グローバルな電子機器委託製造業者、リスピンの時間を96%以上削減

デジタル・ツインの価値を実現

ESCATEC は、多国籍電子製造サービス (EMS) プロバイダーです。当社は、世界中の幅広い市場セグメントの顧客に設計、開発、製造ソリューションを提供しています。当社はマレーシアのペナンに本社を置き、マレーシアのジョホールバル、スイスのヘールブルグ、英国、チェコ共和国、ブルガリアにも研究開発および製造センターを置いています。スイスの施設には研究開発（R&D）センターも併設されています。

多品種少量生産への流れに伴い、ESCATECでは、さらに頻繁になった新製品導入 (NPI) への対応が課題です。

ESCATECの最高執行責任者 (COO)であるWong Hon Leong氏は次のように述べています。「Valorを導入する前は、お客様が設計を提供して我々が試作と試運転を行うという、業界慣行の「試行錯誤を繰り返して設計をやり直す」手法を使っていました。そして、設計や部品、製造工程に問題があれば、お客様に報告します。多くの場合、設計のやり直しが必要となるため納期が延び、プロジェクトのコストが増加したり、お客様の計画が狂ったりします。」

ESCATECは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソフトウェアとサービスを包括的に統合したSiemens Xcelerator ポートフォリオの一部、Valor™ ソフトウェアを評価しましたが、その際に、「生産開始前の設計時に、包括的なデジタルツインを使って製品と工程のシミュレーションを行うこと」の価値を認識しました。こうしたシミュレーションを行って、設計の欠陥を初期段階に発見することで、欠陥をすばやく低コストで修正することができます。ESCATECはこの点を高く評価して、シーメンスの製造を考慮した設計 (DFM) ソフトウェア、Valor Process Preparationをスイスの工場に導入することを決めました。

Valorのソリューション

ESCATECのスイスのエンジニアリング部門は、Valor Process Preparationを工程フローに統合した結果、「納期が短縮してコストも低減し、顧客満足度も向上した」と報告しています。この結果を受けてESCATECの経営陣は、2020年にマレーシアのペナン工場でValor Process Preparationを展開することを決めました。

ESCATECは、Valor Process Preparationを使用して、表面実装技術 (SMT) とスルーホール技術 (THT) の組立工程を計画しています。顧客から最初の設計を受け取った後、ESCATECはValorソフトウェアのさまざまな機能を活用します。設計を解析し、顧客の目標を達成するうえでの効果と適合性を評価して、必要なコンポーネントがプリント基板 (PCB) に適切に収まるかどうかを判断します。設計の製造性を評価し、設計と組立工程を最適化してコスト効率を高めます。

マルティン・ミュンドライン、製作 ESCATEC のエンジニアリング マネージャーでもある同氏は次のように説明しています。「Valor のプロセス準備により、潜在的な設計および製造上の問題を非常に早い段階で迅速に検出できます。これは、品質の面で私たちとお客様に真の利益をもたらします。

Wong氏は言います。「以前は、元の設計が計画どおりに機能しなかった場合、設計のリスピンや調整、部品の再注文、製造工程のテストなどに6〜8週間かかることもありました。」「それに比べValorを使えば、1日もかからずに潜在的な問題を特定し、修正できてしまいます。」

「Valorで、「試行錯誤を繰り返して設計をやり直す」という業界慣行に終止符を打ったのです。」

さらに重要なのは、Valor Process Preparationを使用すると、どこでも実行できる製造工程、エンジニアリング、データを準備して、機械ベンダーと製造拠点の間で生産を柔軟に移動させることができる点です。

Wong氏は次のように語っています。「Valor Process PreparationとValor Parts Libraryのおかげで、スイスの拠点とマレーシアの拠点は、専門知識や経験を容易に共有できるようになりました。」

「ESCATECは、幅広い市場セグメントに対応しています。Valorソフトウェアは、品質と信頼性への要求が非常に厳しい自動車、産業、医療機器分野で事業を成功させるのに役立っています。」

成果

ESCATECは、「Valor Process Preparationが、NPIタイムラインの短縮、コスト削減、品質改善、顧客満足度の向上と、市場投入期間の短縮に中心的な役割を果たした」と評価しています。

「ESCATECがValorソフトウェアを使用しているという事実は、潜在的なお客様に当社の事業を紹介する際の重要なセールス・ポイントになっている」とWong氏は述べています。「Valor Process Preparation は、私たちの品質証明です。」

今後の計画

ESCATECのペナン工場は、SMTライン向けライン・プログラミング、ステンシル・データ生成、テスト・エンジニアリングといったValorモジュールを追加で導入する予定です。ESCATECは、マレーシアのジョホールバルにある他の2つの生産施設にもValor Process Preparationを導入する予定です。

2021年5月ESCATECは、英国を拠点とし、英国とチェコ共和国に製造工場を持つJJS Manufacturingを買収しました。今後、これらの拠点でもValor Process Preparationを導入したいと考えています。