成を検討します。」

新しいプロセスが整った今、Yoo氏は、将来的には設計時間が劇的に短縮するだろうと期待しています。「すべてのコンポーネントを含む詳細な弾性体モデルは、精度は高いですがシミュレーションに時間がかかります。しかしSimcenter 3Dを使用すれば、NVH解析に十分な精度を維持しながら、モーション・モデルの作成時にモデルの詳細を減らすことができます。」

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トランスミッションを超えて

トランスミッション設計での成功を経験したYoo氏は、他のシステムでも同じ手法を導入したいと考えています。「Simcenter 3D Motionを使用して、ステアリング、ブレーキ、その他の電気ドライブ・システムを解析することを検討しています。」Yoo氏は、このように語ります。「これにより、さらに最適化を進めて、車両の全体的なNVH性能をもっと改善できるようになるでしょう。」

「また最近、Simcenter 3D Motion Gear Design Optimization (GDO) ツールも追加しました。これをSimcenter HEEDSと組み合わせることで、反復作業はさらに加速します。以前はこのプロセスに、最大2週間かかっていましたが、今では長くても3〜4日です。」

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HEEDSは、自分たちでは思いつかないような設計アイデアを生み出します。つまりSimcenter HEEDSを使えば、最適化の加速だけでなく、さらに適切で効率的な設計選択にもつながることがわかりました。
Ho-Gil Yoo氏, NVH調査エンジニア, Hyundai Mobis