ユーザー事例

自動管理実行システムを使用して自動車の要件に対応

Opcenterを使用して高品質の冷却システム製品を提供し、製造プロセスを合理化したESTRA

自動管理実行システムを使用して自動車の要件に対応

ESTRA Automotive Systems

ESTRA Automotive Systemsは、自動車業界のグローバル・リーダーです。同社の目標は、車両の暖房、冷却、空調システム用の高品質なソリューションと部品を生み出すことにより、人々が快適に過ごせるようにすることです。

https://www.estra-automotive.com/en/

本社:
ザブジェ, Poland
製品:
Opcenter APS, Opcenter Execution Discrete
業種:
自動車 / 輸送機器

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Opcenterのおかげで、当社のお客様はより良い製品を手に入れられ、われわれは是正措置の数を最小限に抑えることでコストを削減できます。
Waldemar Wojtasz氏, MESコーディネーター兼チェンジ・リーダー, ESTRA Automotive Systems

車両冷却の信頼できるパートナー

車両冷却システムは、乗員の快適性を向上させるだけでなく、車両の適切な車内温度を維持し、重要な部品を保護するために不可欠です。エンジンの寿命を延ばし、適切な性能を確保するとともに、有害な排気ガスを低減します。そのため、大手自動車メーカーは高品質の部品を求めており、製品の品質を保証できるパートナーと協力しているのです。

ESTRA Automotive Systems (ESTRA) は、自動車冷却システム業界のグローバル・リーダーです。2019年から現在の社名で事業を展開していますが、自動車業界での歴史は1998年にさかのぼります。この年から、車両の熱部品とシステムの設計、検証、生産を専門とする同社は、業界内の地位を築き始めました。現在、世界各地にオフィスとテクノロジー・センターを構え、ポーランドのザブジェなど14か所に生産工場があります。

ザブジェでは、液冷コンデンサー、熱交換器、ラジエーター、コンデンサーなどの車両パワートレイン冷却モジュールを製造しています。冷却システムにおける長年の経験と実力により、内燃機関 (ICE) 車、電気自動車、ハイブリッド車向けのソリューションを提供しています。ESTRAはこれらの車種独自の特性に合わせたソリューションを提供し、細部にまで最大の注意を払って製造しています。

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グローバルなMESにOpcenterを使用

自動車業界では、製品品質、プロセス検証、および認証に関する厳しい制約を満たすことが企業に求められています。自動車とそのシステムの高度化に伴い、自動車メーカーが外部パートナーから調達する、個々の部品の品質に対する期待値も変化しています。このように要件と製造プロセスが厳しいため、ESTRAは製造実行システム (MES) を探し求めて導入し、アジア地域の市場に統合しました。
しかし、グローバルに統合するには、サポートや標準化に課題がある、現行のシステムでは不十分でした。

ポーランドに新工場を建設する際、ESTRAは現地で完全なサポートを受けられ、標準化されたグローバル・ソリューションを探し始めました。求めていたのは、生産プロセスをリアルタイムで正確に監視および制御し、不規則性や不測の事態を迅速に検出して対応できるソリューションです。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの製造オペレーション管理 (MOM) 認定パートナーであるASKOMの協力を得て、ESTRAはソフトウェア、ハードウェア、サービスのSiemens Xceleratorビジネスプラットフォームの一部であるOpcenter™ソフトウェアをザブジェ工場に統合することを決定しました。
Opcenterを使用することで、同社は幅広いサービスと技術サポートを現地で受けることができました。

ESTRAのMESコーディネーター兼チェンジ・リーダーであるWaldemar Wojtasz氏は、次のように述べています。「必要な技術サポートを現地で提供し、グローバルに展開しているソリューションを見つけたいと考えていました。シーメンスとASKOMの協力により、目標を達成することができました。」

Opcenterを導入した際、ザブジェ工場では同社の主要な取引先である自動車OEMメーカー (OEM) のコンデンサー設計に合わせたソリューションを採用しました。次のステップは、生産実行システムであるOpcenter Execution Discreteを使用して、複雑な組み立て作業に対処することでした。ESTRAは、基本的な機能を備えた基本バージョンを使用し、データを収集してパーソナル化したソリューションを作成し、システムを進化させながら、既存製品を開発できるようにしました。

Wojtasz氏は言います。「ソリューションの柔軟性は、非常に重要でした。こちらがテクノロジーに適応するのではなく、当社や、われわれのニーズ、生産の性質に合わせたソリューションを導入したいと考えていました。これは間違いなく、ASKOMとシーメンスの協力がもたらした貴重なメリットでした。」

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生産品質の向上

ESTRAの従業員は、Opcenter Execution Discreteの標準機能とESTRA固有の機能を活用することで、生産指示をより効率的に処理し、高い品質基準を維持しながら生産プロセスを迅速に実行できます。機械がほとんどの部品を検証し、エラーを減らすことができるため、製品品質を確保し、あらゆる欠陥を早期に検出することができます。
その結果、是正措置が必要な状況を回避したり、最小限に抑えたりするための対策を講じることができます。

ESTRA工場のラベル管理と品質管理は自動化が進み、正確性が向上しているため、不良品のリスクを減らすことができています。さらに、Opcenter Execution Discreteを使用することで、生産プロセスの完全なトレーサビリティを実現しました。これは自動車業界において、すべての部品の原材料が生産に入った瞬間から最終製品までを追跡するために重要です。ESTRAは今後30年間、この情報を保存可能です。

工場の神経系や頭脳として機能するMESを活用することで、膨大な情報をデジタルで管理し、紙の書類を削減できます。Wojtasz氏は次のように話しました。「われわれはMESを、秩序を保つ警察システムに例えています。当社が製造するすべてのラジエーターには、システム内で識別するために、プロセスのなかでラジエーター・コアにコードが与えられ、履歴の追跡と記録を可能にしています。
したがって、お客様と当社は、製品がどこを通ってきたか、各生産段階でどのように動作したかを正確に知ることができます。」

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ESTRAはOpcenter ExecutionとSAPエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) を統合することで、ビジネス・システムと生産システム間で一貫した情報フローを提供できるようになりました。これにより、オペレーション効率が向上し、生産指示と材料データの管理が改善されました。システムと生産ライン間でリアルタイムにデータを送信することで、予定サイクルタイムを作成し、生産サイクルタイムを1分未満に短縮できました。

ESTRAはまた、Open Platform Communications Unified Architecture (OPC UA) 規格を持つOpcenter Executionを、さまざまなベンダーのオートメーション・システムに統合し、生産プロセスをさらに自動化することができました。機械から直接収集したプロセスデータによって、システムは生産ラインの貴重なパフォーマンス情報を提供し、ダウンタイムの最適化と防止を行えます。生産チームは、さまざまな重要業績評価指標 (KPI) にリアルタイムでアクセスし、それらを使用して意思決定を迅速に下し、工場の効率と自動車業界における競争力を確保しています。

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ESTRAはさらに、業界に特化したITとOTを統合することで、より柔軟な生産プロセスを作成し、企業の透明性を向上させました。例えば、製造現場と経営幹部をつなぐことができました。

Wojtasz氏は、「こうした知識をすぐに利用できるため、深刻度の異なる、さまざまな問題に対応できます。Opcenterを使用することで、生産ラインで製品部品をどう配置するかといった些細な問題から、情報の欠落といった、是正措置につながりかねない、重要な問題まで対応できます。」と語っています。

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さらなる自動化に向けて

ESTRAのザブジェ工場は、定期的に新しい機械や生産ラインを導入しているため、常に進化しています。ESTRAは、顧客の特定のニーズを満たし、工場をさらに自動化するために、これらの改善を実施しています。

次のステップとして、ダウンタイムをさらに短縮する予知保全の枠組みが導入される予定です。機械からリアルタイムで収集されたデータを、MESシステムを使用して整理することで、情報にアクセスして、ラインと機械をメンテナンスする作業範囲を定義できます。

ESTRAはさらに、Siemens Xceleratorの一部であるTeamcenter®ソフトウェアを統合して、クローズドループ製造プロセスと、製品ライフサイクル管理 (PLM)、ERP、MOMを含むソリューションを実現しようとしています。これにより、ESTRAの工場はさらに成長する機会を得て、実物の世界と仮想世界でのシームレスな情報交換と相互作用が可能になります。
それに加えて、オペレーショナル・エクセレンスを達成し、自動車業界での地位を強化するための新たな一歩を踏み出すことができます。

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自動車産業が進化するにつれて、テクノロジーによって新しい機会が出現しています。ただし、これにより、生産品質、検証、および認証の課題が発生する場合があります。ESTRAのようなメーカーは、シーメンスやASKOMなどの信頼できるパートナーのサポートと、利用可能なソリューションを活用して、卓越性と革新性を追求しています。「Opcenterのおかげで、当社のお客様はより良い製品を手に入れられ、われわれは是正措置の数を最小限に抑えることでコストを削減できます。」とWojtasz氏は言います。ESTRAは、プロセスの安全性と効率を保ちながら、厳格な業界標準と顧客の期待に効果的に応えるには、どうすればよいかを他の企業に示すモデルとなっています。

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シーメンスとASKOMの協力により、目標を達成することができました。
Waldemar Wojtasz氏, MESコーディネーター兼チェンジ・リーダー, ESTRA Automotive Systems