PLM実装により、顧客要件とコンプライアンスを順守し、効率性と柔軟性を改善...
Bausch+Stroebel GmbH & Co. KGは、先端技術の医療用包装システムの製造大手です。
http://www.bausch-stroebel.com
Bausch+Stroebel GmbH & Co. KG (Bausch+Stroebel) は、医薬品業界、化粧品業界、化学薬品業界向けの包装・製造システムを設計および製造しています。ドイツ、米国、フランス、日本を拠点を持ち、従業員数は約860名です。40年以上の歴史があり、技術面とコスト効率面の両方で非常に優れた包装ソリューションを提供する主力企業の1社です。
絶え間ない変化への対応力、市場の理解力、迅速な顧客要求応答力がなければ、市場のリーダーであり続けることはできません。Bausch+Stroebelには、アンプル、ボトル、水薬瓶、注射器、カートリッジなど、顧客の要件に完全に合致した製品の製造ソリューションを顧客の声に耳を傾けながら提案できるスペシャリストが揃っています。具体的には、高性能の包装装置の設計および提供に加え (これは精製、滅菌から充填、封入、検品までの包装サイクル全体と、1時間あたり1,500~60,000ユニットの輸送を含む) 、設備のプランニング、検証、設置、稼働性能適格性確認までを手掛けます。
最適化した製造プロセスを顧客に提供するため、準備段階のライン自動化の計画からエンジニアリングに至るまで、多くの項目を検討しなければなりません。たとえば、変則的な状況、既存の物流 / サポート / 廃棄のつながり、空調システムといった内容を考慮します。機構部品が50%、電気 / 電子 / ソフトウェア/ 自動部品が50%を占めるような機械の設計は、さまざまな分野の専門家で構成される大規模エンジニアリングチームが関与します。
メカトロニクスが台頭したことで、より広範なカスタマイズが可能になった一方、設計はさらに複雑化しています。これに拍車をかけるのが、コンプライアンス管理です。医薬品企業には非常に厳しいコンプライアンスが求められます。要件仕様を満たすため、すべての機器が設計書、適切な仕様書、EUの優良製造規範ガイドライン (GMP)、医薬品査察協定 (PIC)の推奨事項に則って製造されたことを証明する完全で追跡可能な文書を提供しなければなりません。Bausch+Stroebelでは、何百ものフォルダーに及ぶ資料を準備することさえあります。その結果、完成品の出荷工数の1/3が搬入と検証に費やされることになります。
Bausch+Stroebelのコンサルティング部門、営業部門、製造部門、組み立て部門、サービス部門、R&D部門は一か所にまとまっています。多くの異なるプロジェクト参加者が、最新情報にアクセスして、要件エンジニアリングから、プロジェクト、設計エンジニアリング、製造、検証まで多岐にわたるプロセスを管理しなければなりません。このため、Bausch+Stroebelは、シーメンスPLMソフトウェアのデジタルライフサイクルソリューションであるTeamcenter®をベースに一元情報プラットフォームを実装することを決めました。このプラットフォームには、シーメンスのソリューションパートナーであるBCT Technology AGの提供するPLM-easyと呼ばれる製品ライフサイクル管理 (PLM) 機能が追加されています。
この情報システム (PLM-easyを付属したTeamcenter) は、中堅規模の機械装置企業に適しています。Teamcenterを使用すると、全製品設計データの管理と共有が可能であり、さらに重要な機能として、全社規模でのドキュメントの生成と管理を容易化します。また完全なBOMをTeamcenter主体のソリューションで管理します。Bausch+StroebelのCADの歴史を振り返ってみると、いくつものシステムを並行利用していた過去があります。このため、複数CAD環境に対応できるようにさまざまなデータ形式を管理する必要がありました。 BCTのサポートのもとに、Bausch+Stroebelは既存の2D CADアプリケーションをTeamcenterに統合し、利便性の高い作図管理を実現しました。現在ではそのほかの情報も徐々に追加されています。
プロジェクトが複雑化し、納期もますます厳しくなると、2D環境では十分に対応しきれなくなります。Bausch+Stroebelの製造効率を向上させるためにBCTが打ち出したもう1つの戦略は、NX™デジタル製品開発ソフトウェアの実装でした。2D環境、特に2Dでの組み立て図面は、断面ビューが使用できないことがあり、詳細の記述に完全な描写が含まれないなど、下流工程で問題を引き起こしていました。NX 3Dのエンジニアリング機能によって、問題が起こりにくくなり、仮に問題が発生しても、製品ライフサイクルの早い段階で対処できます。
さらに、開発のどの段階であっても、NXでデジタルモックアップを作成し、エンジニアリング品質を検査できます。デジタルモックアップを使用することで、担当者が3Dデータを直接参照できるので、組み立てプロセスも向上しました。NXにはまた、パラメータを操作するだけで、仕様要件を満たすように設計を変更する機能があります。この結果、顧客仕様に応じて装置をカスタマイズし、全体の製造効率を高めます。
NXとTeamcenterの統合で、マルチボディシミュレーションや形状最適化など、高度なプロセスにおける情報共有が簡素化されました。実際、Teamcenterは、全社規模での情報のやり取りを向上させています。現在は、最終組み立てに図面は必要ありません。Teamcenterによって、チームメンバーすべてがすべてのCADデータに直接アクセスできるからです。
Bausch+Stroebelはこのソリューションを有効活用し、さらなるプロセスの合理化を進めています。CADモデルが詳細化され、高精度になったほか、エンジニアリングと他の部門間のコミュニケーションも効率化されました。また、モデル作成が迅速され、サイクルタイムの短縮につながっています。設計と検証のプロセスの改善を図るため、すべての部署が最新情報にオンラインでアクセスできるようにしました。Teamcenterはまた、共通部品カタログの作成を加速、自動化します。ボタンをクリックするだけで、BOMから完全カタログを生成する機能があり、単調な作業に時間をかける必要はありません。
Bausch+StroebelのPLMへの取り組みの次のステップは、エレメカアプリケーションとTeamcenterの完全統合です。BCTとシーメンスPLMソフトウェアの協力のもと、単一ナレッジデータベース内に別のアプリケーションを追加する方法で進める予定です。プロジェクトの完了時には、重複データを含まないデータベースが完成し、社内のどの部門からでも直接アクセスできる仕組みが整います。