ユーザー事例

発電所の施設とコンポーネントに携わるサプライヤー、設置業者、サービス・プロバイダーの設計サイクルタイムを10~15%短縮

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソリューションでコンポーネントの再利用率を20~40%向上させたAnsaldo Energia

Teamcenterで、サプライヤー、設置業者、サービス・プロバイダーの設計サイクルタイムを10~15%短縮

Ansaldo Energia

Ansaldo Energiaは、イタリアの大手発電所プロバイダーで、公共部門や独立系エネルギー生産業者などにサービスを提供するグローバル企業です。

http://www.ansaldoenergia.com

本社:
ジェノバ, Italy
製品:
NX, Teamcenter
業種:
エネルギー / ユーティリティ, 産業機械

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オペレーションの解析データやレポートを収集して、以前に実施したプロセスを再利用できるため、実証済みで信頼性の高い結果を得られるようになり、サイクルタイムの短縮とデータの信頼性という大きなメリットが生まれました。
Stefano Santucci氏, PLMオペレーション、ソフトウェアおよび関連プロセス、ビジネス・プロセス・アナリスト, Ansaldo Energia

重要な役割を担う

Ansaldo Energia (AEN) は長年にわたり、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのフル機能のTeamcenter®ソフトウェアを使用して、製品ライフサイクル管理 (PLM) を行っています。同社は、コンポーネント設計、構成管理、製品分類、ドキュメント管理用のデータを処理できるように、段階的にTeamcenterを拡張してきました。次のステップは、プラントのエンジニアリングとサービスを統合することです。

AENは、独自の技術と設計、生産、建設、試運転、サービス・リソースを使用して、グリーンフィールド・サイトにターンキー発電所を建設する能力を備えた、フルサイクルの統合オペレーターです。イタリア最大のタービンおよび火力発電所メーカーであるAENの主要製品ラインは、ガスタービン、蒸気タービン、発電機の3つに分かれています。AENにとってPLMは、情報、プロセス、リソースを管理してプラントのライフサイクル全体をサポートする、重要な戦略的ツールです。

現在、すべてのアプリケーションはTeamcenterと組み合わせて使用されており、コスト削減と組織の効率化という大きなメリットをもたらしています。

AENはTeamcenterを使用して、すべての3Dコンピューター支援設計 (CAD) データと、対応する製品構造、構成を管理し、変更・構成管理機能を活用しています。また、コンピューター支援製造 (CAM) データはエンジニアリング情報と完全に統合されており、2D、3D、メモ、生産データなどで電子作業指示を表示する専用キオスクで、工場の従業員にすべての関連情報を提供しています。

「Teamcenterの提供する大きなビジネス価値は、エンジニアリングと生産における情報のトレーサビリティと信頼性です。このため製造向けにTeamcenterを導入しました。」AENの構造解析担当チーフエンジニア、Mauro Macciò氏はこのように述べています。

AENのマネージャーは、パイロット・プロジェクトに基づき、さまざまなタイプのアプリケーション (データ管理、プロセス管理、最適化) を考慮して、「Teamcenterによって設計プロセス時間が10〜15%短縮した」と推測しています。

「ユーザーがTeamcenterで最も高く評価しているのは、「過去のすべての計算を取得して確認し、各プロセスと使用されたすべてのデータを追跡して、異なるソリューションを直接比較できるため、信頼できるデータであるとの自信を持って、他の人のプロセスを再利用できる」という目に見えないメリットです。」とMacciò氏は言います。

またAENは、「コンポーネントの再利用を20〜40%増やし、会社のノウハウを約80の設計プラクティスに集約できた」とも考えています。

「Teamcenterは、設計とその検証にかかわるすべての人にとって重要な、実世界のデータに基づいた情報源を提供してくれます。」AENでPLMオペレーション、ソフトウェアおよび関連プロセスを担当するビジネス・プロセス・アナリスト、Stefano Santucci氏はこのように述べています。

Playing a vital role

正確な管理を提供

Santucci氏は、開発エンジニアリング、製品エンジニアリング、生産エンジニアリング、メンテナンス・エンジニアリングを担当しています。

Santucci氏はこう述べます。「私が入社したのは、Teamcenterが導入された時期でした。1998年当時、Teamcenterが機械およびプラントのドキュメント管理システムとして導入されました。 その後、部材や製品構造にまで拡張され、最終的には変更管理にも展開されました。」

「2008年、Teamcenter Manufacturingの導入して製造領域のパイロット・プロジェクトを開始しました。これは工場オペレーションをすべて再編成するというものです。機械加工サイクルと製造部品表 (MBOM)、リソース、金型、機器、機械の使用、エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムとの統合を管理するシステムを導入しました。Ansaldo Energiaは、多様な数値制御 (NC) 機器を含むポートフォリオを擁しているため、正確な管理は必須です。」

2008年には、開発エンジニアリング・ユニットが150人のチームとして設立され、新しい機械 (ガスタービン、蒸気タービン、発電機) の作成と既存モデルの改修が行われました。このユニットは、特定のニーズを満たすために設立されました。

「2005年まで、AENはライセンサーの傘下で活動し、ライセンサー向けにガスタービンやその他の機器を製造していました。」Macciò氏はこのように語ります。「下請けをやめる、という意思決定を下した後は、開発の問題と、現場の機器オペレーションからのフィードバック収集に焦点を当て、すべての領域の「センター・オブ・エクセレンス」を構築して、この情報を生産へと転送できるようにする必要がありました。

「Ansaldo Ricercheのさまざまなユニットやスタッフを集めたこの新しいユニットは、開発プロジェクトに対応し、生産の問題には直接関与しません。」とMacciò氏は言います。「機械エンジニアリング、空気力学から二次空冷までのあらゆる領域を横断するアプローチで、製品に取り組むチームとかかわっています。私たちは、Finmeccanicaや他の国際企業の経験を通じて、製品開発、承認、リリースにかかわるすべての領域のチームを統合できるソリューションを導入する必要性を認識しました。

「これが、Teamcenterプロジェクトが生まれた経緯です。Finmeccanica GroupはTeamcenterの価値を認め、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアに「イノベーション賞」を授与しました。

Providing accurate management

新しいプラットフォームを定義

開発エンジニアリングの製品イノベーション・開発メンバーであるDavide Pinna氏は、コラボレーティブ・エンジニアリング・プロジェクトを細かく監視しました。それが、エンジニアリング・プロセスを管理するためのシミュレーション用Teamcenterの導入につながりました。

「私たちの目標は、すべての開発・設計データとプロセスを管理し、十分な設計最適化を実現できる単一のツールを見つけることでした。」Pinna氏はこのように述べています。「アンケートによる正確なスクリーニングと、タービン・ブレードの熱機械設計のテストケースを経て、私たちは「完璧なソリューションはないが、データやプロセス管理に適したソリューションや、もっと効率的な最適化ソリューションがある」ことに気づきました。そのため、Teamcenterなど、データプロセスとマクロプロセスを管理するソリューションを各カテゴリーに1つ選びました。」

新しいプラットフォームを定義するために、現実のコンポーネントで3つのパイロット・プロジェクトを実施しました。1つ目のパイロットでは、空気力学と機械エンジニアリングの領域を含む新しいコンセプト、コンプレッサー・ブレードの設計のデータ・プロセス管理に焦点を当てました。

2つ目のパイロットは、タービン・ブレードの検証プロセスを必要とする既存のコンポーネントに対して実行し、会社のストレージ・システムで3Dモデルが利用可能でした。このプロセスでは、参加する領域 (空気力学、熱交換、二次空気システム、機械エンジニアリング) 間で交換されるすべてのデータとドキュメントを管理する必要がありました。2つ目のパイロットの目標は、冷却タービン・ブレードの設計プロセス中に生成したデータを完全に管理することでした。

3つ目のパイロットは、既存のタービン・ブレードの設計に関連するもので、熱交換と機械エンジニアリングの領域が関与し、ブレードの内部冷却システムの最適化プロセスを定義することが目的でした。

「パイロット・プロジェクトはすべて2011年1月末に完了し、素晴らしい結果が得られました。」とSantucci氏は言います。「その後、実際の生産フェーズに移り、この作業環境を会社の他の領域や他のTeamcenterモジュールに接続しました。当初はエンジニアリング、開発、製造に重点を置きましたが、その後上流にアイデアおよびコンセプト・エンジニアリングを追加しました。今後2年間で下流に拡大し、このループを閉じて現場から直接フィードバックを得られるようにメンテナンスとサービスを実施して、製品コンセプト作業とエンジニアリング作業を改善できるようにします。」

Defining the new platform

目に見える成果を達成

パイロット・プロジェクトには約20人が参加し、顧客からは高い評価を得られました。

「社内で知識管理の文化を育むには、正しい準備が必要でした。」とMacciò氏は言います。「選択したツールとは別に、情報技術 (IT) を導入するプロセスに着手する前に、会社の知識構造全体の正式な構造を定義する必要がありました。私たちは、「設計プラクティス」と呼ばれるドキュメントにノウハウを分類し、現在はTeamcenter内の安全なフォルダに保存して、権限を持つすべてのユーザーが追跡・監視モードでアクセスできるようにしています。」

AENの開発エンジニアリングは、Teamcenterで構築したコラボレーティブ・エンジニアリング・プロジェクトを通じて、3つの大きなメリットを実現しました。 第一にAENは、常に成長を続ける組織にとって重要な要素であり、限られた時間内に最適化された新製品をリリースするための必須条件である「会社のノウハウ」をより効果的に共有できるようになりました。

第二に、より効果的なデータの生成、管理、トレーサビリティを実現しました。Santucci氏は次のように語っています。「オペレーションの解析データやレポートを収集して、以前に実施したプロセスを再利用できるため、実証済みで信頼性の高い結果を得られるようになり、サイクルタイムの短縮とデータの信頼性という大きなメリットが生まれました。」

第三に、共有され、誰にとっても同一である公式の設計プロセスの標準化と最適化により、すべてのユーザーの処理時間と計算時間が大幅に短縮しました。

現在、AENには1,300人のTeamcenterユーザーがいます。 また200人が、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのNX™ソフトウェアを使用しています。経営陣によると、使用者数がさらに増えることは必至で、コスト、時間、品質は大幅に向上すると予測されています。

Realizing tangible benefits
ユーザーがTeamcenterで最も高く評価しているのは、「過去のすべての計算を取得して確認し、各プロセスと使用されたすべてのデータを追跡して、異なるソリューションを直接比較できるため、信頼できるデータであるとの自信を持って、他の人のプロセスを再利用できる」という目に見えないメリットです。
Mauro Macciò氏, チーフ・エンジニア、構造解析, Ansaldo Energia