Briggs & Strattonがシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソリューションを使用して、解析段階の試験とポスト処理にかかる時間を削減...
Briggs & Stratton Corporationは、屋外用発電装置のガソリンエンジンを製造している世界最大メーカーであり、発電設備、高圧洗浄機、園芸用機械、芝刈り機、工事現場用製品の設計、製造、販売を手掛ける業界リーダーです。同社の製品は100か国以上で設計、製造、販売、運用されています。
エンジンは日々、多くの用途に用いられています。ビルの建築から、電力供給、停電時の病院、水田の散水、園芸、芝生の整備にいたるまで、エンジンンはあらゆるものの心臓部です。
米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本拠地を構えるBriggs & Strattonは、小型内燃エンジンメーカーです。同社のエンジンは世界100か国以上で販売されています。Briggs & Strattonのエンジンは、芝刈り機、トラクター、高圧洗浄機、ウォーターポンプ、発電機をはじめ、多岐にわたる商用アプリケーション (通気装置やコンクリート仕上げこて) に使用されています。
事業を牽引し続けるため、Briggs & Strattonのエンジニアリング部門は、市場シェア拡大と新市場への参入を目指し、エンジンモデルの改良と新型エンジン開発に常に取り組んでいます。振動騒音測定ラボは、振動 / 騒音を最高水準に保ち、期待以上の耐久性を達成する責任があります。
振動騒音測定ラボで中心的役割を担っているのがSimcenter™ SCADASハードウェアのデータ収集システムとSimcenter Testlab™ソフトウェアであり、開発サイクルの早期に製品目標を達成するためのプロセスをエンジニアと技術者に提供します。このラボは、振動騒音と耐久性のエキスパートである少数精鋭のエンジニアで構成されています。試験ラボは現在、4台のSimcenter SCADASシステムを導入しており、うち2台は半無響室、残りの2台は持ち運び用として別のラボやフィールドで使用しています。
エンジン音圧を測定してから、制御室でSimcenter SCADASを使用してその音の強度と品質をの計算します。また、記録中の生データとプロセスの監視にSimcenter Testlabを使用すると、解析時のポスト処理の時間を短縮できます。音と振動の両方の測定に対してSimcenterの試験テンプレートが作成され、今までよりも簡単にドキュメント化できます。この結果、試験能力が向上し、振動騒音測定ラボのスタッフ全員が同じ手順を確実に進めることができます。
振動騒音および耐久性測定担当シニアエンジニアリングマネージャーのBrett Birschbach氏はこう述べています。「エンジニアから『このソフトウェアは本当に使いやすいね』と言われた回数は数知れません。柔軟性にも非常に長けており、これまで使っていたツールよりずっと簡単です。
Simcenter Testlabは、データがツリー構造になっているため、ドラッグしながらドロップするだけでデータをビジュアル表示して、新旧プロジェクトを簡単に比較できます。」
エンジンの設計でまず懸念すべきが騒音レベルです。ヨーロッパの例を挙げると、振動と音圧に基づく音響パワーを定めた複数の認定基準があります。スペクトラム解析、音響パワー、音質指標は設計当初から検討します。振動騒音測定ラボのエンジニアは、製品の騒音源を調査し、品質基準に合致するよう調整します。
Briggs & Strattonの試験施設では、ほとんどの製品を徹底的に試験しており、芝刈り機の試験には人工芝も活用しています。速度と負荷を変えられる負荷試験装置 (水平 / 垂直) も使用しており、被試験物の負荷条件を模倣して、耳に届く音を測定します。官能評価は、耳障りの良い音を見極めるものであり、
騒音測定は、市場の規制に従って騒音をラベル付けします。振動騒音測定チームによる製品品質の認定は、高精度の測定が頼みです。Birschbach氏はこう述べます。「振動 / 騒音を最高水準に保つことを目指し、Simcenterを使用しています。」
Simcenterを使用してエンジンとアプリケーションの振動を記録し、騒音源を特定します。エンジン開発では、独立した試験スタンドでエンジンの振動を測定し、Simcenter SCADASデータ収集システムを使用して監査します。Simcenter Testlabであれば、アプリケーションの騒音と振動を相関させ、データを解析して、騒音振動レベルを簡単に改善できます。
「すべての試験を通じて、つまり最初の測定から最終処理にいたるまでSimcenterを使用しています。」Weed氏はこう述べます。
出荷後の一般的な使用状況を適用して、振動とひずみを測定します。振動とひずみの両方をSimcenterツールで測定し、その記録をエンジン加速試験と最終製品に活用します。Simcenter SCADAS XSハードウェアは、こうした測定に最適な携帯型のデータ収集機器システムです。芝刈り機の例を挙げると、安全性と快適性の観点から、エンジンがハンドル部に与える振動を測定し、全身に暴露される振動の基準を定めたISO 2631のガイドラインに確実に準拠させています。
同じ装置を耐久性試験にも使用します。システムで取得したデータは、加振器や油圧試験システムを使用した加速度試験に対応した形式にすぐに変換できます。振動騒音測定ラボでは、加速度試験にひずみゲージと疲労損傷のスペクトラム、モーダル試験に加振器またはハンマー衝撃を使用しています。Simcenter Testlabのハンマー / 加振器モーダル設定は、使いやすく、正確で再現性の高い結果が得られます。
Simcenterの処理ツールにはエンジン振動応答を評価機能があり、最適なバランスがどこかを見極めて、部品単位で改善できる領域を特定することで、耐久性の高い製品を開発できます。
Briggs & Strattonの200 Vanguard (VG) に実装する垂直エンジンは下図のようになっています。商業市場で販売される200VGは、高い信頼性、使いやすさ、操作性が求められます。
Briggs & Strattonの騒音振動試験と研究開発 (R&D) エンジニアは、トークン方式のライセンス形態に変更したことのメリットを実感しています。Simcenter Testlabトークンは柔軟性の高いライセンス形式であり、ユーザーは試験とデータ解析のソフトウェアモジュールの豊富なライブラリにアクセスできます。ライセンスを購入したソフトウェアにしかアクセスできない固定ライセンスとは異なり、Simcenter Testlabのトークンライセンスは、トークンを割り当てるソフトウェアモジュールを任意に組み合わせることができます。
問題が千差万別で、それぞれ異なるツールが必要だとしても、トークンシステムであればどのツールにもアクセスできます。
Birschbach氏はこう述べます。「Simcenter Testlabの長所の1つがトークン方式のライセンス形態です。これは本当に可能性が広がります。必要に応じて解析ツールを使い分ける自由を得られます。今日はモーダル解析、明日は耐久寿命試験、その翌日は音質解析を実行することも可能です。個別ソフトウェアを購入する必要はありません。われわれのグループは比較的小規模であるため、この柔軟性は大きいです。」
トークシステムであれば、革新的なアイデアをその場で試験できるので、新しい技術が生まれやすくなります。
シーメンスのサポートチームは、Briggs & Strattonの振動騒音測定ラボのエンジニアが実施する試験のサポートも提供しています。Birschbach氏はこう述べています。「当社のような企業にとってはサポートが決定的に重要です。シーメンスのサポートは群を抜いて素晴らしかったです。非常に高いレベルのサポートを受けることができました。電話でその場で回答を得られるだけでなく、すぐに解決できない問題であっても、可能な限り早く解決策を得られます。問題に限らず、質問があればいつでも電話して、非常に有益な助言を得ることができました。」
Briggs & Strattonの振動騒音測定ラボは、Simcenterポートフォリオに含まれる新機能を実装しながら拡張することを計画しており、パワフルでありながら騒音のない製品を試験によって開発することを目指しています。