大手廃水処理プラント、Insights Hubを使用してオペレーションをデジタル化
Chengdu Xihui Water Environmental Co., Ltd.は、日量最大19万トンの廃水処理能力を持ち、7つのプラントを運営、管理しています。
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2016年に中国の成都市で設立されたChengdu Xihui Water Environmental Co., Ltd (以下、Chengdu Xihui) は、廃水処理プラント (ステーション) と供給ネットワークを建設、運営しています。
Chengdu Xihuiは、日量最大19万トンの処理能力を持ち、7つのプラント (Pidu District、Ande産業パークにある産業廃水処理プラント、Tuanjie Townにある廃水処理プラントなど) を管理しています。Chengdu Xihuiは対応に成功していますが、通常、廃水処理プラントのオペレーションには特有の困難が伴います。
廃水処理プロセスは長く、分断された設備と区画で構成されています。大半のステップには手動の手順が含まれ、ほとんど自動化されていません。しかし、法規制のコンプライアンスが厳格化するにつれて、手作業のプロセスでは不利になっています。法規制を遵守しながら時間とコストを削減して競争に勝つには、オペレーションをデジタル化する方法を見つける必要があります。
Chengdu Xihuiは2019年、デジタル・トランスフォーメーションの必要性を痛感し、産業用モノのインターネット (IIoT) ソリューションを探しました。そしてシーメンスのIIoTソリューション、Insights Hubを選びました。
これでオペレーションの意思決定を改善しました。また、IoT機能を拡張して、プラント全体のほぼすべての重要な資産とプロセスを接続しました。さらに、オペレーションの透明性とオペレーション・コスト (保守、エネルギー、化学薬品) を最適化しながら、放流水の水質も確保しました。
Chengdu XihuiがInsights Hubを導入して解決した主な課題は3つです。1つ目は、Chengdu Xihuiが最優先課題と位置付けている水質です。これまでChengdu Xihuiは、溶存酸素濃度 (DO)、流入水量、曝気量、化学薬品の投与量、還流比など、水質問題に手作業のプロセスで対応していました。DO/酸化還元電位 (ORP) センサーで溶存酸素の濃度を測定し、そのデータをプログラマブル・ロジック・コントローラー (PLC) を介して Supervisory Control And Data Acquisition (SCADA) にアップロードして、その後に調整を行っていました。こうした手作業のプロセスは時間がかかり、水質を安定させることは困難でした。
Chengdu Xihuiにとっての2つ目の課題は、オペレーション・コストでした。オペレーション・コストの上位3つは、機械/部品の保守、エネルギー消費、化学薬品です。測定とプロセスの透明性がなければ、プラントは放流水の水質基準を遵守するために、化学薬品の過剰投与や過度の処理をせざるを得ません。化学薬品の過剰投与は、機械の使用や保守、エネルギー消費の増加につながります。
3つ目の課題は、プラントの計画外のダウンタイムでした。8つの廃水処理プラントを同時に稼働させる場合、1つが故障すると放流水の水質に影響が及ぶだけでなく、ダウンタイムによりオペレーション・コストも増加します。
Insights Hubを導入すると、Chengdu Xihuiは分断していた重要資産とプロセスを接続して、障壁を崩すことができました。プラグアンドプレイの接続ソリューション、MindConnect® 2040を使えば、資産とプロセスを容易に接続できます。Chengdu Xihuiは現在、MindConnect 2040を使用してPLCを重要な設備やプロセスに接続し、リアルタイムでIoTデータの知見を取得しています。
またChengdu Xihuiは、Insights Hubのさまざまなアプリケーションとソリューションを活用してIoTの実装をさらに進めました。これらのソリューションの多くは、ソフトウェア、ハードウェア、サービスのビジネス・プラットフォーム、Siemens Xceleratorに含まれています。
たとえばIndustrial IoT Asset Managerを使用してIoTデータモデルを構築し、IoTデータ収集ポイントを定義して設備資産を管理できるようにしました。またInsights Hub Monitorを使用して、クラウドですべてのプラント、処理ライン、設備を表示し、警告ルールと応答イベントを自己定義してプラントと処理ライン全体をリモート監視しています。Insights Hub Monitorを使用すれば、Insights Hub Monitorで定義した主要業績評価指標 (KPI) 警告を通じて、任意の資産のオペレーション・データを確認し、設備のオペレーション情報を設備プロバイダーへリアルタイムに送信して、設備のトラブルシューティングをリモートで実施するよう設備プロバイダーに依頼することもできます。
Chengdu Xihuiのゼネラル・マネージャー、Zhang Chenghui氏は次のように述べています。「産業オートメーションの信頼できるパートナーとしてシーメンスは、高品質の製品とワールドクラスのサービスを提供してくれます。」「一方、シーメンスは
排水処理業界の課題や当社の課題も理解しています。Insights Hubを使うと、正しい意思決定や、デジタライゼーション戦略強化に必要な透明性と、データに基づいた知見が得られます。」
廃水処理プラントにあるブロワーなどの重要な資産のエネルギー消費は、継続的に監視して評価する必要があります。ブロワーのエネルギー消費は、総オペレーション・コストの50%を占めます。このためブロワーのエネルギー消費を削減する手法は、Chengdu Xihuiに大きなメリットをもたらします。Chengdu Xihuiは、Insights Hubで行った包括的なIoTデータ解析に基づいて、ブロワーの送風容量を現在の電気料金に関連付け、オフピークの電気料金を活用した結果、ブロワーの出力電力を制御しながら放流水の水質を確保できるようになりました。これにより、送風容量を小さくして、電力コストを最小限に抑えることができます。
Chengdu Xihuiの保守マネージャー、Li Junwen氏は次のように語っています。「Insights Hubのおかげで、重要な資産を適切に管理できるようになりました。事前に保守をスケジューリングして、設備プロバイダーやサービス・プロバイダーと緊密かつ効率的に連携することができます。」
Chengdu Xihuiは、産業用IoT解析に基づいて包括的な化学薬品投与モデルを改良してデジタル化することで、毎月の電気コストを10%削減できました。
Chengdu Xihuiのデジタル・トランスフォーメーション・ディレクター、Jiang YuLiang氏は次のように言います。「Insights Hubを使用すると、プロセスとオペレーションのコストを測定、解析して最適化することができます。あらゆるボトルネックを明確にマッピングするだけでなく、失敗したオペレーションとコストの関係を把握することも可能です。」
ブロワーから収集されたリアルタイム・データおよび履歴データに基づいた機械学習 (ML) と、高度な解析によって、ブロワーが故障する前に保守担当者へ早期警告を送ることができます。警告は設備プロバイダーへとエスカレーションされ、設備プロバイダーがリモート診断や機械のリセットを実施します。リアルタイムのIoTデータと過去のパフォーマンス・データを統合するアプリケーションにより、設備プロバイダーはさらに正確かつ迅速に作業を進められます。
高度な解析とMLにより、Chengdu Xihuiのプラント保守は、事後対応・定期保全のアプローチから、事前対応のアプローチへと移行しました。定期保全で事前にスケジュールされている不要な保守を行ったり、資産が故障してから対応するのではなく、オペレーション・データと実際の健全性に基づいて資産を保守できるようになりました。これによりダウンタイムが短縮し、高い信頼性と使いやすさで、資産が安定的に実行されるようになります。
Chengdu Xihuiは、Insights Hubを全社に展開することで、廃水処理プロセス全体のデジタル監視、管理を実現しただけでなく、IoTデータ解析を深く掘り下げることで、科学的な観点から製品品質とコストの正しい平衡点を見つけて、大幅なコスト削減につなげることができました。
Chengdu Xihuiは、ビジネス上の課題を解決しながら、自らの業界知識と経験をInsights Hubアプリケーションに反映させています。こうしてアプリケーションはChengdu Xihuiの業界知識を取り込んでいるため、業界全体にとって価値があり、意味があるものとなっています。将来的には、Chengdu Xihuiは新しく開発したアプリケーションをInsights Hub Storeにリリースして、新しいサービス指向のビジネスモデルを構築する予定です。大手設備プロバイダーだけでなく、同種の廃水処理プラントにもIoTアプリケーション・サービスを提供することを計画しています。Chengdu XihuiはInsights Hubを使用して、業界全体に新しいビジネスモデル、つまりサービスとしてのオペレーションを提供したいと考えています。
Zhang Chenghui氏は次のように述べています。「Insights Hubで強化された透明性とデータに基づいた知見を活用して、大幅なコスト削減を達成しながら安定した水質を維持できる、科学的で正確な手法を見つけました。私たちは、業界の多くの企業に利益をもたらすアプリケーションを構築したのです。」