ユーザー事例

デジタルトランスフォーメーションを推進し、生産ラインの設計から構築までの時間を短縮

HirataではProcess Simulateを使用してケーブル挙動の解析と安全性の検証を行い、必要な人員を66%削減

Hirata Corporation

平田機工株式会社は、自動車、半導体、パネル製造装置、家電などの業界向けに生産システムの製造・販売を行っています。また、生産設備インテグレーターとしての技術とノウハウを活用し、次世代のイノベーションを推進しつつ新たな課題にも挑戦しています。

https://www.hirata.co.jp/

本社:
Kumamoto, Japan
製品:
Tecnomatix
業種:
産業機械

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さまざまなメーカーのシミュレーションソフトウェアを比較しましたが、最終的にProcess Simulateを採用した理由はその世界的な市場シェアと、特に自動車メーカーでの豊富な利用実績です
関祥一朗 , 第二技術部 部長, Hirata

デジタルトランスフォーメーションへの取り組み

平田機工株式会社(Hirata)は、

熊本県に本社を置き、お客さまが生み出す様々な製品の「生産設備」を製造・販売している会社です。

国内各地の拠点に加え、北米、ヨーロッパ、アジアにも工場を展開し、世界中の自動車メーカーや半導体メーカーに生産設備を提供しています。

特に自動車業界向けには、トランスミッション組立ライン、エンジン組立ライン、電気自動車(EV)の生産設備などを手掛けています。

Hirataは、開発・提案、設計、部品製造、組立・検証、生産立ち上げ、保守・サービスを自社で一貫して行う体制を構築しています。

Hirataは工場を新設・拡張して設備の試運転スペースを確保しつつ、お客様による工場内での検査を実施可能としました。

また、この工場の建設・拡張プロセスと並行して、大規模なデジタルトランスフォーメーションにも着手しました。

複数のシミュレーションソリューションを綿密に評価した結果、HirataはシーメンスデジタルインダストリーソフトウェアのTecnomatix®ポートフォリオに含まれるProcess Simulateの採用を決定しました。また、デジタルトランスフォーメーションを推進するため、シーメンスと戦略的パートナーシップを構築しました。それをきっかけとして、同社のソフトウェア、ハードウェア、サービスで構成されるビジネスプラットフォーム、Siemens Xceleratorを導入しました。

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デジタルトランスフォーメーションを戦略的に推進

デジタルトランスフォーメーションの推進により、Hirataは製品設計から製造までにかかる時間を短縮することができました。これは「フロントローディング」の概念を活用し、製品開発プロセスにおける初期段階でのリソース投資に力を入れ、従来後工程で行っていた作業を前倒しすることで実現しました。

Hirataのお客様からは年々生産までの期間短縮が要望されており、新製品の開発期間短縮、多品種少量生産への対応、そして稼働中の生産ラインの迅速な変更を重点的に取り組む必要性がありました。

元々デジタルトランスフォーメーションの価値を理解はしていましたが、その具体的な効果やProcess Simulateのシミュレーションがもたらす変化について経営陣や現場のスタッフに説明するのは簡単ではありませんでした。当初は特にシミュレーションのメリットを伝えることが難しく、一部のスタッフは作業量が倍増すると懸念していました。しかし導入が進むにつれ、作業員たちは実際の効果を目の当たりにし、その有用性を実感するようになりました。

デジタルシミュレーションで実現した製造品質の向上

「デジタルシミュレーションの導入前も設備の干渉チェックや現場での検証はできましたが、今ではロボットのティーチングもオフラインで行えるようになりました」と、Hirataの第二技術部の関祥一朗部長は語ります。「データをダウンロードするだけでロボットを現場ですぐに稼働させることができます。これは大きなメリットです」

「以前は電源を入れ、ロボットを起動してからティーチング作業を行い、干渉やケーブルのねじれなどの問題がないかを確認していました。それがすべてオフラインででき、製造サイドに大きく貢献しています」

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Process Simulateの活用

HirataがProcess Simulateを採用した背景には、主要顧客の動向が大きく影響していました。多くの顧客が装置開発プロセスに3Dモデルによる検証を導入しており、Siemens Xceleratorの一部であるProcess Simulateを活用していたのです。

「以前は検証プロセスを完了するのに3人のエンジニアが3~10日間作業する必要がありましたが、ケーブルのシミュレーションにProcess Simulateを活用することで、1人のエンジニアが約2時間で完了できるようになりました」と関部長は話します。「従来の方法に比べて工数を90%、必要な人員を66%削減できました」

「過去5年間HMIシステムの設計を専門として業務に携わってきました。Process Simulateによるシミュレーションを1年間経験したことで、これまでの業務をより深く包括的に理解できるようになりました」そう語るのは、技術部制御設計グループの早田真実主任です。「その結果、機械、制御、計装、ロボットなど、さまざまな分野の情報を入手できるようになり、設備の世界をさらに詳しく学ぶことができています」

シミュレーションエンジニアの西紘介さんはProcess Simulate導入後の変化を次のように述べています。「従来は制御部門との交流に限られていましたが、今では機械、制御、計装、ロボット部門など、さまざまな部門とのつながりができました。導入当初はシミュレーションに必要な情報を上流工程に依頼してもなかなか協力してもらえませんでしたが、今ではその重要性が理解され、有益な情報交換ができるようになったと思います」

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「これまでは実機でケーブルの最適なルートや固定方法を試行錯誤しながら決定していました」そう語るのは技術部制御設計グループの関口梁正課長です。「Process Simulateの導入により複数のパターンを同時にシミュレーションできるようになり、検証に要する時間が大幅に短縮されました」

「それまでは2次元図面を用いて平面寸法をもとに作業者の動きやすさや作業性を確認していたため、作業者の姿勢や製品形状の検証が十分でないことが多々ありました」と関部長は話します。

「そのため、完成した設備を実際に使用し始めてから、必要な調整に気づくことも少なくありませんでした。ヒューマンシミュレーションを導入したことで、さまざまな姿勢での作業検証を3Dで行えるようになりました。その結果は明確で理解しやすいため、お客様との合意形成もスムーズに進めることができます」

「さまざまなメーカーのシミュレーションソフトウェアを比較しましたが、最終的にProcess Simulateを採用した理由はその世界的な市場シェアと、特に自動車メーカーでの豊富な利用実績です」

「この決定に基づき、シーメンスをデジタルトランスフォーメーション推進の戦略的パートナーとして位置づけ、その一環としてSiemens Xceleratorも導入しています」

Process Simulateの今後

HirataはProcess Simulateの機能を継続的に拡張しています。毎年、ロボット制御やバーチャルコミッショニング、安全性評価、ケーブル関係などのアドオンモジュールを追加し強化しています。さらに、Tecnomatixポートフォリオの一部であるPlant Simulationも複数の部門で採用しています。

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この決定に基づき、シーメンスをデジタルトランスフォーメーション推進の戦略的パートナーとして位置づけ、その一環としてSiemens Xceleratorも導入しています
関祥一朗, 第二技術部 部長., Hirata