困難な金型プロジェクトを最先端技術で成功させるCavalier...
Cavalier Tool and Manufacturing Ltd.は、中型から大型の金型製造で高く評価されているグローバルメーカーです。自動車用品や娯楽、家庭用品など幅広い用途に対応した金型を製造しています。射出成形、SF型、ガスアシスト成形、マルチショット成形、熱硬化性成形、原型型、圧縮金型などさまざまなニーズに対応したソリューションを提供します。
40年以上にわたってCavalier Tool and Manufacturing Ltd. (以下Cavalier) は工作機械業界の世界中の顧客ニーズに徹底して応えてきました。自動車用品や娯楽、家庭用品など幅広い用途に対応した金型を製造しています。射出成形からSF型、ガスアシスト成形、マルチショット成形、熱硬化性成形、原型型、圧縮金型などさまざまなニーズに応えるソリューションを提供します。
1975年に創業したCavalierは現在、115名以上の従業員を雇用しています。最新の設計および製造設備を構える54,000平方フィートの施設では、250~4,000トンのプレス機用工具を構築し、年間200以上の金型を製造しています。
「小さな工具、シンプルな工具であれば誰でも作れますが、 私たちは誰もやりたがらないような複雑なことに挑戦しています。経験をもとに多くの技術を培ってきました。お客様にも満足していただいています。」
Cavalierは、品質の向上、そして継続的な向上に組織全体で取り組みながら、工具設計の難しい課題と向き合っています。「資材を投入するのではなく、人を育成し、プロセス、装置を開発することでビジネスを成長させてきました。」Cavalierの社長、Brian Bendig氏はこのように話しています。
成功への確かな道を探るため、世界中の最先端ソフトウェア、工作機械、装置、プロセスの研究に余念がありません。最先端のさらにその先を進み続けるCavalierは、厳しい経済環境やグローバル規模の低価格競争に直面したとしても、より新しく効率的なハイテク機器やプロセスを導入することで競争優位に立てることに気づきました。過去5年間で年間売上は800万ドルから2400万ドルへ増加し、その後も成長を続けています。
「私たちは非常に複雑な工具を競合相手よりできるだけ早く、20%、30%、40%も早く作るようにしています。業界トップの企業であること、それが大きな誇りです。我々は、仕事を確実にやり遂げる頼れるチームです。」Bendig氏はこのように話しています。Cavalierの姿勢は、同社の企業理念にも表れています。「何をすべきかを知り、最初から正しくやること。明日はさらに良くやること。」
先端技術を追求するCavalierはかなり以前から、製品ライフサイクル管理 (PLM) のスペシャリストであるシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのNX™ ソフトウェアを同社標準のCAD (コンピュータ支援設計) システムとして選択していました。1990年代にKorenev氏がエンジニアリング部長だったとき、信頼できるモデリングシステムを導入したいと考え、NXの前身であるUnigraphicsソフトウェアを選択しました。このソフトウェアの後続リリースには、金型設計作業を加速させる高度なツールキットであるMold Wizardが含まれます。 「最初の1ライセンスを導入しはじめたときから、その素晴らしさに気づきました。当社では製品を設計するエンジニアを次々と増やしたため、ライセンスも11にまで増やしました。」Korenev氏はこのように話しています。
NXはCavalierにとって唯一の金型設計システムです。プロセス・オートメーション・ツールを備えているため、部品設計から工具設計、アセンブリ設計、工具検証に至る金型設計を効率化します。ステップ・バイ・ステップで進められる金型設計フローを使うことで、NXは高度なオートメーションに金型製造の知識やベストプラクティスを取り入れています。金型設計は部品設計と連動しているため、一方の設計が変更されても、もう一方の設計者が即座に対応できるようになっています。
Cavalierでは通常、成形する部品のCADモデルに基づいて見積りを準備するところからスタートします。「まずは成形性、つまり、この部品をどのように成形するかを見ます。最初に検討するのは、どのサイズのプレス機を使用するかです。そのため、部品の容積を計算し、必要なプラスチック流圧を見極めます。その後、部品の抜き勾配やアンダーカット、成形過程に影響を及ぼしうるその他の要因を調べます。」Korenev氏はこのように説明します。NXを使うことでCavalierは、主要なCADシステムのネイティブファイルを含む実質すべてのフォーマット、またはSTEP、IGES、Parasolid®ソフトウェア形式などニュートラルなファイル交換形式のCADモデルを取り扱えます。
NXには部品解析ツールが備わっており、肉厚チェックや抜き勾配解析、アンダーカット領域検出と半径評価など、成形性を評価することができます。この評価結果に基づいて、実現可能性を顧客と話します。「部品の一部に問題があることを指摘する場合もあります。模様付けに必要な十分な抜き勾配が足りないのもその一例です。部品上に、生成すべき複数の線がある場合があり、見えている部品表面上でスライドアクションを用いて良いか確認が必要な場合もあります。また、リブが厚すぎれば、部品にひけを起こす可能性もあります。このように疑問や問題点はいくつも出てくるものです。」Korenev氏は上記のように話します。
もう1つよく起こる問題は、金型加工や最終部品品質に影響しうるCADモデルの表面品質に関することです。Korenev氏は次のように述べています。「多くの継ぎはぎを重ねたような「ひび割れたガラス」のような表面のCADモデルを受け取ることがあります。ひび割れがひどいモデルは壊れやすいため、許容できません。ですからクリーンなCADモデルを受け取ることが非常に重要です。」
見積もりのために部品モデルの提供を受けても、実現可能性に問題があり、見積もりを出せないという回答になることもあります。実現可能なモデルであれば、概算の価格と製造スケジュールを提示します。
ときには、エンジニアリングチームはNXを使って金型の暫定CADモデルを構築して、見積もりの精度を確かめることもあります。このためにCavalierは、NXを使って完全なモールドベースを自動生成するカスタムプログラムを作りました。このプログラムは、金型設計者がXまたはY方向の部品からの距離など、いくつかパラメータを入力すると、部品寸法に基づいて標準プレートを選択してモールドベースを作成します。「15分で、部品の周りが鋼材で覆われ、すべてのプレートがモールドベースに含まれた詳細3Dモデルが完成します。NXのユーザーインターフェースを使っていますが当社で作ったプログラムです。」Korenev氏はこう話します。
顧客から見積もりの承諾を得られたら、Cavalierでは金型の詳細な開発を開始します。NX Mold Designを使って設計エンジニアはコアとキャビティを分割し、分割線を作成して2つを分離します。複雑な金型アセンブリの場合は、エンジニアはNXの色分け機能を使って、2つの鋼が接している密封箇所は緑色、部品の表面は灰色、ランナーは青色、エアベントはピンク色など、細部を視覚的に区別できます。色分けすることで、開発チーム全体で金型の構造や機能をすぐに把握できるようになります。
Cavalierの金型設計プロセスではNXを使うことで、工具の細部まで表現した完全な3Dアセンブリモデルが生成されます。エンジニアリングチームはNXを使って金型の正確な部品表 (BOM) や、必要に応じて2Dエンジニアリング図面を作成できます。
製造に必要なすべての設計データは、Cavalierの製品およびプロジェクトデータ管理システムによって処理され、そこでNXの金型コンポーネントモデルは数値制御 (NC) プログラミング作業やマシニング作業で直接使えるファイルに自動変換されます。
Cavalierの施設は、大型の工具交換装置を装備する多軸、多機能、高速マシニングセンターなど、高度な技術装置を備えています。直近では、シンカー放電加工機 (EDM) を3台購入しました。この施設は、あらゆるレベルで自動化を取り入れた効率化のお手本であり、人的介入を最小限に抑えた年中無休の施設です。
Korenev氏は、CADシステムを使った経験から、NXで利用可能な各種アプリケーションプログラミングおよびカスタマイズツールを使って、できる限り多くの機能を自動化するプログラムを書きました。NXで利用可能な機能には、初期バージョンのGRIP (Graphics Interactive Programming) 言語、VB (Visual Basic) のアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API)、ジャーナリング機能やNX SNAP™ ソフトウェアなどがありました。
Korenev氏は次のように説明します。「毎日4~5時間かかる処理などの自動化にはプログラミングが重要です。こうした処理はできる限りシンプルに、専門に特化して行うべきです。プログラミングは、プロセス内の余計なステップを排除したり、ポイントやクリック操作を減らしたりします。」Cavalierはモールドベースを自動生成するほか、カスタムプログラムを使って金型アセンブリへの属性挿入の効率化、型彫りの自動化、その他機能のさらなる効率化を実現します。
Cavalierは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのチャネルパートナーであり、自動車用工具や金型の設計に特化しているLongterm Technology Services Inc. (以下Longterm) と密に連携しています。Longtermにはプログラミングの専門技術があるため、NXのインストール支援だけでなく、Cavalierがさらに最先端を走れるように自動化プロジェクトも支援しています。LongtermとNXソフトウェア開発チーム間の連携によって、Cavalierが要求するソフトウェア機能は強化されてきました。「NXソフトウェア開発チームは顧客の声に耳を傾け、これまでNXで素晴らしい成果を上げてきました。Cavalierが求めた機能も実装されています。」Korenev氏は上記のように話しています。
金型製造におけるCavalierの効率、品質、イノベーションは、MoldMaking Technologyに評価され、2015年にはLeadtime Leader Awardを授与されました。この年1回の賞は、北米の上位製造企業の際立った成果を認めるものです。Cavalierの標準化した柔軟なプロセス、高度な技術、人を重んじる考え方は、重要なリーダーシップ要素だとして評価されました。