ユーザー事例

CanduがマルチCAD環境でアセンブリのやり直しを排除し、時間とコストを削減

Candu、Teamcenter for PLMを活用して、原子炉の運転寿命を延長設計

Candu Energy

Candu Energy

Canduは、最大手のフルサービス型の原子力技術系企業であり、世界中の顧客に原子炉や原子力製品、および保守サービスを提供しています。高度なスキルを持つ同社の従業員が最先端のCANDU炉を設計、開発し、寿命延長プロジェクトを実施するほか、既存の原子力発電所の運営や保守、プラント寿命管理サービスを行っています。

http://www.candu.com

本社:
オンタリオ州ミシサガ, Canada
製品:
JT Open, PLM Open, Solid Edge, Teamcenter
業種:
エネルギー / ユーティリティ

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…われわれはマルチCADに対応できるツールが必要でした。構成管理機能もTeamcenterを選んだ大きな理由の1つです。
Eli Fayzenberg氏, コンピューター支援アプリケーション担当スペシャリスト, Candu Energy
Teamcenterを使用すると、データ中心の管理型3D/2D環境で作業できます。これにより、合弁会社のメンバーがCanduの製造ワークグループの画面にアクセスできるため、設計レビュー中にリアルタイムのコラボレーションが可能になりました。
Geoff Morgan氏, 製図担当主任, Candu Energy

カナダの原子力専門家

Candu Energy Inc.は、SNC-Lavalinグループのメンバーです。Candu Energyは、2011年にカナダ原子力公社 (AECL) の商業事業を買収しました。同社は、最大手のフルサービス型の原子力技術系企業であり、世界中の顧客にCANDU®原子炉や原子力製品、および保守サービスを提供しています。

CANDUの原子炉は現在、アルゼンチン、ルーマニア、中国、韓国、カナダで稼働中です。カナダでは、オンタリオ州の電力の約50%、カナダ全体の電力需要の約16%が、CANDU炉によって供給されています。Canduは原子炉だけでなく、プラント寿命管理プログラムとツールも提供するほか、既存の原子力発電所の運営や保守サービスも手掛けています。

Solid Edgeによる寿命延長設計

Canduは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの製品ライフサイクル管理 (PLM) ソフトウェアであるSolid Edge®を使用して、寿命延長設計に取り組みました。CANDU炉は経済性と信頼性に優れており、運転期間は最長60年間ですが、運転期間の途中で燃料チャネルを交換するために休止します。そのタイミングで主要コンポーネントの修理や交換が可能なため、信頼性と安全性が高まります。Solid Edge導入以前、Canduはシーメンスの設計データ管理ソリューションであるInsight™を使用しており、多くのサプライヤーやパートナーと協業するまではその効果を十分に実感していました。

マルチCADパッケージへの対応

Canduのエンジニアと設計者はすぐに、サプライヤーとパートナーがSolid Edgeに限らず、さまざまなCADアプリケーションを使用していること、つまりマルチCAD (コンピューター支援設計) の環境であることに気付きました。CanduはこれらすべてのCAD製品に対応する必要があります。Eli Fayzenberg氏はこう述べています。「当社のベンダーやパートナーが使っているCADパッケージはさまざまです」続いてCandu Energyのチーフ製図担当者、コンピューター支援アプリケーション担当スペシャリストであるGeoff Morgan氏はこう語りました。「Teamcenterは、データ中心の管理型3D/2D環境を備えています。これにより、合弁会社のメンバーがCanduの製造ワークグループの画面にアクセスできるため、設計レビュー中にリアルタイムのコラボレーションが可能になりました。」「業務において意味のあることには、すべて対応する必要があります。そのため、同じプラットフォーム上で複数のCADシステムを管理できる、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのTeamcenterの導入を決めました。」

Canduは、Solid Edgeソフトウェア、SolidWorks®ソフトウェアにTeamcenter®ソフトウェアを統合しており、サプライヤーやパートナーが現在使用しているすべてのCADシステムに対応しています。Teamcenterであれば、サプライヤーやパートナーがどのCADツールを使用しているかを気にする必要がありません。それぞれのCADアプリケーション用にTeamcenter統合を追加するだけです。

Candu Energy

設計データの検索と共有 – 重要な検討事項

Teamcenterを選択したもう1つの大きな理由が構成管理でした。Canduには、すべてのドキュメントを管理するための効率的な社内ファイル管理システムがありました。同社が必要としていたのは、CAD設計ファイルを管理できる同様のシステムでした。Fayzenberg氏は、次のように説明します。「当社は、すべての設計データを1つの保管庫で管理し、そこに行けば「唯一無二」の正式なファイルを取得できるようにしたかったのです。Solid Edgeの前には、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのInsightソリューションを使用していました。このソリューションはMicrosoft SharePointの技術を活用しています。しかし、SolidWorksファイルを処理しようとすると、設計チームが使っていた従来のPDMでは難しく、マルチCAD設計ファイルを扱えるより高度なシステムが必要でした。構成管理機能もTeamcenterを選んだ大きな理由の1つです。」

サプライヤーやパートナーとの連携

Canduは寿命延長プロジェクトにおいて、全体的な機械設計に関わるベンダーやパートナーに設計の一部を委託しています。Teamcenterによって、Canduとその設計ベンダーは各コンポーネントに関する詳細情報を理解したうえで協力しながら設計を進めることができます。その結果、複数のツールの統合で生じる潜在的な問題を回避しています。Fayzenberg氏は言います。「Teamcenterを使用することで、ベンダーが3Dモデル全体を把握しながら、より適切に設計できるようになりました。今では、ベンダーとも当社の設計案を十分に共有して、両者の設計を適切に統合できるようにしています。」

Fayzenberg氏はさらにこう述べます。「すべての設計コンポーネントを統合して、そのすべてが機能することを確認しなければなりません。当社が最終的に設計を統合し、全体的な責任を負いますが、Teamcenterのおかげで自信を持って統合を行うことができています」

設計費用の削減

Canduは、設計費用も削減したいと考えていました。エンジニアが概念設計を行ったら、CAD設計者に渡します。Fayzenberg氏は次のように述べています。「設計エンジニアが断面作成や測定などの基本的な作業を行うため、Solid EdgeとSolidWorksのフルライセンスが必要でした。Teamcenterを使用することで視覚化が可能になりました。また、JTテクノロジーにより、エンジニアはCADのフルライセンスがなくても、基本的な作業を進められます。」

設計要件と規制要件への迅速な対応

Canduは、設計要件の管理にもTeamcenterを使用しています。Canduにとって、カナダ原子力安全委員会 (CNSC) の規制を遵守することは必須条件であり、データの一貫性が最も重要です。たとえば、水温パラメーターを一定に保つことが条件であれば、すべての設計書で水温の設定を統一しなければなりません。Teamcenterでは、要件を1回設定するだけで、すべての設計書に反映できます。要件を1回設定すれば済むため、設計のやり直しに費やす時間と費用が大幅に削減されました。

Quickly meeting design and regulatory requirements

プロジェクトの成功

Canduでは、TeamcenterとSolidWorksを使用した寿命延長プロジェクトが完了したばかりです。このプロジェクトは、今後のプロジェクトの基準でもあり、改善の指標としても活用されます。Canduのチーフ製図担当者であるGeoff Morgan氏は言います。「Teamcenterを使用すると、データ中心の管理型3D/2D環境で作業できます。これにより、合弁会社のメンバーがCanduの製造ワークグループの画面にアクセスできるため、設計レビュー中にリアルタイムのコラボレーションが可能になりました。」

Canduは、今後のプロジェクトの予備設計にTeamcenterをすでに使用し始めています。Fayzenberg氏は、「Teamcenterを使用した最初のプロジェクトはすばらしいものでした。今後の2つのプロジェクトでも使用する予定です」と述べています。Canduではまた、金型/サービス設計グループへのTeamcenterの導入を進めています。

すべての設計コンポーネントを統合して、そのすべてが機能することを確認しなければなりません。当社が最終的に設計を統合し、全体的な責任を負いますが、Teamcenterのおかげで自信を持って統合を行うことができています」
Eli Fayzenberg氏, コンピューター支援アプリケーション担当スペシャリスト, Candu Energy