日本の切削加工の専門企業、NX CAD / CAMを活用して 多様化と事業拡大を推進
シーメンスPLMソフトウェア、支給 データの問題の早期解決と後工程 のスムーズな流れを可能に
曙工業株式会社
曙工業は1970年創業。自動車、 工作機械、半導体加工の製造 地域である愛知県安城市に拠 点を置く
http://www.akevono.co.jp- 本社:
- Anjo, Japan
- 製品:
- NX
最新の工作機械を活用
曙工業株式会社は金属・非金属の切削加工 を行なっている会社で、主に自動車部品を 製造しています。最近では、航空機や産業用 ロボット、医療器械などの分野にも進出して います。素材を一から削り出す総切削と鋳 物素材など、ある程度形がある異形材の削 り出しの両方に対応し、また試作品のよう な単品の生産から月産10万個の大量生産 まで幅広く対応していることが特徴です。
現在、製品に対する顧客の要求精度は非常 に高くなっています。また、同じ部品でも 「 軽く、丈夫に」が求められ、使用する素材がス テンレスやチタン、インコネルなどの難削材 が増え、加工の難しさが年々増加しています。
幅広い業種の様々なニーズに対応するため、 同社で導入している工作機械の種類は多 く、NCコントローラー(CNC)の種類と合わせ ると、そのバリエーションは非常に多岐にわ たります。シーメンスPLMソフトウェアのNX は、少量生産品や難削材の加工、すなわち様 々な機械と段取りを必要とすることになる業 務を支える要として活用しています。
NX導入のきっかけは当時抱えていた大問 題でした。5軸対応の最新の工作機械の導 入に際し、既存の5軸対応のCAMソフトで ポスト処理のソフト開発を当時のシステム ベンダーに依頼しました。しかし3ヶ月経っ ても満足できるレベルに達しませんでし た。そこでNXを導入し、NX CAMのポストビ ルダー機能を使って開発することになりま した。導入当初はシーメンスPLMソフトウェ アのサポートもあり、約2週間で新しい機械 を動かすことができました。
「機械が動いた時は救われた、という気持 ちでした。その後の受注拡大にもつながっ ています。」と製造部技術部長の宇野政義 氏は当時を振り返ります。
支給データの利用を改善
同社の業務の中でCAD/CAMソフトの役割 は、顧客から支給されたデータの取り込み から加工用モデルの作成、NCデータの出力 までです。また現在でも1/3くらいは図面で 支給されており、その場合は3Dモデルの作 成も行います。
支給されたデータでは、モデルの整合性が 取れていない、公差情報が入っていないな ど、加工、製造の観点から見れば課題も多く あります。低い品質のデータを使うことで NCプログラミングに問題が起こります。 「製造の後工程になって発生する問題は、 モデル修正に必要とする工数を捻出できな いことが大半の原因です。」と宇野氏は言い ます。
NX導入以前は、従来のCAMシステムで公差 をある程度見込んでカッターパスを分けて 生成するなどして対応していました。この方 法は作業が難しいうえ、間違いの原因にも なります。「このようなノウハウは個人に依 存したもの。会社組織として対応できる力 が弱かった。」と宇野氏は言います。
早い段階での問題解決
NXをCAD/CAMの全てのオペレーションに 使うことでより良い製造プロセスを構築し ました。支給される3Dデータを取り込み、 モデルの整合性の確認、モデルの修復を経 て加工工程を確定します。その後、各工程 やオペレーションに合わせた加工用モデル の作成を行い、最終的にNCデータを出力し ます。
NX導入以前は、支給されたモデルのどこ に、どんな問題があるかは分かりませんで した。その状態で加工用のモデルを作成し ていたため、後工程になってトラブルが発 生することも少なくなく、その対応に多くの 時間を割いていました。今ではNXの最新の モデル編集機能であるシンクロナス・テクノ ロジーを活用して支給データを問題なく取 り込み、NCプログラミングと加工用に最適 化しています。「ジオメトリ試験はビジュア ルで分かりやすい。どこをどう修正すれば 良いか判断できる。NXのモデルを分析する 能力、モデリング能力は非常に高い」と宇野 氏は言います。
以前はモデルの修正に3、4時間を要してい ましたが、NXでは1時間ほどに短縮できま した。また、以前のような後工程での作業 がなくなり、トラブルを回避できるようにな ったため、多いもので80%、少ないもので も30%の作業時間の効率化につながって います。
また、同社では治具の設計、製造も全て自 社で行っており、ここでもNXを活用してい ます。以前は治具設計を違うソフトで行なっ ており、事前に整合性の確認が困難でし た。NXを使うようになってからは、治具の設 計をNCプログラミングと同じシステムで、 機械の取り付けを考慮して行うことができ ます。取り付けた場合をデジタルに表示し、 治具の設計を視覚的に確認、NXプログラム を検証できるので、実際に取り付けた場合 の問題を事前に回避できるようになりまし た。
「問題を最小限に抑えた状態で、実際の加 工工程に持っていける。加工の段階で も、NX CAMの加工シミュレーションを利用 して、問題を事前に減らすことができる。取 り付けの完全なデジタルコピーを作成し NCプログラムを使い、NXで加工プロセス を正確にシミュレーションすることで、機械 をもっと活用できるようになる」と、同社の 業務でNXを一気通貫で活用するメリットを 宇野氏は話します。
多種多様な機械への対応
幅広い業種の多様な顧客のニーズに応え ている同社にとって、CAMソフトでは多種 多様な機械が実際に稼働できるデータを作 り出せる必要があります。同社ではNXの包 括的なプログラミング機能を使用し、最新 の5軸ミリングや複合加工機などの様々な CNC加工機の高精度なパスに柔軟に対応 しています。
「NXの幅広く専門的なプログラミング機 能により、多種多様な機械を稼働できる。先 進のCAM機能のおかげでわが社は自動車 や工作機械といった多様な業界の高品質 な製品を継続的に提供できる。」と宇野氏 は話します。
機械のパフォーマンスを最大化するために は機械にあわせたデータを作成しCNCを効 率的に駆動する必要があります。NX CAM のポストプロセッサーは様々な機械にあわ せカスタマイズしたプログラムを出力しま す。あるジョブに対し特定の機械でNCプロ グラムに調整が必要なときは、NX CAMの ポストビルダー機能が役立ちます。
「ポストビルダーはユーザー自身でポスト プロセッサーを編集するだけでなく、各々 の機械のポストの開発をする必要がある。 ポストプロセッサーを簡単に修正、開発で きるので、我々のように多様な機械を抱え る会社にとり、非常にメリットがある。」と宇 野氏は話します。
ひとつのCAMを使って多くの機械の複雑な ジョブをプログラムできる柔軟性は、企業 の継続的な事業拡大を可能にします。
設計・製造プロセスの中核にNXを置くこと で、同社はプロセス全般を自動化、標準化 改善できました。さらにデータをNXに蓄積 することで、従来からの課題でもあった個 人に依存したノウハウを他の担当者が再利 用できるようになり、組織としての対応力が 向上しました。
品質管理への適用
顧客ニーズの多様化、要求精度の高度化、 加工の難易度の高まりは、同時に品質管理 の高度化も要求します。同社では3Dモデル を取り込める3次元測定器を導入していま す。ここでも、NXで設計したモデルを使用し 自動検査プログラムを作成します。また将 来は、測定器とNX CMM 検査プログラミン グの連携をさらに進め、より高いレベルで の品質管理を目指しています。
サポート体制への信頼感
実際のモノを製造している人にとっては、ど れだけ良い機械、ソフトを揃えても、実際の 製造に至らなければ意味がありません。「機 械もソフトもサポートが弱いと生産が止ま る。その点、シーメンスPLMソフトウェアの サポート力には感謝している。」と、NX導入 のきっかけとなった最新の工作機械を稼働 させた時点から現在に至るまでのサポート について高く評価しており、このサポートが 今後も維持されるものと期待しています。