ユーザー事例

世界最大級のファクトリー・オートメーション(FA)プレイヤーが、シーメンスのデータ一元管理ソリューションを活用し、製品開発における管理工数の大幅な削減に成功製品の品質・信頼性を担保しリードタイムを短縮

ファナックがXpedition EDMを導入し、製品の品質・信頼性を担保しつつリードタイムを短縮

ファナックがXpedition EDMを導入し、製品の品質・信頼性を担保しつつリードタイムを短縮

ファナック株式会社

ファナックは、「one FANUC」、「壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる」、「Service First」という3つのキーワードのもと、FA、ロボット、ロボマシンの3事業でお客様における製造の自動化と効率化を推進し、全世界の270ヶ所以上のサービス拠点から100ヶ国以上のお客様を全力でサポートしています。

https://www.fanuc.com/

本社:
山梨県南都留郡忍野村忍草3580, Japan
製品:
Xpedition
業種:
産業機械

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「Xpedition EDMを採用することによってデータ管理が容易になった結果、管理上のミスが減り業務を効率化できた。」
ファナック株式会社, FA研究開発統括本部ハードウェア研究開発本部ハードウェア開発推進部二課 主任, 曽根 裕二

はじめに

1955年にコントロールのプロジェクトチームが発足し、 1956年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、世界最大級のファクトリー・オートメーション(FA)プレイヤーであるファナックは、一貫してお客様の工場の自動化と効率化を追求および推進しています。現在では、全世界270ヶ所以上のサービス拠点から100ヶ国以上のお客様をサポートしています。

ファナックは、基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。企業戦略として掲げる、商品開発において「壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる」ことを徹底するためには、これを支える製品開発のプラットフォームにも権限を持つ設計者が「いつでも、どこでも、だれでも目的のデータにアクセス可能」なソリューションが必要となります。しかし、従来のデータ管理環境は人依存となっており、煩雑でミスも発生しやすいものとなっていました。ソフトウェア開発環境ではデータを一元管理するシステムが早い段階から導入されていましたが、ハードウェア開発、特に電気設計環境ではそのような仕組みが存在しておらず、内製で現場の要望をヒアリングして仕組みを構築し、その作り込みやメンテナンスに多大な工数を費やしていました。また、データの整合性担保に着目すると、従来の環境では回路設計データと基板設計データの整合性が保たれておらず、仕掛かりデータのバージョンの取り扱いにおいて、設計者が取り違えるミスが発生したり、出力したはずのデータが見つからないなどの事例も発生したりしていました。

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データ管理における課題の解決に向けて

ファナックのデータ管理手法の考え方の根幹は、ファナックの企業理念に基づく商品開発および保守の考え方にあります。長い歴史を持つファナックの管理対象となる設計資産は、CADが導入される以前の紙図面を管理していた時代にまで遡ります。全世界でファナックの商品をご利用頂いているお客様の中には、何十年とご愛顧頂いているお客様も少なくありません。そのため保守サービスと連動して、過去十年、二十年、更にはそれ以前の商品に対する保守を継続する案件も多数存在します。このような背景もあり、設計成果物としての図面管理については、電子化される以前からその方針および運用の仕組みには大きな変化がないことが挙げられます。しかし、CADが導入され電子化される前後では設計環境そのものが別物となるため、設計データとしては電子化以降のデータに対して一元管理し、紙図面の世代の管理は別枠として管理を行っています。更に、電子化以降に目を向けてみても管理する環境にも時代と共に変遷を経ており、その過程において各種課題や設計現場の要望に対応するための施策を積み上げてきました。しかしながら、そのパッチワーク的な対策にも限界があり、電気設計領域に特化した管理システムの導入が求められていました。

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長い実績に裏打ちされたシーメンスの信頼性

そこでファナックが、電気設計領域に特化した管理システムとして採用したのがXpedition™ EDMです。ファナックは、シーメンスが提供するプリント基板設計環境であるXpedition Enterpriseの前身であるBoard Stationの時代からのユーザーでもあったことから、シーメンスのソリューションに対する信頼性があり、設計データおよびライブラリのマイグレーション作業と合わせてデータ管理システムを評価した結果に満足し、採用を決定しました。

「Xpedition EDMを採用することによってデータ管理が容易になった結果、管理上のミスが減り業務を効率化できた。回路図やレイアウトをブラウザベースで確認できることから設計レビューの効率化が図れ、また新旧の回路図やレイアウトの比較によって設計効率が向上した。さらに特定の部品が使用されているデザインの検索が容易になって、部品の終息対応が楽になり、作業工数を削減できた。」

現在では、Xpedition Enterpriseの設計環境がファナックのものづくりの現場に無くてはならない存在となっており、開発工程全体にわたっての導入効果も多数挙げられます。いくつか例を挙げると、第一には、そもそもの目的であるデータの一元管理です。マスターデータが正しくCheck-In/Outされるシステムが設計者依存で発生した様々な課題を解決してくれました。先に挙げた課題にあるように、設計者の思い込みによるデータの取り違いなどを解決し、アノテーションの情報が管理されることにより整合性が担保されています。システム管理者の観点から見ても、ドラフターの紙図面管理からCADを導入し電子化された以降は、不慮のシステムダウンへの対応も重要事項であり、これが容易になりました。標準機能として提供されるバックアップ機能が効果を上げてくれています。スケジューラーで管理されたバックアップタスクにより設計資産のバックアップが確実に行われ、不慮のシステムダウンからの復旧作業も短時間で完了するため安心して利用できます。

第二の効果に、設計データの履歴管理がされていることが挙げられます。この効果としては、仕掛かりデータにおける設計の進捗確認、設計変更における変更点の確認においても絶大な効果があります。設計者は意図してミスを作り込むことはしません。しかし、開発スケジュールがタイトな日々の設計業務においては意図しない操作ミスが紛れ込むこともあり、それを出図前に取り除くことを可能にしています。

第三の効果としてはXpedition Enterpriseにて統一された設計環境における検証ソリューションの効果が挙げられます。1つのプラットフォーム上に構築された設計環境は、製造前の様々なDFM解析や検証を容易にします。複数のベンダーを組合せた場合は設計データのインターフェースにも苦労を強いられます。そのような手間を掛けずに解析や検証が実施できることは非常にメリットがあります。

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まとめ

ファナックの基本理念である「厳密」と「透明」を徹底し、以下の諸施策をグループ一丸となって推し進め、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに激しい環境変化に適応することで、永続的な企業を目指しています。ファナックの商品は製造現場でご使用いただく生産財であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底し、ファナック、およびファナックの商品をご使用いただいているお客様が継続した成功を手にし続けるためにも、Siemens EDAのソリューションは必要不可欠な存在となっています。Xpedition Enterpriseがもたらす効率化は、製造現場からフィードバックされる歩留まり率の改善や試作工程に移行してからの手戻りについても、小さな手戻り削減は元より、プリント回路設計工程で見ると約15%の削減が実現できました。ファナックは、全世界により良い商品、並びにサービスを提供するため、さらなる品質向上と即時対応力向上のための設計環境拡張を計画しています。

「ここまでツールを活用してきても、まだまだ十分に使いこなし切れていない機能もあるため、今後さらにXpedition EDM を含むXpedition Enterprise設計環境の活用を広げていきたい。」

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「特定の部品が使用されているデザインの検索が容易になって、部品の終息対応が楽になり、作業工数を削減できた。」
ファナック株式会社, FA研究開発統括本部ハードウェア研究開発本部ハードウェア開発推進部二課 主任, 曽根 裕二