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ユーザー事例

データの活用 - ワイン造りの鍵となる要素

Great Wall Wine Company、Opcenter Executionを使用して工程を最適化し、高品質を維持...

Using data as a key ingredient for winemaking

Great Wall Wine Company

Great Wall Wine Companyは、中糧集団有限公司 (COFCO) の系列会社で、中国最大のワイン会社 (生産量ベース) です。

http://www.cofco.com/en
本社:
Shacheng, China
製品:
Opcenter, Platform
業種:
コンシューマー製品 / リテール

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従来、市場で取引されるワインの価値は、ぶどうの品質とワイン醸造業者の技で決まっていました。現在では、シーメンスのデジタルテクノロジーの力を借りて、生産工程管理全体を標準化しています。
Li Zefu, チーフエンジニア
Great Wall Wine Yantai Winery

データ – ワイン造りの鍵となる要素

中糧集団有限公司 (COFCO) の系列会社、Great Wall Wine Companyは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのOpcenter Execution製造実行システム (MES) を導入して、ぶどう園からワイングラスに至るワイン製造工程のあらゆる要素を一変させました。中国東岸で最も有名なぶどうの生産地、山東省煙台市 (Yantai) で最大級のワイン会社である同社は、ワイン造りの伝統的な技に最新テクノロジーを取り入れることに成功しました。

Great Wall Wine Companyの製品は、中国のワイン業界の評価基準となっており、世界中で販売されています。同社の煙台ワイナリーは2000年に製造を開始し、赤白合わせて毎年50,000トンのワインを醸造しています。

製品品質を保証するために煙台ワイナリーでは、ぶどうの成長からワイン製造、品質管理、ライフサイクル管理に至る、あらゆる細部に注意を払い、システマティックな生産ラインを確立しています。情報のバリューチェーンは、ビール醸造業界ではかなり成熟していますが、ワイン醸造では状況はまったく異なっています。

ワイナリーは、天候に大きく左右されるぶどう園の手入れや、細心の注意を要する複雑な工程、味覚と安全性の両方に対する高い要求など、さまざまな課題に直面します。これらの課題に適切に対応するために煙台ワイナリーが活用しているのが、工程チェーン全体に対応する情報システム、Opcenter Executionです。

「従来、市場で取引されるワインの価値は、ぶどうの品質とワイン醸造業者の技で決まっていました。」とGreat Wall Wine煙台ワイナリーのチーフエンジニア、Li Zefu氏は語ります。「現在では、シーメンスのデジタルテクノロジーの力を借りて、生産工程管理全体を標準化しています。」

Data – a key ingredient for wine-making

ぶどう園を可視化

1粒のぶどうの品質は、天候、水、土壌、地理的分布、そして栽培者の手順までも含む多くの要因に左右されます。「ワイン造りの70%はぶどうの品質によって決まり、残りは工程によって決まると言われています。」とシーメンスのプロジェクトマネージャー、Ding Jianqiangは述べます。「ぶどう園の管理を向上させることが、ワインの品質を高める基盤となります。」

煙台のLongshanぶどう園は、収穫期の9月下旬に一番忙しい時期を迎えます。通常、1人の労働者が1日に収穫するぶどうの量は、最大でかご6杯分 (120キロ) にのぼります。この時期、トラックに積まれたぶどうを降ろすために工場は午前2時まで開いています。

1粒のぶどうが収穫されるまで、ワイン醸造業者は、シーメンスのMESによって提供される情報を頼りに、ワイナリー自身が運営する場所、地元農家が運営する場所を含めて約12.7平方キロメートルのぶどう園を管理します。

ワイナリーは、シーメンスの設置した測候設備を利用して、土壌の栄養素、水分、温度など、植物の成長に影響を及ぼすあらゆる要素のデータを収集します。また、現場のエンジニアはシーメンスの開発したアプリケーションを使用して、ある一定の期間にぶどう園に散布される農薬の量を記録します。これらの情報はすべてMESにアップロードされます。

エンジニアはアップロードされたすべての情報に基づき、ぶどうの木の種類ごとにアーカイブを設定します。このデータを利用して、ぶどうの木の状態と虫による被害の可能性を分析します。「ぶどう園全体の状況をデータが正確に表します。」と煙台ワイナリーのIT部門長、Liu Jianbo氏は語ります。「このデータを使えば、天候の変化や害虫の問題をどのように解決してぶどうの世話を行うかを、正しい情報に基づいて判断できます。経験のみに頼るのではなく、収集したデータを活用することで、より良いぶどうを育てることができるのです。」

Vineyards become transparent

ミスを減らして高い品質を実現

ワイン製造には圧搾、発酵、熟成、ラッキング (おり引き)、転換、検査、瓶詰めといった細心の注意を要する工程が含まれ、ワイナリーは複雑な要求や、ときには特注生産の要求にも応えなければなりません。労働集約型の業界では、ミスの発生も日常茶飯事です。

ところが煙台ワイナリーでは、工程は順序よく整えられ、よどみなく進みます。ワイン醸造管理者はMESを通じて作業者に的確な指示を出し、手順が飛ばされたり間違ったりすることを防ぎます。すべてのデータを手作業で紙に記録して次の製造ラインに送るのではなく、作業者はバーコード (タンクなどに付けられている) をスキャンするだけで情報を直接記録できます。記録した情報は、工場環境内のLANを介してMESにアップロードされます。

「作業者は、複数の工程間を行き来して製造指示やデータを転送する必要がなくなりました。」とLi氏は述べます。「製造チェックデータと品質チェックデータはチェーン全体に送信されます。必要な情報はすべて伝達されるため、作業者は本来の仕事に集中できます。」

ふどうは、ステンレス製タンク内での発酵から熟成、オーク樽内でのラッキング (おり引き) まで、10以上の処理工程を経る必要があります。MESシステムを使えば、各工程でどの従業員がどのタンクを使用したかを特定できます。

Higher quality with fewer errors

工程の標準化

さらにMESソリューションを使用すると、工程管理を標準化することも可能です。入力データは自動的にアップロードされ、手動では変更できません。MESシステムは工程からの逸脱をすべて検出して警告通知を送信し、損害を防ぎます。

製造工程から送られるリアルタイムの情報も、収集されてMESに保存されます。例えば、自動温度制御システムから送信されるリアルタイムデータを既存のデータと比較して、1つ1つ従業員に指示することも可能です。

「設置される自動化ハードウェアとセンサーの数が増えるにつれて、ワイナリー内の効率と品質は向上しています。」とDing氏は語ります。「さらにMESシステムが、制御レベルと運用管理レベルを効率的につなぎます。」

Standardizing the process

心躍る未来へ

煙台ワイナリーはシーメンスと協働して、追跡可能な生産情報をお客様に提供するアプリケーションも開発しています。これにより生産者やぶどう園は、お客様にとってさらに身近なものとなるでしょう。お客様はスマートフォンから、ぶどう、畑、製造、樽などの詳細情報にアクセスして、ワイン文化への理解を深めることができます。

ワイン業界では、食の安全と管理への厳しい要求に応えるため、追跡可能な工程チェーンを確立することが必須となりつつあります。「シーメンスのテクノロジーと経験が我々をサポートしてくれるものと確信しています。」とLi氏は述べています。

シーメンスのMESによって、ワイン醸造業者は山のような事務処理から解放されるため、個々の消費者の嗜好に合わせてパーソナライズした高品質ワインを製造するなど、なにか面白いことができそうです。

今後、煙台ワイナリーは、さらに多くの工場データを利用してMESソリューションをより一層活用することで、作業効率を尚も改善できると期待しています。ITを介してワイナリーの管理を一変するという夢が現実となりつつあります。

Exciting future
ぶどう園全体の状況をデータが正確に表します。このデータを使えば、天候の変化や害虫の問題をどのように解決してぶどうの世話を行うかを、正しい情報に基づいて判断できます。経験のみに頼るのではなく、収集したデータに基づいて、より良いぶどうを育てることができるのです。
Liu Jianbo, IT部門長
Great Wall Wine Yantai Winery