サプライヤーBroseはTeamcenter 製品コスト管理を利用して革新的購 買を実現
Brose Groupは、ドイツの自動 車部品サプライヤーで、自動車 のドアやシート向けの革新的 なメカトロニクスシステムと、 電気モーターの開発と製造を 行っています。
Broseは、世界第5位の家族所有の自動車部 品サプライヤーで、売上高は約52億ユーロ に上ります。同社はメカトロニクスを専門と し、自動車のドアやシートのための革新的 なメカトロニクスシステムや、80の自動車ブ ランドおよび40社以上のサプライヤー向け の電気モーターの開発と製造を行っていま す。
2015年に、Brose Groupは、革新的な購買 管理を理由として、グローバルな購買団体 であるProcurement Leadersから国際的に 有名な賞を受賞しています。この賞は、優れ た資材購入管理に対する最高の評価と見な されています。このグローバル企業は、近年 購買プロセスを完全に作り直し、製品の開 発、製造、ロジスティクスの間のより緊密な 統合を実現しました。「この機能横断的なコ ラボレーションの主要な目的の1つは、サプ ライヤーとのやり取りを最適化することで、 全員にとっての利益を実現することです」 と、Brose Groupの購買担当エグゼクティブ・ バイス・プレジデントのSandro Scharlibbe氏 は、ロンドンで行われた授賞式で語りまし た。
Broseは、2つの重要な動向に直面していま す。OEM (Original Equipment Manufacturer)の調達戦略のグローバル化 によって、競争環境が激化し、サプライヤー 側へのコスト圧力が強まっています。同時 に、最終生産者の垂直統合の弱まりにより、 サプライヤーは自身がシステムサプライヤ ーとしてグローバルな存在感を持つことを 要求され始めています。このような課題の 主な理由として、今日、Broseの購買スキル は、単に個別コンポーネントの購入だけで なく、資材購入プロジェクト全体を対象とす るようになっています。資材購入の役割は、 製品特性の設計、付加価値プロセスとサプ ライヤー構造、製品設計自体、および開発 プロセスにまで拡大します。このため、購買 は、最終製品のテクノロジー、コスト、品質、 時間に大きな影響を与えます。
Broseがこれらの課題を解決するには、数年 前に使用されていた一元管理されていな いExcel®ソフトウェアではもう不十分でし た。「スタンピング部品、ダイキャスティン グ、プラスチックのそれぞれに対して、別々 にコスト計算が行われていました」と語る のは、Brose Group購買部門のコスト分析 責任者であるMichael Kurz氏です。「計算の 取り扱いは各地域で異なっていました。そ のため、計算の透明性を確保し、製品コスト を系統的に追跡して最適化することは困難 でした」必要とされていたのは、効率的なコ スト計算プロセスをサポートし、正確な製 品コストの透明性を実現する、標準化され た計算方法を備えたソリューションでした。 数年前にBroseは、これらすべての要件を満 たす統合ソリューションの導入を決めまし た。それは、製品ライフサイクル管理(PLM) のスペシャリストであるシーメンスPLMソフ トウェアが提供するTeamcenter®製品コス ト計算ソリューションです。
Broseが現在購入している製造材料の購入 金額は、約30億ユーロに達します。これに加 えて、アセンブリシステムやツールに関する 支出やコストがあります。Teamcenter製品 コスト計算ソリューションは、プラスチック、 ダイキャスティング、スタンピング部品や、 電気機械部品およびコンポーネントの購入 をサポートします。さらに、このソフトウェア は、複雑な機械アセンブリの計算にも使用 できます。これらはアセンブリプロセスの速 度を上げることで、最終的にBroseの生産性 向上に寄与します。
Teamcenterを使用することで、Broseは購 買の新しい機会を見つけ、製品開発プロセ スでの購買の役割に関する新しい理解を得 ることができました。Teamcenter製品コス ト計算ソリューションの詳細なコスト構造 分析機能は、購買部門にとって、プロジェク トのコラボレーションと社内顧客に対する コンサルティングのための有用なツールと なります。コスト構造分析を通じて、コストと コストドライバーに関する事実に基づく調 査の可能性が開けます。低コストの代替手 段を発見することで、プロジェクトの利益率 と成功目標をサポートする現実の付加価値 が得られます。
購買部門は、外部のサプライヤーと社内の 顧客の間の仲介者として重要な役割を果た します。一般的に、この作業の最適な遂行 には、購買部門が両者の間の仲介を事実に 基づいて行うことが重要です。Teamcenter によって作成されたコスト分析は、この点 で購買部門にとって非常に役立ちます。例 えば、Broseは現在、設計や数量の変更が購 入予算に与える影響を具体的に評価し、対 応する正確な社内見積りをすみやかに作 成できます。
Broseの購買部門は、現在では製品開発に きわめて早い段階から関わっています。例 えば、燃料消費と排出を減らすために、新し い軽量材料の必要性が高まっており、その ような材料の選択を購買部門が支援してい ます。Broseの次世代ドアシステムを例に取 ると、キャリアプレートの材料としてガラス 繊維で強化されたポリプロピレンを使用す ることで、従来のプラスチックに比べて約 350グラム、従来の鋼に比べると1.2キログ ラムもの軽量化を実現しています。「設計段 階は購買部門にとってもきわめて重要で す。部品コストの70~80%がこの段階で決 まるからです」とKurz氏は語ります。
調達段階の初めに、重要なコンポーネント、 部品、アセンブリのコストが、まだ詳細な設 計ができていない段階で、調整された仮定 に基づいて計算されます。計算結果は、販 売可能な製品の見積り計算のプロジェクト 目標に反映されます
製品開発プロセスの次のステップでは、技 術の専門家が開発部門と協力して、製品設 計を最適化します。Teamcenter製品コスト 計算ソリューションは、開発のさまざまなレ ベルの識別、評価、ドキュメント化に役立ち ます。この方法により、Broseはプロジェクト を総体的観点から調査することで、システム 全体のコスト最適化を実現しています。
コンポーネント、部品、またはアセンブリの 設計が最終的に決まると、Broseのコスト分 析部門は、「ベストプラクティス価格」を決定 し、同時にサプライヤーに依頼を送ります。 このようなボトムアップのコスト計算を準 備するために、Broseでは、Teamcenter製品
コスト計算ソリューションに付属するデー タベースを利用して、機械、人件費、製造プ ロセスなどのリファレンス情報を入手して います。このような詳細情報を利用すること で、Broseはコンポーネントの製造のための 最もコスト効率の高いプロセスを判定し、 関係者すべてに高い透明性で提示できま す。
Teamcenterソリューションに内蔵されたサ イクルタイム計算機能により、さまざまな製 造プロセスを定義して詳細に評価すること ができます。Broseのコスト分析部門では、 このツールを使用してサイクルタイムを判 定しており、これはきわめて実用性が高く、 特にまったく未知のコンポーネントに対し て有効です。サイクルタイム計算機能には、 材料や機械に対する根拠のある調査から得 られた技術情報が反映されています。
さらに、BroseはTeamcenterで作成したコス ト内訳を利用して、計算された目標価格と、 サプライヤーから受け取ったコスト内訳を 比較しています。コスト内訳の透明性をクリ ック1つで実現でき、見積りの詳細な比較を 通じて、交渉のための有効で貴重なツール として利用できます。「Teamcenter製品コス ト管理を購買部門内で使用することで、サ プライヤーに妥当な全体的目標価格を提 示するだけでなく、事実に基づくきわめて 正確な価格交渉を行うことができます」と Kurz氏は説明します。
Broseにとっては、サプライヤーの実際のコ ストを現実的に評価することが、開発と製 造のために重要です。「Teamcenter製品コ スト計算ソリューションを使用することで、 購入部品のコスト構造に関する高い透明性 が得られ、それに基づいてサプライヤーと の間で、詳細な事実と最適化の方法を話し 合うことができます」とKurz氏は語ります。
購入物品のコスト分析を通じて、Broseの購 買部門は、妥当な購入価格とその根拠を決 定できるだけでなく、コスト削減のための 建設的提案を行うことで、共同でのコスト 削減のための客観的で事実に基づく基礎 を築くこともできます。「Teamcenter製品コ スト計算ソリューションの購入価格分析を 利用することで、サプライヤーとの一部のプ ロジェクトで最大15%のコスト節約を実現 しています」とKurz氏は語っています。
Teamcenterを使用して作成されたコスト削 減の提案により、Broseは購入価格を引き下 げることができ、サプライヤー側も、その提 案を他の顧客に対しても利用することで利 益を得ることができます。Broseは現在、 Teamcenterによってコスト構造の継続的な 最適化を行うことで、購入部品の利益率を 高めています。
メーカーの間では、グローバルなプラットフ ォームとモジュール製品システムを通じて、 グローバル化、ローカル化、個別化の間の バランスを取ろうとする動きが進んでいま す。Broseは、欧州、北米、アジアの3つの地 域で製品を製造することで、この課題にうま く応えています。現地のサプライヤーは、運 搬コストが低く、納期とセキュリティの点で 有利なので、OEMにとってもBroseにとって もコスト的な利点があります。この「ローカ ルにはローカル」の戦略は、購買にとってま すます重要性を増しています。
このためにBroseでは、サプライヤーの見積 りと関連するグローバル目標を比較可能に する必要が生じます。一部のコスト要素は、 地域に応じて調整されます。そのために Broseは、継続的に更新されている Teamcenterのナレッジデータベースを利用 しています。このデータベースには、人件 費、電気料金、プラントごとの間接費など、 グローバルな地域情報が記録されていま す。
Broseは、自社の付加価値を常に最適化し、 購入部品のコスト構造を改善する目的で、 過去数年間にコスト分析部門を4人から40 人に増強しました。Teamcenter製品コスト 計算ソリューションは、ドイツ、中国、ブラジ ル、米国にあるBroseの拠点で使用されてい ます。「Teamcenterは、新規開発の目標価格 の検証を通じて全世界での購買をサポート し、コストの削減に役立っています」とKurz 氏は述べています。
多くの市場でのコスト圧力の増加に応える ため、Broseは将来的に、グローバル市場の コスト上の利点を利用して、競争優位性を 維持することを計画しています。購買部門 は、シミュレーションシナリオを作成し、潜 在的なリスクと機会の包括的な評価を早期 に実施することをますます求められます。グ ローバル調達や移転の決定の効果を正確 に予想するには、購入部品の付加価値条件 を世界中の代替地域に柔軟に適合させるこ とが必要です。そのため、Teamcenter製品 コスト計算ソリューションを使用すること で、購入の決定に関する節約の可能性の分 析と実現に関して、大きな付加価値が得ら れます。