ユーザー事例

シーメンスの製造オペレーション管理 (MOM) ソリューションで世界クラスの製造

Opcenterで製造ラインを完全自動化したThe Absolut Company

Opcenter helps The Absolut Company implement fully automated production lines
Opcenter helps The Absolut Company implement fully automated production lines

The Absolut Company

世界最高峰のプレミアムウォッカブランドであるアブソルートウォッカで有名なThe Absolut Companyは、ワインやスピリッツの蒸留を手掛ける世界トップのメーカーであり、高級スピリッツ市場で世界4位の規模を誇ります。主な市場は北米、メキシコ、ドイツ、英国、トラベルリテールです。ウォッカのほか、ココナッツラムのマリブ、コーヒーリキュールのカルーア、Wyborowa、Luksusowa、Frïsなどのブランドを展開しています。

http://www.theabsolutcompany.com/

本社:
Åhus, Sweden
製品:
Opcenter APS, Opcenter Execution Process
業種:
コンシューマー製品 / リテール

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製造ラインを完全自動化し、より厳格な規制要件に対応するためには、業務システムとの統合を進めて製品データのトレーサビリティーを高める必要があるでしょう。
Emil Svärdh, 上級オートメーションエンジニア, The Absolut Company

世界をリードするスピリッツのブランド

スピリッツ愛好家にとって、ウォッカは軽々しく選べるものではありません。だからこそ、Pernod-Ricardを親会社に持つThe Absolut Companyのスピリッツは世界クラスでなければならないのです。スウェーデンにある小さな村オーフスで醸造を続けるThe Absolut Companyは、積極的であることと、妥協しないことを自らに課しており、原材料から製造、流通にいたるすべての工程で品質、効率、環境に配慮しています。

アブソルートウォッカは、スウェーデン南部で収穫された冬小麦と地元の井戸水から作られています。創設者であるラーズ・オルソン・スミスが1879年に考案した連続式蒸留法は、不要な化合物と不純物を何回もろ過して精留する製法です。醸造プロセスは、高度に制御され、自動化されたエネルギー効率の高い設備で行われます。

The Absolut Companyはスウェーデンを代表する食料品・飲料メーカーです。150の国と地域の市場で販売され、世界第6位のシェアを誇るスピリッツブランドを擁する同社は、醸造と製造の最初から最後まで、すべての段階で高い基準を自らに課しています。The Absolut Companyで上級オートメーションエンジニアを務めるEmil Svärdh氏はこう述べています。「当社には、「ひとつの源流、ひとつのコミュニティ、最高のウォッカ」という高い野心に支えられた製造哲学があります。これは、常に世界最高水準の製造を進めるという企業姿勢を示すスローガンです。現在そして将来の製造要件、顧客要件、環境要件を確実に満たすうえでインダストリー4.0の考え方は欠かせません。」取り組みには、当社のアプローチを理解してくれるパートナーとの協業が必要です。シーメンスもその1つです。シーメンスのソフトウェアとハードウェアは製造面で大きな役割を果たします。

A world-leading spirits brand

製造に変革をもたらす製造オペレーション管理

The Absolut Companyの製造プロセスにはシーメンスの製造オペレーション管理 (MOM) ソフトウェアであるOpcenter™が欠かせません。Opcenterは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの提供する統合型ソリューションおよびサービスであるXcelerator™ポートフォリオの一部です。The Absolut Companyは、オーフス地区にある醸造施設の5つの製造ラインの制御と構成をデジタル化するため、Opcenterをベースに動的なプラットフォームの構築に取り組んでいます。

「このソフトウェアは、仕入れ材料の受入れから生産された製品の流通まで、それらの品質管理、製品計画、スケジューリング、レポーティング、トレンド分析、高度な解析など、バリューチェーン全体をカバーするよう設計されているため、当社のニーズに最適です。」とSvärdh氏は語ります。

The Absolut Companyはまず1つの醸造ラインにOpcenter Execution Processソフトウェアを導入してから、世界各地に出荷するプレミアム飲料を醸造する3つのラインに拡張する予定です。現時点で1つの醸造ラインは完全デジタル化が完了し、2021年には残る4つのラインを稼働する計画です。

競争優位性としてのデジタライゼーション

The Absolut Companyは、変化する業界を絶えず牽引していく鍵はデジタライゼーションにあると理解しています。そのため、完全にデジタル化した最先端企業になることを経営の柱の1つに掲げています。Svärdh氏はこう述べています。「製造ラインを完全自動化し、より厳格な規制要件に対応するためには、業務システムとの統合を進めて製品データのトレーサビリティーを高める必要があるでしょう。」

Svärdh氏は続けます。「インダストリー4.0の考え方は当社の製造戦略の一部です。市場の変化や起こりつつある創造的なデジタル破壊に対処するには、他のデジタル分野だけでなく、インダストリー4.0に投資することが重要です。インダストリー4.0を中心としたデジタル化の枠組みのなかに新しい価値を見出せると確信しています。これは単に企業としてではなく、当社の取引先や消費者にもあてはまります。開発力、新旧パートナーとの協力関係、研究施設、投資の面で強い競争優位性を発揮できなければなりません。しかも、迅速に対応し、準備を整えておく必要があります。」

オーフスの醸造施設では、カクテル専用ウォッカや限定商品をはじめ、あらゆる種類のウォッカを製造しており、年間125百万本を出荷しています。The Absolut Companyはクリシャンスタード平野のふもとに井戸を所有しており、そこから鉱水を汲み上げています。ウォッカは温度と圧力を管理した連続式蒸留法で不要な化合物を徹底的に除去して精留されます。創業時のレシピは8つの段階に分かれていました。「現在の工程は、同じバッチのなかで100回以上の連続醸造を繰り返し、高い蒸留純度を達成しています。また、エネルギー効率も非常に優れています。当社のエネルギー効率は業界標準と比べて98%高く、言い換えると、1リットルのアルコールを蒸留するときの環境負荷が98%少ないことを意味します。

Digitalization as competitive advantage

環境の持続可能性

年間で使用する125百万本の瓶のうち、49%をリサイクルガラスでまかなっています。現時点で使用エネルギーの85%に再生エネルギーを使用し、2030年までにバリューチェーン全体で100%のCO2ニュートラルを達成することを目標にしています。The Absolut Companyはバリューチェーンに関わる企業にも働きかけを進め、よりクリーンな電力輸送システムを推進しているほか、1リットルあたりのエネルギー効率が最も良いとされるボートを使って海外へ出荷しています。

製造の完全自動化

The Absolut Companyは製造の完全自動化に取り組んでいます。Svärdh氏はこう言います。「瓶に最初に人の手が触れるのは売り場の棚に置かれるとき、2回目は顧客がそれを手に取るときです。製造を完全に自動化しているので論理的にこうなるのです。瓶の洗浄、充填、ラベルリングが終わったら、そのままパレットに移され、直接、ハイベイ倉庫に輸送され、港から世界中に出荷されます。」

オーフスの醸造所には5つの完全自動製造ラインのほか、限定商品を製造する小型ラインが1つあります。Svärdhはこのように説明します。「制御システムのほとんどはシーメンスのものです。われわれはシーメンスの監督制御・データ収集システムであるSIMATIC WinCCを可視化ソフトウェアとして活用しています。当社の製造ラインは基本的に、複数のサプライヤーのコンポーネントと機械を組み合わせています。」

最近の課題は多品目少量生産への対応です。「効率性を高める必要があります。現在のところ、稼働率は高く、全体で70から75%程度の設備効率です。バッチを小さくし、より多くのフレーバーや瓶に対応したとしても、この水準は維持したいと思っています。シーメンスと協力して、将来の需要にこたえるプラットフォームの構築に取り組んでいます。」とSvärdh氏は説明します。

Fully automated production

Opcenterとエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP)

The Absolut CompanyはOpecenterとERPシステムを統合しており、複数の業務システムからの情報とラインごとのデータを組み合わせて、統合的な作業オーダーを作成しています。この作業オーダーが製造ラインの段取りならびに醸造手順を選択する基本情報です。

Svärdh氏は述べています。「われわれは、作業オーダーごとの流れを動的に表わせるようデジタル化しています。作業オペレーションの変更、追加、削除はその場でデジタルで対応できます。この結果、敏捷性と変換対する応答性が高まりました。」

Svärdh氏はさらに続けます。「デジタル化のおかげで、材料搬送とバリューチェーンに対する概念が新たになりました。これからは物理的なバリューチェーンをただ開発・管理しているだけではなく、それをデジタルと連動させていかなければなりません。つまり、まったく別々のシステム上に置かれたデータと情報ポイントを統合する必要があります。こうした経緯からOpcenter Execution Processプラットフォームの導入を決めました。結果は上々です。データを持続的な改善につなげたり、ブロックチェーン技術を使用したトレーサビリティーに役立てたりできます。デジタライゼーションは製造面だけでなく、消費者にとっても新たな価値をもたらすものだと確信しています。」

Opcenter and enterprise resource planning

製造のデジタル・ツインを活用

Svärdh氏はこう語ります。「物理バリューチェーンそれぞれにデジタルバリューチェーンを対応付けなくてはなりません。必要なのはデジタル・ツインです。デジタル化したバッチ工程を高度にシミュレーションするため、われわれはコストをかけて製造ラインとバリューチェーンの正確なデジタルレプリカを作製しています。この方法であれば、醸造ラインの工程が意図したとおりに機能するかどうかをデジタル的にテストし、検証できるからです。変更が必要なときには、デジタル環境で試してみてから実際の物理環境に手を加えます。その方が時間もかからず、高い品質を担保でき、何よりも総コストを低く抑えることができます。」

このソフトウェアは、仕入れ材料の受入れから生産された製品の流通まで、それらの品質管理、製品計画、スケジューリング、レポーティング、トレンド分析、高度な解析など、バリューチェーン全体をカバーするよう設計されているため、当社のニーズに最適です。
Emil Svärdh, 上級オートメーションエンジニア, The Absolut Company