業界をリードするシーメンスの技術を柔軟なエンタープライズ・アーキテクチャ手法で活用
Danfossは、デンマークのノルドボーグに本社を置く民間の多国籍企業です。同社は、産業用ソリューションとコンポーネントの広範なポートフォリオを通して、油圧機器、モーター、コントローラー、ドライブ、コンプレッサー、センサー、スイッチ、ポンプ、メーターなどの製品を提供しています。これらの製品は、エネルギー効率、再生可能エネルギー、食糧供給、コネクティビティの分野において、持続可能性の向上を世界的に推進するように設計されています。
Danfossはデンマークに本社を置き、持続可能な変革への道を切り拓いているグローバル企業です。実績のある信頼性の高いソリューションで、世界の気候変動、都市化、食糧問題において多くの課題に取り組んでいます。電化社会の勢いとデジタル化の機会に後押しされ、Danfossは未来の可能性を解き放つことができるエンジニアリング・ソリューションに注力しています。
今日、主要な課題の1つは、高度に構成可能な製品の大量生産と豊富なバリエーションをどのように実現できるかということです。Danfossの競争上の優位性は、新製品の市場投入のスピードにあります。Danfossの製品は一般的に、顧客向けに地域化され、パーソナライズされているため、構成の数を増やす必要があります。
より複雑で構成可能な製品は、製造現場において複雑さが増大するため、製造プロセスの効率化を困難にしています。そのため、新製品の導入には、製造現場のプロセスを調整することが求められます。競争により市場投入までの時間のパラダイムが変わり、より複雑な製品の投入が加速しています。その結果、顧客がより高品質でより複雑かつパーソナライズされた製品を求めるようになるにつれて、製造ラインや製造プロセスに新しい構成を迅速に取り入れ、より大規模な製品ミックスに対応しなければなりません。
Danfossは、このような近代的な課題を認識し、組織のあらゆる領域でデジタル化を導入しています。今では、見込み生産、受注生産、個別受注生産など、さまざまな方法で製品を供給しています。エンドツーエンドの情報技術 (IT) アーキテクチャの柔軟性は、Danfossが顧客にサービスを提供する上で欠かせません。
Danfossでは、製造業務のデジタル化による再現性とデータ主導の意思決定により、高品質な生産が確保されています。製造業務をデジタル化するには、地域の違いに柔軟に対応しつつ、プラットフォームに対してはリーン手法を取り入れる必要があります。
Danfossとシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提携したのは約20年前のことです。2011年、両社は製造業務の協業を順調にスタートさせました。シーメンスのグローバルなプレゼンスと業界に関する知見を活用できることは、Siemens Opcenter™を導入するうえで大きなメリットになります。Siemens Opcenterは、包括的な製造オペレーション管理 (MOM) ソリューションであり、企業が製造業務を完全にデジタル化するための戦略をサポートします。
Danfossはデジタル・トランスフォーメーションへのスムーズな移行を見据え、必要なシステムを導入しています。顧客関係管理 (CRM)、製品ライフサイクル管理 (PLM)、エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP)、製造実行システム (MES) は、すべてシームレスに連携する必要があります。
Danfossでは、顧客ニーズに最も適した特定の製品モデルを構成するために、さまざまなオプションを提供しています。同社は、競争力を維持するために、製品バリエーションを高め、複雑な製品を増やすことを掲げています。
Danfossの戦略的イノベーション・プラットフォーム/プロセス担当シニア・ディレクターのDave Wohlsdorf氏は次のように述べています。「製品のバリエーションを追加しながらシステムを継続的に簡素化し、最終的には、現在と同じかそれ以下のコストで、より高い品質を提供する予定です。
当社のシステムは、製造実行システムを通して設計部門から、組立現場やさまざまな製造施設で作業する従業員へと伝達できる必要があります。地域に関係なく、顧客が必要としているものを複製しなければなりません。非常に重要なことは、当社が製造するものはすべて、追加したいバリエーションに合わせた拡張性と世界各地で作業できる柔軟性を備えていることです」
Danfossは、さまざまな現場の要件を統合するツールを使用すると、テンプレートを作成することができ、顧客の要求に応じやすくなることに気付きました。その統合ツールであるSiemens Opcenterでは、極めて柔軟なITエンタープライズ・アーキテクチャア・アプローチを取り入れています。Siemens Opcenterは、地域のニーズに柔軟に対応できる堅牢なプラットフォームです。製造業務のデジタル化を実現する重要なツールであり、Danfossの幅広い製品ポートフォリオをサポートしています。
Danfossでは、国際自動化協会 (ISA) 95モデルを定期的に使用しています。レイヤー4のエンタープライズ・レイヤーは、製品定義と基本レベルでの製造指図の定義が主体です。レイヤー3は、実行と実行に必要なその他すべてのMOMコンポーネントに重点を置き、レイヤー2以下は制御システムが中心です。
テンプレートを活用することで、レイヤー3のMOMソリューション、ERPのエンタープライズ・プラットフォーム、シーメンスのTeamcenter®ソフトウェアをより簡単に統合できます。さらに同社は、シーメンスのプラットフォームと下位レベルの制御ツールを統合するための基本的なテンプレートも用意しています。
「ITの観点から見れば、統合ツールを使用することで、さまざまな現場の要件を統合することができ、すでにテンプレート化されているものを使用できるため、実行速度が大幅に改善されます」と、Danfossのエンジニアリング/製造担当ITシニア・ディレクターのAllan Pedersen氏は言います。シーメンスのグローバルなサービス組織は、設計から製造まで、業界に関する広範なノウハウを有しています。Danfossにとってこれは、シーメンスとのパートナーシップにおける大きなメリットです。
シーメンスは、プロセスのデジタル化を目標に、単一のリソースからグローバル・チーム全体まで、あらゆるレベルでサポートを提供しています。シーメンスは、Danfossが堅牢なプラットフォームを導入できるよう支援しました。また、優れた品質と安定した生産を確保し、生産性を向上させ、さらなる成長のためのスケーラブルな基盤を実現しました。
Danfossは、シーメンスの製造実行システム (MES) プラットフォーム「Opcenter Execution Foundation」を使用して、品質と効率性を損なうことなく、円滑に他の施設にもデジタル化を拡張しています。適切なバランスを見つけることは、同社の主要な課題の1つでもあります。
「シーメンスのMESを使用して実現できた改善は、主に導入までの時間に関する部分です。ツールのテンプレートがあるので、現在の期待値を設定した上で会話を進めることができます。何かを実行する方法について議論するのではなく、テンプレートをどのように適用するかについて話し合っているのです」とPedersen氏は言います。
シーメンスのOpcenterを活用し始めたことで、Danfossの製造環境が標準化されたほか、当て推量が大幅に排除され、プロセス・エンジニアは信頼性が高く、管理しやすいプロセスで作業できるようになったとも、Pedersen氏は語っています。
Danfossは、大量生産、高度なカスタマイズ性と豊富なバリエーションを誇る製造会社です。シーメンスのMESは、新しい構成を製造現場にデプロイし、人的介入を最小限に抑え、完全なトレーサビリティと製品履歴を提供することで、Danfossの生産プロセスをサポートしてきました。また、シーメンスのソフトウェアを導入したことで、Danfossは製造現場のヒューマン・マシン・インターフェース (HMI) との統合や、シリアル化のサポートが可能になったほか、多様な製品構成を柔軟に管理できるようになりました。
「シーメンスのMESを使用することで、いくつものレガシー手法からベストプラクティスを取り入れ、それらを1つのテンプレート化されたツールセットに組み込むことができます。プロセスが全般的に向上し、旧式ツールも手放すことができました。おかげで、製品品質とプロセス効率の両方が改善されただけでなく、オペレーションのリスクが減り、将来的な相乗効果も期待できます」とPedersen氏は述べています。
MESテンプレートは、ERPや自動化統合インターフェース、不具合のログ、NPI製品構成、レポート作成、注文管理、トレーサビリティ、データ記録、オペレーターや自動化指示の管理、インターロックといった、いくつかの主要な領域で役立ちます。
また、シーメンスのMESは、Danfossの製造における柔軟性を向上させ、さまざまな製品ミックスも効率的に管理します。DanfossはシーメンスのOpcenterを導入して以来、プロジェクトの完了までに必要とされるリソースを削減してきました。新しいソリューションを活用することで、大規模な製品バリエーションに以前よりも効率的に対応できるようになりました。Danfossでは、現在製造プロセスの正確性を確保しているほか、問題の根本原因を迅速に特定するトレーサビリティも備えています。
「製造業においては、グローバル企業でありながらもローカル企業であるべきです。つまり、何が求められているのかを完全に理解するには、それぞれの地域に寄り添う必要があります。各地域で取り組み、知識をグローバル規模で共有しているのです」とPedersen氏は言います。
グローバルな製造企業は、エンタープライズ・アーキテクチャを主な原動力として、デジタル・トランスフォーメーションを推し進めています。シーメンスのOpcenterは、その目的にかなうソリューションです。
PLMから製造に至るまで、あらゆる領域における長期のパートナーシップを通じて、Danfossはシーメンスが有する業界知識を最大限に活用できるようになりました。シーメンスの製品ポートフォリオを活用することで、Danfossは、今日の市場において主要企業としての地位を既に築いています。そしてその地位は今後揺るぎないものとなるでしょう。