Teamcenterを使用して、多様なデータを1つの異分野横断プラットフォームに統合したENERCON
ENERCONは、風力タービンの開発、製造、設置、保守に35年以上の実績を有しています。
風力発電業界は、ダイナミックな市況、技術の進歩、カスタマイズに対する顧客の要求の高まりなど、独自の課題を抱えています。ENERCONは、風力タービンの開発、製造、設置、保守に35年以上の実績を有しています。業務の合理化とバリエーション管理の強化をさらに推進するために、ENERCONはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアと提携し、Teamcenter製品コンフィギュレーターをはじめ、Teamcenter®ソフトウェアを導入しました。Teamcenterは、ソフトウェア、ハードウェア、サービスのビジネス・プラットフォームであるSiemens Xceleratorに含まれています。
ENERCONは、製造業務の合理化と風力タービンの開発の強化を目指していました。同社は、非常に複雑で変化し続ける業界においてカスタマイズの必要性、リードタイムの短縮、最新の製品構成の確保、コンピューター支援設計 (CAD) システムの統合など、多くの課題に直面していました。シーメンスのソリューションを導入することで、同社はプロセスの効率、コラボレーション、市場投入までの時間を大幅に改善すると同時に、部品表 (BOM) 管理を調整し、将来の成長に向けて機能を拡大しています。
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ENERCONは長年にわたり、非常に複雑な製品ラインの管理、カスタマイズに対する顧客の要求への対応、注文から見積りまでのリードタイムの短縮、関係者が有効で最新の製品構成で作業できるようにすること、デジタルツインを検証できない現在のSAPシステムの制限に対処することなど、いくつかのビジネス上の課題に直面していました。
ENERCONは、製品バリエーションの管理方法を近代化する必要があることに気付きました。2018年には、設計BOM (DBOM)、エンジニアリングBOM (EBOM)、製造BOM (MBOM) 全体で共通の製品構成定義を統合し、バリュー・チェーン全体において信頼できる情報源として機能するソリューションの検索に着手しました。Teamcenter製品コンフィギュレーターを導入することで、ENERCONはBOMの多様なデータをまとめ、バリュー・チェーンの全体像を検討できるようになりました。この取り組みは、E-175 EP5風力タービンを開発しているENERCONの最新プロジェクトと同時に実施されています。このタービンは、現在、陸上タービンとしては最大級のローター直径を有しています。ENERCONは、タービンの新しい進化形であるE-175 EP5 E2の開発に、このバリエーション管理方法を引き続き適用する予定です。
Teamcenter製品コンフィギュレーターを活用することで、ENERCONは有効で構築可能な製品構成を実現しました。ENERCONは、これらの機能を活用して開発プロセスの早い段階で製品を構成し、最終段階でのエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムへの構成変更の必要性を排除しました。Teamcenter内の貴重なデータを利用できるため、ENERCONのエンジニアはさまざまな構成において実行可能性を簡単に検証し、すべての組み合わせが有効で構築可能であることを確認できます。
構成管理は、企業の設計変更管理プロセスを改善するうえで不可欠です。ENERCONは、見込み生産および受注設計による運用モデルからCTO+Eアプローチへの転換を計画しています。このモデルでは、クライアントのカスタマイズをサポートする一方で、より高い再現性と再利用性をビジネスモデルに取り入れています。これによりENERCONは、衛生・安全・環境 (HSE) における変化、サプライヤーの不連続性、部品の陳腐化や欠品など、突発的な変化をより適切に管理できるようになります。CTO+Eアプローチを導入することで、修正パッケージ間でいつでもあらゆる製品バリエーションに変更を適用できます。ENERCONは、共通のバリエーション・バックボーンを備えた設計変更管理プロセスを使用することで、工場のサプライ・チェーン管理プロセスに影響を与えることなく、BOMと製造プロセスを迅速に適応させることができます。
「Teamcenter製品コンフィギュレーターを使用することで、CTO+Eアプローチを取り入れ、ENERCONをプロジェクト主導型企業へと迅速に変革することができます」と、ENERCONのPLMガバナンス責任者であるMartin Gorges氏は述べています。
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ENERCONは、Teamcenter製品コンフィギュレーターをデジタル・コンフィギュレーターとして使用し、開発ライフサイクル全体にわたり関係者間のコミュニケーションとコラボレーションを改善しました。バリエーション情報の共通の情報源を活用することで、すべての関係者が最新かつ最も正確なデータにアクセスできるようになり、混乱や矛盾が解消されました。これにより、コラボレーションが合理化され、効率が向上し、古くて不正確な構成データによる誤りが発生するリスクが軽減されています。
Teamcenter製品コンフィギュレーターの導入により、ENERCONは社内プロセスを合理化し、大きな成果を収めました。ENERCONは、異分野間で共通のコンフィギュレーターを使用することに成功し、サイロを排除し、プロセスの効率を向上させました。
ENERCONは、Teamcenter製品コンフィギュレーターを使用して、バリエーション情報の共通の情報源として機能するデジタル・コンフィギュレーターを提供しています。これにより、関係者間のシームレスなコミュニケーションとコラボレーションが促進されます。
「ENERCONは、対応すべき製品パラメータを理解することで、顧客の注文に迅速に対応し、リードタイムを短縮して、顧客満足度を高めることができます」と、ENERCONのPLMシニア・コンサルタントであるSebastian Heinzel氏は述べています。
Teamcenter製品コンフィギュレーターで事前に定義されたルールと制約を使用することで、ENERCONは新機能のデプロイメントを行い、より効率的かつタイムリーに変更を実装することができました。ENERCONはE-175 EP5風力タービンの開発に引き続き取り組んでいますが、同社はすでに開発期間を大幅に短縮させています。さらに、バリエーション管理を統合することで、バリュー・チェーンが簡素化され、製品データの一貫性が確保されました。
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ENERCONは今後、MBOM、SBOM、デジタル・マニュファクチャリング向けのシーメンス・ソリューションをさらに活用していく予定です。ENERCONは、シーメンスのソリューションの使用を拡大することで、製造プロセスを強化し、保守性を向上させ、風力エネルギー業界の技術的進歩の最前線に立ち続けることを目指しています。「ENERCONでは、Teamcenter製品コンフィギュレーターのすべての機能を活用できるように、Teamcenter製品コンフィギュレーターを完全にマスターするためのトレーニングに取り組んでいます」と、ENERCONのPLMシニア・コンサルタントであるSebastian Heinzel氏は述べています。
ENERCONは、エンジニアリングBOMと製造BOMの両方の構成管理をTeamcenterに統合するPLMプログラムのコンセプト段階にあります。統合することで、自動車業界や航空宇宙業界で最もよく知られている、高度に洗練されたディスクリート製造プロセスを展開できます。Teamcenterのサポートを受け、ENERCONは製造の36カ月前までに事前計画を行い、サプライヤーに早期の需要を示すスケジュール契約に基づいて作業することを目標としています。これにより、事前計画を含め、すべてのプラットフォーム、工場、システム、プロセスにわたって製品バリエーションを総合的に変更できるようになります。また、統合されたPLM構成管理ソリューションにより、ラインを停止することなく安定した大量生産を実現でき、陳腐化した材料の使用や大量の部品在庫を回避できます。
Teamcenter製品コンフィギュレーターの導入は、ENERCONの風力タービン開発プロセスと製造業務に変革をもたらします。ENERCONは多様なポートフォリオを単一のプラットフォームに統合し、より複雑なバリエーションに対応できるようになりました。Teamcenter製品コンフィギュレーターを使用することで、ENERCONは設計中心のアプローチから部品中心のアプローチへの移行に一歩近づきました。
これらの成果により、ENERCONは急速に進化する業界で継続的に成功を収めながら、新しいプロジェクトに取り組み続けています。ENERCONは、2026年に稼動予定のE-175 EP5 E2風力タービンやその他の未来の次世代製品の開発に、Teamcenterを引き続き活用する予定です。
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